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日本茶全国3位!三重県・伊勢茶の魅力を取材しました

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日本のほぼ中央に位置し、西には鈴鹿山脈や台高山脈を、東には伊勢湾や太平洋を抱く三重県。美しい自然に囲まれ温暖な気候に恵まれた三重県は、海・山・野の幸にあふれ、おいしいグルメが数多くある地域として知られています。

「伊勢えび」や「松阪牛」が特に有名ですが、「伊勢茶」も全国的に広く名を知られています。実は三重県は日本茶の生産量が鹿児島県、静岡県に次ぐ全国3位!煎茶やかぶせ茶、深蒸し煎茶などが多く生産されているんです。

macaroniでは伊勢茶の産地を訪れ取材を実施!現地の方に伊勢茶についてくわしく教えていただきました。この記事では、伊勢茶の特徴や種類、飲み方まで、その魅力をご紹介します。

伊勢茶とは?

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伊勢茶は三重県で生産されるお茶の総称です。県全域で煎茶が作られているほか、北勢地域ではかぶせ茶、南勢地域では深蒸し煎茶が多く作られており、地域によって特徴あるお茶を生産しています。

なかでもかぶせ茶は全国1位の生産量を誇り、三重県全体の生産量の約3割を占めています。

伊勢茶の栽培は鈴鹿山脈や台高山脈などの山沿いという、日照時間が短く昼夜の寒暖差が大きい、茶葉の生育に適した土地でおこなわれています。恵まれた立地条件のなかで丹精込めて育てられた伊勢茶は葉肉が厚く、しっかりとした味わいと濃い緑色のお茶になります。

歴史ある三重の茶産地

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伊勢茶の歴史は非常に古く、平安時代に当たる西暦900年の初めごろには、三重県四日市市の寺院でお茶が植えられていたという記録があります。また、鎌倉時代には高名な僧侶・明恵上人が伊勢川上にお茶を植えたという記録も。このことから、伊勢茶は長い歴史を持っていることがわかります。

江戸時代に入ると伊勢茶の生産は本格化し、商人を通じて江戸や東北地方にまで広く流通するように。地元の特産品として有名になりました。また、この時代には「お伊勢参り」が流行し、参拝者をもてなした御師の伊勢土産としてもお茶は人気だったようです。

現代では、代々受け継がれた伝統的な製法を守りつつ、新しい技術も取り入れながら、品質の高い伊勢茶が作られています。県内には伊勢茶の直営販売店やカフェも多く、その魅力を現地で体感することができます。

伊勢茶の種類

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左から:煎茶、かぶせ茶、深蒸し煎茶
伊勢茶は大きく分けて、「煎茶」「かぶせ茶」「深蒸し煎茶」の3種類。それぞれ味・風味の特徴が異なるので、ここではその違いをくわしくご紹介します。

煎茶

煎茶は県内全域で生産されていて、日本でもっとも一般的な緑茶です。日本の煎茶は、蒸気によって茶の発酵を止めてから製茶する「蒸し製」という、世界的に見ても珍しい製法で作られています。黄金色から緑色をしていて、渋味とうま味が調和したさわやかな味わいが特徴です。

かぶせ茶

北勢地域で生産が盛んなかぶせ茶。お茶を収穫する1~2週間前に茶園に黒いネットをかけ、直射日光を遮断して栽培するのが特徴です。こうすることで渋味が抑えられ、うま味成分であるアミノ酸の量が増加し、「覆い香」と呼ばれる独特の香りが生成されます。煎茶に比べて緑色が濃く、まろやかな味わいと深い甘味が楽しめます。

深蒸し煎茶

南勢地域で多く生産されているのが深蒸し煎茶。製法は煎茶とほぼ同じですが、茶葉の蒸し時間が煎茶の倍以上あるのが特徴です。こうすることで渋味が少なく香り豊かになり、コクがあって濃厚な味わいに。食物繊維などの不溶性成分も含まれるため、健康志向の方にも人気です。

伊勢茶の楽しみ方

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いくつかのポイント・手順を守ることで、お茶はよりおいしく淹れることができ、長持ちさせられるようになります。ここでは伊勢茶のおいしい淹れ方や保存方法をご紹介しましょう。

おいしい淹れ方

伊勢茶のおいしい淹れ方

  1. 人数分の茶碗にお湯を入れ、湯冷ましをします
    【お湯の温度】
    ・かぶせ茶は約50~60℃まで冷ます
    ・煎茶・深蒸し煎茶は約70~90℃まで冷ます
  2. 茶葉を急須に入れます
    【茶葉の量】
    ・かぶせ茶:3人分で約10g
    ・煎茶・深蒸し煎茶:5人分で10g、2~3人分は1人当たり3gを目安に
  3. 茶碗で冷ましたお湯を急須に注ぎ、お茶が出るのを待ちます
    【待つ時間】
    ・かぶせ茶:約2分
    ・煎茶:約1分
    ・深蒸し煎茶:約30秒
  4. お茶を茶碗に均等にまわし注ぎし、お茶を絞りきります

ポイント

お茶の渋味・苦み成分であるタンニンやカフェインは80℃以上から多く溶け出し、うま味・甘味成分であるアミノ酸やテアニンは60℃以下でも溶け出すという特徴が。お湯の温度に気を付けることで、よりおいしいお茶を淹れられます。

上記でご紹介したのは、あくまでひとつの方法です。ひとによって好きなお茶の味わいは異なるので、自分好みの淹れ方を探求してみてくださいね。

保存方法

お茶の保存方法は「酸素」「湿気」「臭い」「光」に注意が必要です。茶葉は酸素に触れることで酸化して香り・味などが落ち、湿気に触れることでも品質が急激に悪くなります。また、茶葉は臭いを吸収しやすい性質があります。

上記のような特徴があるため、お茶を保存するときは、気密性のある遮光容器に入れ、涼しくて臭い移りの少ない場所で保管するようにしましょう。

お茶の量が多い場合は、小分けにして密閉容器に入れ、冷蔵庫内で保管するのがおすすめ。ただし、冷蔵庫から頻繁に出し入れすると湿度が変化し、茶葉の変質が早くなるので注意が必要です。

伊勢茶を現地で体験してみては?

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平安時代から続く非常に長い歴史を持ち、その味わいを高く評価されている伊勢茶。濃い緑色としっかりとした味わいが特徴で、煎茶やかぶせ茶、深蒸し煎茶など、種類によって異なる風味が楽しめるのも魅力です。

三重県内には伊勢茶を専門に取り扱う店舗もたくさんあります。なかにはお茶の淹れ方を教わったり、伊勢茶を使ったスイーツが楽しめたりするお店も。ぜひ現地に足を運び、伊勢茶の魅力に触れてみてくださいね。
※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

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