ライター : とも

子育てフードライター

そもそも「ちくわ」とはどのような食べ物?

「ちくわ」とは、棒の先に魚のすり身を塗って焼いた食べ物のこと。古墳時代の神功皇后が鉾(ほこ)の先に魚のすり身を塗って食べたという伝説があることや、室町時代の文献に残っていることから、日本における練り物の原型とも言われています。

ちくわは、生食用の「生ちくわ」と、煮物やおでん種に使う「焼ちくわ」の2種類に分類。生ちくわは江戸時代末期から、焼ちくわは明治時代から作られるようになりました。(※1,2)

ちくわのルーツは「かまぼこ」にあった

ちくわは、作られるようになった当時「蒲鉾(かまぼこ)」と呼ばれていました。由来は、見た目が植物の「蒲の穂(がまのほ)」に似ていたため。確かに、形を想像すると今のちくわにそっくりですよね。当時のかまぼこが、現在のちくわのルーツになっていることがわかります。(※3)

ちくわとかまぼこが区別されたのは江戸時代

ちくわとかまぼこが区別されるようになったのは、安土桃山時代~江戸時代の頃。貞享元年(1684年)に書かれた郷土史『雍州府志(ようしゅうふし)』には、 “はも肉を取って細敲し、石臼にこれを摺り塩を加へて、尺許の円竹茎を心となし、外面円長にこれを塗り、焼いてこれを食す、これを蒲鉾という、されば則ち竹輪は古式にして、杉板に貼るところのものは近世の製也” と記されています。

つまり、板の上に半円状にすり身をのせたものをかまぼこ、竹の輪にすり身を塗ったものをちくわと区別するようになったのです。(※1,3)

ちくわは漢字でどう書く?

ちくわは漢字で「竹輪」と表します。由来は、切り口が竹の輪に似ているという説が有力。また、江戸時代末期に発行された『近世事物考(きんせいじぶつこう)』によると、 “後に板に付けたるができてより、まぎらわしきにより元のかまぼこは竹輪と名付けたり” と記載されています。前述の通り、かまぼこと区別するために名付けられたことがわかります。(※1,4)

創作漢字にも「ちくわ」がある

魚へんに二重丸「魚◎」で「ちくわ」と読む創作漢字があります。ルーツは定かではありませんが、ふたつの文字を組み合わせて新しい漢字を作ったり、既存の漢字を分解したりする落語家の遊び「字噺(じばなし)」から生まれたと言われています。ちくわの断面がそのまま漢字になるなんて、落語ならではの洒落がきいていますよね。

ちくわの漢字は見た目から生まれた!

ちくわの漢字は、竹の輪に似た見た目がルーツとされています。焼き目の色や筒状の形がそっくりですよね。この機会に、普段何気なく食べているものの由来や歴史に関する知識を深めてみてはいかがでしょうか?
【参考文献】
(2021/08/12参照)
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