ライター : 川島 尚子

管理栄養士 / パティシエ

「カレイの卵は危険」って本当?食べないほうがいい?

「カレイ、卵」と検索すると「危険」が出てくるように、カレイの卵が危険だと言われることがあります。しかし、実際はカレイの卵そのものが危険というわけではなく、食べ方によって起こるリスクのことを指しているようです。

カレイの卵が危険と言われている理由を理解して、カレイの卵の安全な食べ方を知るところから始めましょう。

カレイの卵が危険と言われてしまう理由

生煮えによる食中毒のリスクがあるため

カレイの卵は身に挟まれていることと、卵で厚みが出ることから、加熱が不十分になって生煮え、生焼けになりやすい部位です。カレイが原因の食中毒としては腸炎ビブリオやアニサキスが発生事例として知られています。

加熱の際は中心部分までしっかり火が入っているのか確認するのが大切です。また、調理する際は生の状態でまわりの調理器具を二次汚染しないようにも注意しましょう。(※1,2,3,4)

魚卵にプリン体が多いと言われているため

うにや明太子にはプリン体が多めで、魚卵はプリン体が多いと思われがちです。そこからカレイの卵もプリン体の摂り過ぎにつながって危険だと思われたのかもしれません。

しかし、一概に魚卵にプリン体が多いとは言い切れません。子持ちでなくてもカレイはいくらやかずのこよりプリン体が多いため、単純にカレイの「卵」が危険とは言えないでしょう。

また、医師からプリン体を制限する指示がある場合以外、尿酸値が気になる方は食事からのプリン体の量を制限するよりも、生活習慣や肥満の対策をするほうがよいと言われます。(※5,6)

コレステロールを含むため

コレステロール値を気にする方にとっては、子持ちガレイはコレステロールが多めの食品であることから、食べ過ぎると危険と言われるようになったと考えられます。卵を持たないカレイに対して子持ちガレイのコレステロール値は約1.7倍のため、食品からのコレステロール量を制限している場合は食べる量や頻度に注意しましょう。

なお、血中コレステロール値は食事から摂取したコレステロールの量に直接的には影響されないとも言われています。健康な方は食べ過ぎない限り、特に気にする必要はありません。(※7,8,9)

アレルギーを発症するおそれがあるため

カレイの卵が危険と言われている理由のひとつがアレルギーです。近年大人になってから発症するアレルギーが増えており、そのなかにカレイの卵とマダニのかけ合わせによって起こるアレルギーがあります。日常生活でマダニにかまれることで、マダニの唾液に含まれるアレルゲンが体内に取り込まれ、それに似た形のアレルゲンをもったカレイの卵を食べることによって発症します。

カレイの卵そのものに対するアレルギーをもともともっていなくても発症することから、カレイの卵が危険なのではなく、かけ合わせが危険な事例と言えるでしょう。(※10)

卵ありとなしでは栄養価はどう変わる?

栄養素マガレイ子持ちガレイ
エネルギー(kcal)89123
たんぱく質(g)19.619.9
脂質(g)1.36.2
コレステロール(mg)71120
炭水化物(g)0.10.1
ビタミンD(μg)13.04.0
ビタミンE(mg)1.52.9
ビタミンB12(μg)3.14.3
それぞれ可食部100gあたり(※7,8)
マガレイと子持ちガレイを比較すると、たんぱく質や炭水化物の量はほぼ変わりませんが、子持ちガレイのほうが脂質、コレステロールが多く、その分エネルギーも多くなっています。低脂質に抑えたい方は卵をもたないカレイがおすすめです。

また、ビタミンDはマガレイのほうが、ビタミンEとB12は子持ちガレイのほうが多いことから、摂りたい栄養素で選んでもよいでしょう。
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