目次
小見出しも全て表示
閉じる
「まな板」選びのコツを衛生研究のプロが伝授!
料理をする際、野菜やお肉など、生の食材にはじめてふれる調理器具が「まな板」。食中毒予防のためにも、まな板はいつでも清潔に保っておきたいですが、正しいお手入れをしないと雑菌が増殖しやすい場所なんですよ。
食と衛生にまつわる身近な疑問にスポットを当てる連載の第2回。今回は、細菌やカビなど、微生物と衛生について研究を行う「衛生微生物研究センター」主席研究員の李 新一さんに、まな板を清潔に使うコツをうかがいました!
▼前回の内容はこちらをチェック!
木製とプラスチック製どっちが清潔?
前回は、食器のつけ置き洗いによって細菌が増殖し、食中毒につながる危険性もあると学びました。同じく食中毒を防ぐために注目したいのが、まな板。
「突然ですが、まな板はどんな材質のものを使っていますか?」
ーーキッチン雑貨屋さんで買ったプラスチック製のものを使っています。木製のまな板は雑菌が繁殖しやすいイメージがありまして……。
「そう思われる方が多いので、実際に木製のまな板とプラスチックのまな板、それぞれ表面の細菌の数を調べてみたら……ほとんど違いがなかったんです!」
ーー意外な結果……!木製のまな板は包丁の刃で傷ついた部分に細菌がたまりやすいんじゃないかと思っていました。
「調理中のさまざまなシーンでまな板表面の細菌の数を調べてみたところ、食材を置く前よりも食材を置いた後は特に多かったんです」
ーー食材についていた細菌がまな板につくんですね!
「そうなんです。しっかり手入れできていれば、傷がついた木製のものでもプラスチック製のものでも細菌数はほぼ変わらないんです。
木製のまな板はしっかり乾燥させないと反りやすかったり、黒ずみが目立ちやすかったりと、プラスチックよりもお手入れが難しいのは確か。プラスチック性のものは洗剤も使えますし、熱湯消毒も気にせずできるので手軽なんです。丁寧に扱える方なら、衛生面は気にせず好きな方を選んでいいと思いますよ」
ーーまな板の材質よりも、しっかりお手入れできているかどうかが大切なんですね。
小まめな洗浄や使い分けを徹底して
「そうです!細菌による食中毒を防ぐコツは
・菌をつけない
・菌を増やさない
・菌がついたらすぐに殺す
の3つ。
私たちの身近には多くの菌がいて、どんなに丁寧に洗ってもゼロにすることは不可能です。使うたびに小まめに洗い、1枚ずつ風通しのよいところに立てて乾燥させることを徹底してください。たまには天日干しもするとよいですね。細菌の増殖を防いで、リスクを減らしましょう。
食材ごとについている細菌の種類が違うのでまな板や包丁を使い分けることも大切です。生肉やお魚には、食中毒の原因になる菌が多いんです。お肉や魚は加熱して食べるので問題ありませんが、生で食べる野菜などを一緒に扱うのは危険です。定期的に塩素や天日干しで消毒するのも大切です」
ーーまな板経由で生肉の細菌がついた生野菜サラダ……食べてしまったらと考えると恐ろしいですね。まな板や包丁の使い分けも徹底します!
まな板の買い替え時はいつ?
ーーしっかりと手入れしていても、古いまな板は衛生面が心配です。まな板の買い替え時の目安はありますか?
「先ほど、木製のまな板とプラスチック製のまな板では衛生面で差がないと言いましたが、新品のまな板と長年使って年季の入ったまな板でも細菌の数に大差がなかったんです」
ーーうっすら黒ずんだまな板と新品の真っ白いまな板の細菌数があまり変わらないなんて!
「もちろんこの実験でも、古いまな板はしっかり洗って乾かしたものを使いました。使えば使うほど細菌は増殖しやすくなりますし、新しいまな板は抗菌加工されているものもあるので細菌が増えにくいというメリットがありますが、しっかり手入れしていれば古いまな板でも問題なく使えるんです。
使い込むと黒ずみが気になりやすいので、気分よく使えなくなってきたら買い替える、でいいんじゃないでしょうか」
ーーあまり神経質になりすぎなくていいんですね。
細菌を増やさないことが大切!
「人間の口の中には、歯磨きした直後でも数百万個の細菌がいるんですよ」と李さん。私たちの身の回りには沢山の細菌がいて、まな板についた細菌もゼロにすることはできません。しかし、細菌の増殖を防いで、食中毒の原因になる菌を体内に取り込まないよう注意すれば、そこまで恐れる必要はないようです。
プラスチックよりもお手入れは難しいですが、木製のまな板には刃当たりのよさや、食材を切る際の音の趣など、魅力も沢山。生肉や生魚は消毒しやすいプラスチック製のものを使うなど、使い分けしながら大切に使いたいですね。
※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。
暮らしの人気ランキング