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この記事は、豊かなフードライフを演出するWEBメディア「dressing」の提供でお送りします。
東京駅からすぐ近く、うなぎ専門店『八重洲 鰻 はし本』
東京駅からも日本橋駅からも徒歩3分ほど。昔の風情を残す路地に佇むうなぎ専門店『八重洲 鰻 はし本』は、小ぶりながらも凛としたオーラを放っている。
気さくな雰囲気の1階客席。奥には座敷もあり、一人でも家族でもゆったりと過ごせる設えだ。
水槽にはナマズや沢ガニ、もちろんうなぎも生息し、「うなぎはリラックスすると仰向けで寝ているんですよ」とスタッフ。思わずのぞいてしまう。
着席したら、何はともあれ「鰻オーダーの手引き」など、品書きに添えられた手書きのメッセージを読んでみよう。
4代目が大切にするのはうなぎの生産者
「4代目『はし本』は第一に“うなぎは生産者”と考えています」。メッセージのひと言ひと言が、印象的だ。
書き手は、橋本正平さん。命をあやめる仕事をするのは嫌だなと思い、後継者になるのを避けていたが、最終的に4代目になることを決心。板長に一から教わると同時に、独学でうなぎについて猛勉強。
生産者と交流を持ち、関係を築いてきた。さらに日本全国のうなぎ店をめぐり、おいしいうなぎを探求し続けている。
生産者と交流を持ち、関係を築いてきた。さらに日本全国のうなぎ店をめぐり、おいしいうなぎを探求し続けている。
メッセージから、橋本さんがうなぎとどのように向き合っているかが、しっかり伝わり、私たち食べ手の背筋が伸びる。
ディナータイムはオーダー後に活魚から調理すること、出来上がりまで30〜40分かかること、最初の注文時にまとめて注文することも明記しているが、それはすべて、1本1本のうなぎを最高の状態で味わってもらいたいという強い気持ちの表れだ。
まずは、橋本さんの手仕事を見ていただこう。
伝統の技と、新しい挑戦
ディナータイムはオーダーが入ってから、割いて串刺し、焼き、蒸し、仕上げを行なう。取材日は、鹿児島県の生産者・楠田さんが育てたうなぎだ。
1本をまな板へ上げると、瞬く間に頭を落として背中から開き、骨をそぎ、ヒレを取り除く。リズムよく流れるような手仕事に見惚れてしまう。
続く串打ちは、力を込めてまっすぐに。江戸前では必ず竹串を使うという。
串刺しの次は、素焼き(白入れとも言う)。先に皮目を焼き切り、にじむ脂を落としたら、さっと返して身を焼く。熱源に電気を用いることで、仕上がりにムラがなくなる。
焼きながら、「大人のうなぎになっていく冬場は、滋味深くてうまみが増すんです」と、橋本さんが教えてくれる。
出荷が始まる6月頃の新子は、骨も皮も薄く身がやわらかい。それが冬に向かって徐々に成長していくのだ。
「うなぎって夏のイメージですが、季節を通じて味わいの変化を楽しめるんです」(橋本さん)
素焼きの後、8〜20分ほど蒸す。江戸前は蒸す工程があるから、仕上がりの食感の調整も叶う。橋本さんは、蒸し切らない、ほどよい食感を重んじている。
タレは、開店以来、注ぎ足しているが、「実は、5年間かけて少しずつ甘くしていったんです」と、橋本さん。やや甘めは橋本さんの好みで、蒸し切らない食感にもよく合う。
タレについて、橋本さんはこう考える。
「年数が多いほどいいと思われがちですが、僕はそうは思いません。いかにコンスタントに、いいうなぎをたくさんくぐらせているかが大事なんです。
(品書きのメッセージより)
~創業以来「今」が最も旨い循環のなかにあるタレこそが「秘伝」なのです~
蒸しあがったうなぎは、炭火で仕上げ。タレにくぐらせ、炭火へ。またくぐらせ、炭火へと、合計3回くぐらせる。
ふっくら濃厚! うな重がうまくて箸がとまらない
こちらが、完成した「鰻重」。
一粒一粒が立ったご飯を、焼き立てほかほか、香ばしく弾力あるうなぎが覆う。橋本さんが、「やや甘め」と表現するタレは、うなぎと溶け合うとさっぱりとした印象だ。
香り高い肝吸いからは、プリプリの新鮮な肝が顔を出す。滋味深く、五臓六腑に染み渡る。ごちそうさまと告げるころ、体が温まり、血行が良くなったような気分になる。
お土産に贈答品に、新商品のうなぎをおうちでどうぞ!
そんなうなぎだが、自宅で『八重洲 はし本』の味を再現できる真空パックの「蒲焼き」が味わえる。うなぎ職人が徹底的に研究をして完成させた逸品だ。
店内のようにオーダーが入ってから作り始め、冷蔵で30日間保存が可能。自宅ではパッケージのまま湯煎で4分温めるだけ。炊きたてのご飯を用意して、味わいたい。
お店で食べるならうなぎの一品料理と日本酒を楽しもう!
さて、店舗でうなぎを味わうなら、うなぎが蒸しあがるまで「香のもので待つ」のが、粋な江戸っ子というもの。
おすすめは、1人なら3カン、2人なら5カンと、量が選べる「うざく」(写真上)。まろやかな酸味、キュウリの繊細な食感と相まって、五感が潤っていくようだ。
調理に使用する調味料もうなぎ同様、なるべく顔が見える生産者からいただくものを使っている。
こちらは塩をふり酒をぬってひと晩置いて焼く「一夜焼」(写真上)。炭火焼きの香ばしさの向こうに、うなぎ本来の甘みが広がっている。自然塩がうなぎ本来の甘みを存分に引き立てる。
一品料理には、ぜひ橋本さんが選りすぐる日本酒からチョイスしてみて。どれも日本酒好きが唸る、素晴らしき一献がそろう。
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