ライター : macaroni 編集部

魚屋の店長が教える、おいしいさんまの選び方

Photo by macaroni

秋に食べたい魚といえばさんま。脂ののった焼きたてのさんまを食べずには秋を越せませんよね。旬の魚としてスーパーや魚屋でも販売され始めていますが、おいしいさんまを選ぶ見極めポイントはどこにあるのでしょうか。

“ネオ鮮魚店” として注目を集めている「sakana bacca(サカナバッカ)都立大学」の店長である岡田勇気さんに、正しいさんまの選び方を教えてもらいました。

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sakana bacca 都立大学 店長/岡田勇気さん
「今年のさんまは不漁続きでいつもより高騰しています。せっかく購入するならば、そのなかでも一番良いものを選びたいですよね。魚の目利きをするのは慣れが必要ですが、これからお教えするポイントを少し覚えておいてください。あとは困ったら魚担当の店員さんに聞くこと!(笑)」

おいしいさんまを見極める3つのポイント

1. 小顔でマッチョ。胴回りが太い

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「大きなポイントは、頭が小さくて胴が大きいさんまを選ぶことです。首元がふっくらしているほうが脂がのっているので、太いものを選ぶといいですよ。首元からモリッと筋肉が出ているマッチョのようなスタイルをイメージしてください(笑)

本当なら、さんまの側面より背びれ側から太さを見るのが一番いいんです。でもいまのご時世、持って確認はしにくい……。ですから、横から見て頭のうしろ部分、つまり肩の部分が出っ張っているかを確認してください(※画像の矢印参照)

2. 表面がボコボコしておらず、うろこが残っている

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「あとは、表面がクレーターのようにボコボコしていないもの。それから、うろこがついているほうが鮮度がいいといえます。あまりうろこのイメージはないと思うのですが、お腹についている青っぽいものがそうです。指差ししている、腹びれからお尻のあたりにありますね。

さんまを箱に入れて出している店だと、海水に青っぽいものが浮いているのですぐにわかりますよ」

3. お腹がダレておらず、持ってもくたっとならない

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「さんまを持ったときにずっしりと重みがあって、くたっとならないこと。何尾か持って比べることはできないと思いますが、最終的に選んだものがくたっとしていなければ合格!という判断基準にできますね。

見た目で判断するなら、お腹がダラッと出ていないかどうかを確認。ダレていると鮮度が落ちています。表面にハリがないものや、穴が開いているものは避けましょう」

実は気にしなくていい2つのポイント

目の充血していないかどうか

「一般的に魚は目が内出血していると鮮度が落ちているといわれますが、さんまの場合はあまり気にしなくて大丈夫です。さんまは網で一気に水揚げするので、いけすの下にあるものは重さで圧迫されてしまいます。目が充血しているものは、その圧力によるものなので鮮度とはあまり関係ないんですよ」

くちばしが黄色いかどうか

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「一般的に “くちばしが黄色いものを選ぶこと” というのはよく言われていると思います。もちろんそれはいいのですが、さんまのくちばしは、ほとんどみんな黄色いので、じつはあまり参考になりません。どちらかと言うと、やはり首元から胴回りの肉づきを確認することが重要です」

さんまの正しい保存方法

「まず最初にお伝えしたいのは、さんまは買ったその日に食べるのが一番だということ。なるべく購入したら、その日の晩の食卓に出すのが理想ですよ」と岡田さん。とはいっても、どうしても保存したいときはありますよね。そんなときにおすすめの方法を聞いてみました。

2〜3日冷蔵するときは必ず内臓を抜く

「保存する期間によって方法が変わります。2~3日保存したい場合は、内臓をきれいに抜いてキッチンペーパーで拭いてから、1本ずつラップで個包装して冷蔵するのがいいと思いますよ。やはり内臓を残したまま、冷蔵保存してしまうと鮮度が落ちるのが早くなってしまいます」

冷蔵より “まるごと冷凍” がベター

「脂を逃がさず、なるべく味を落としたくない場合は冷凍をおすすめします。内臓は抜かずにキッチンペーパーで全体の水気だけ取って、密閉袋に入れて丸ごと冷凍してOKです。家庭用の冷凍庫なら1週間くらいが目処ですかね。

解凍するときは、流水で急速解凍してください。ただ、冷凍するとさんまの色が白くなるので、色合いを気にされる人は冷蔵のほうがいいでしょう」

一夜干しにするのもひとつの手

「 冷蔵と冷凍保存以外でおすすめなのが、一夜干しにすること。さんまを開いて、海水より塩分濃度の高い塩水に15分くらい漬けます。そのあと、脱水シートで水分を取って冷蔵庫に入れるだけ。ひと晩で簡単に一夜干しができますよ。旨みが凝縮されて、ひと味違うおいしさを楽しめます」

旬のさんまを正しく選べば、秋の食卓も充実♪

おいしいさんまを見極める最大のコツは、肩から胴回りをチェックすること。目が内出血していることや、くちばしの色はあまり参考にならないという点は、みなさんにとっても少し意外だったのではないでしょうか。

これから多くの家庭でさんまを購入する機会がグッと増えると思いますので、なるべくいいものを選べるよう参考にしてみてくださいね。さあ、食欲の秋を思う存分楽しみましょう。
取材協力
さんまのレシピはこちら▼
取材・文/辻 有可
撮影/實重かおり(macaroni 編集部)
※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

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