ライター : donguri

グルメライター

「古米の保存方法」は?五ツ星お米マイスターに聞いてみた

政府備蓄米の放出により、古米を手にする機会が増えたという方は多いはず。しかし古米は保管状況が悪いと、米が酸化して古臭い臭いや酸っぱさを伴った臭い(古米臭)がしてしまうこともあるのだそう。

そこでこの記事では、五ツ星お米マイスター 西島さんに古米の上手な保存方法についてお話を伺いました。
五ツ星お米マイスター 西島豊造(にしじま・とよぞう)さん
株式会社スズノブ 代表取締役。北里大学獣医畜産学部畜産土木工学科卒業後、北海道で農業コンサルタントに勤務し、1988年9月に家業の株式会社スズノブを継ぐ。

五ツ星お米マイスターの資格持ち、新しいお米の時代を作っていきたいという考え方から、大学時代に得た「土」の知識、北海道で得た「農業土木」の知識、産地を回ることで得た知識等を活かしながら、産地と消費者をつなぐパイプ役として、多くの生産地の、産地の特徴を活かした地域ブランド米作りと地域活性化を手伝っている。

NHK『趣味どきっ! ニッポンのうまい米』、フジテレビ『ホンマでっか!?TV』などメディア出演多数。大手家電メーカーの炊飯器・精米機・お米にあう食品の監修など多岐にわたって活動。

基本は冷蔵庫の「野菜室」で保存

一般的にお米の保存は、温度が低く、湿気が少なく、さらに直射日光が当たらない暗くて涼しい場所が適しています。具体的に言うと、湿度が70%前後、温度が15度以下をほぼ一定に保ち続ける、低温の場所での保管ということになります。

しかし、現在のご家庭でこの様な場所を探すのはほぼ不可能です。よって「冷蔵庫の野菜室の中でお米を保存する方法」をおすすめしています。特に今回の備蓄米は令和5年・4年・3年・2年産米ですので、より丁寧な管理が必要です。

野菜室での保存方法

  1. 1回に研ぐ量(2合・3合)ごとに、密閉できるチャック付きの袋に小分けをして入れ、冷蔵庫の野菜室の底に敷き詰めるようにして保存する
  2. お米は空気に触れることが食味の低下や品質低下が早まる要因となるので、チャックをする前に軽くトントンとお米を詰め込み、なるべく空気を抜きながらチャックを閉める
小分けしたほうがお米を研ぐときに便利ですし、野菜室の下に敷き詰めることでお米が保冷剤やクッション材の役目にもなるメリットも。ほかの食材の邪魔になりません。

保存期間は?

冷蔵庫の中(野菜室)に入れることで常温保存よりは精米直後のおいしさが長期間保たれますが、それでも1ヶ月半程度で食べきるようにしましょう。お米が古ければ古いほど、1か月や半月等と早めに消費してください。

お米を炊くときは冷えたままでOK!

野菜室で保存したお米は、冷えたままの状態で研ぎはじめます。冷えているとお米が吸水する量が少なく短時間で研ぎ水が澄んでくるため、研ぎすぎを防ぐことができます。

また短時間で研ぎ終えるとお米の表面に余分な傷が付かないので、炊き上がり時に米粒ひとつひとつに艶があり、米粒が均等に膨らんでいて形が良く、余分なベタ付き感もありません。

したがって口の中で米粒を感じながらも、品種ごとの粘りややわらかさを感じ取れて、そのお米の旨味を感じやすくなるという利点があります。

冷蔵庫に入りきらないときは真空パックにして常温保存

備蓄米は品質低下が早い可能性があるため、冷蔵庫の野菜室で保存するようにと提案しています。しかし冷蔵庫に入りきらない場合はどうしたらよいのでしょうか?(この方法は絶対ではなく、あくまでも代用としての方法です。)

真空パックにして常温保存する方法

  1. 薄いポリ袋や市販のキッチンフリーパックに備蓄米を入れて、輪ゴムで閉じる
  2. フォークや爪楊枝などを使用して、袋に多めに穴を空ける
  3. 2をたくさん作ってから、市販の布団圧縮袋の中になるべく重ならないように敷き詰め、圧縮袋のチャックを閉める
  4. 掃除機を利用して袋の中の空気を完全に抜いて、真空パックにする
    (布団の圧縮袋は食品を入れるものではありませんので、直接お米を入れることはおやめください。)
この方法なら真空パックになっているので、直射日光が当たらない場所であれば常温で保存できます。保管場所は流し台の下や押し入れなどでも大丈夫です。

保存期間は?

空気が漏れていなければ、約1年ほど品質を保つことができます。
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