ライター : macaroni 編集部

サルボ恭子さんに学ぶ、100点を目指さないフランス流の共働きごはん

Photo by 木下誠

料理家/サルボ恭子さん 料理家の叔母に師事し、30歳で渡仏。パリ有数の名門ホテルで研鑽を重ね、現在は料理教室を主宰するほか、テレビや雑誌など幅広く活躍中。著書に『フランス共働き家庭の2品献立』(立東舎)、『夜9時からの飲めるちょいメシ』(家の光協会)など
フランスではほとんどの家庭が共働き。そのせいか食卓はとてもシンプルで、主菜ひと品、副菜ひと品にパン、ときにはサラダやスープだけ、という日もあるそうです。しかし、忙しい日々のなかでも家族で食卓を囲む時間をとても大切にしていて、決して食をおざなりにしているわけではないそう。

フランスでの料理修行時代や、フランス人のご主人との共働き暮らしのなかで、自然と2品だけのシンプルな献立に落ち着き、レシピ本も出版している料理家のサルボ恭子さん。

「平日はできるだけ簡単に、休日は家族や友人とのんびりと食事を楽しむのがフランス流。もちろん週末だからといって3品も4品も作るのではなく、基本は2品。時間をかけずに料理をつくって、会話を楽しみながら食事をします。

日本で暮らしていると、栄養バランスが良い献立を……とか、外食ばかりじゃいけないとか、ついつい考えてしまいますよね。私自身も、育ってきた日本やアジアの文化である、たくさんのおかずを囲む食事スタイルに囚われていましたが、“フランス流”を取り入れてからは、食事作りがとても気軽になりました。

30分でもじゅうぶんにおいしいものは作れるし、栄養バランスだって1週間単位で考えれば問題ありません。何より、2品と決めることで、品数が少なくても罪悪感を覚えずに済むから、気持ちがとても楽になりますよ」

サルボ家流「2品献立」のメリットとは?

Photo by 邑口京一郎 styling by:大畑純子

「下準備を含め、30分以内に完成するのが2品献立最大の特徴です。主菜の肉に下味をつける時間で副菜の野菜を切るなど、調理を同時並行することで時短になります。そうすると温かいものは温かく、冷たいものは冷たく、食べごろの温度で仕上がるというメリットも。

また主菜と前菜は、温と冷、塩味と酸味など、調理法や味にメリハリをつけると、2品でも満足度の高い仕上がりに。普段使わない洋野菜を取り入れたり、スパイスやハーブ、ナッツでアクセントをつけたりすることで、手抜き感もありません。

時間のある週末には、少し贅沢な食材を取り入れたり、食材の数を増やしたりして、ごちそう感がアップするような工夫をしていますよ」

気持ちに余裕が生まれる

「30分で献立が完成するので、気持ちに余裕ができて食事をゆっくりと楽しめます。

私たち日本人って、真面目だからついつい100点を目指しがち。でもフランス人は違います。彼らは肩の力が抜けている。料理を作ることで疲れるよりも、食事中の会話や空間を楽しんだほうが良いと考えています。

2品にすると食事後の片づけも楽だし、使う食材が少ないので買い物の量が減るというメリットも。わたしは細かく買い物に行きたくないから、10日に1回程度です」

食のプロであるからこそ、ごはんを食べる時間そのものを楽しんでほしいというサルボさん。著書『フランス共働き家庭の2品献立』のなかでも紹介されている献立アイデアのうち、平日向けの手軽なものを2つ、週末向けの少し手の込んだものを1つ教わりました。それぞれチェックすれば、フランス流の時短メソッドを理解するための良い参考となるはずです。 

1. 【平日】 スパイシーポークソテー&コールスロー風キャベツサラダ

Photo by 邑口京一郎 styling by:大畑純子

ーーこの2品献立は、どんな内容でしょうか?

サルボ恭子さん(以下、サルボ)お肉をガッツリ食べたい気分の日によく作る献立です。主菜はポークソテーで、副菜にはわが家の定番コールスローサラダ。色のきれいな紫キャベツで特別感をプラスしました。

主菜と副菜に使う材料が決まったら、フレンチにするか和食にするか、洋食、中華にするか、そのときの気分で決める場合が多いです。この日はプルーンを加えたスパイシーなソースでいただきました。

ーー献立のポイントや、時短のコツはありますか?

サルボ この献立は、2品ともポリ袋を使って下準備をします。

Photo by 邑口京一郎 styling by:大畑純子

サルボ 紫キャベツは塩とレモン果汁を加えて10分。豚肉は中濃ソース、玉ねぎの薄切りと一緒にポリ袋に入れて15分間。下味をつけている間にポークソテーの付け合わせのしいたけをカットします。

紫キャベツがしんなりしてきたらヨーグルトとツナ缶を加えれば、コールスローサラダのできあがり。その後、ポークソテーを焼きます。30分で完成させるには空いた時間を活かしてロスなく調理することがカギになります。

2. 【平日】 パプリカソテーの生ハム添え&卵サラダ

Photo by 邑口京一郎 styling by:大畑純子

ーーワインが進みそうな献立ですね。こちらはどんな2品でしょうか?

サルボ 夕食を軽く済ませたい日や、遅い時間帯に食べるときにぴったりの消化にいい2品献立。主菜はパプリカとパイナップルを、スモークしたパプリカパウダーで炒め、生ハムを添えただけの手軽なひと品です。

主菜が軽いので、サラダにはタンパク質が豊富なゆで卵をたっぷりと加え、アクセントに常備している桜えびをあしらいました。野菜を切って、卵をゆでて、パプリカを炒めただけ。ゆっくりワインを飲みながら、食事時間をゆったりと楽しむようなメニューです。

ーーゆで卵に桜えびとは、気になる組み合わせ。桜えびのほかに、常備しておくと便利な乾物やスパイスはありますか?

サルボ ナッツ類やドライトマトなどを常備しておくと、いろいろなアレンジができて便利です。コーンビーフやツナ缶などは、非常食も兼ねて買い置きにおすすめ。あとは濃厚な味わいのスモークパプリカパウダー、エスニックな香りや刺激のあるクミンシード、中国の代表的なミックススパイスのサンクエピス(五香粉)などのスパイスも活躍しますよ。

3. 【週末】ラム肉と野菜のグリル&じゃがいもとセロリのピュレ

Photo by ラム肉と野菜のグリル&じゃがいもとセロリのピュレ

ーー平日に比べて、ごちそう感がありますね!こちらはどんな2品でしょうか?

サルボ 週末らしく少し贅沢なラム肉を使いました。副菜はじゃがいもとセロリのピュレ(マッシュポテト)。ラム肉は独特の香りが苦手な方もいますが、下味を染み込ませて焼くと気にならなくなります。ピュレにはセロリを加えて、さわやかに仕上げました。

ーー平日と週末の2品献立には、どんな違いがありますか?

サルボ 家族はもちろん、友人と一緒に囲む日も多い週末の食卓。使う食材を少し豪華にする食材数を増やすなどして、無理のない範囲で特別感をプラスします。平日に比べて少し手間はかかりますが、それでも30分程度で作れますよ。

冷めてもいいものは先に仕上げてしまい、熱々で食べたいものを最後に調理する。平日、休日ともにこのロジックを意識することが、手軽においしい2品を作り上げるポイントです。
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