ライター : 伊藤 千亜紀

フードアナリスト

ワインのフルボディって?

ワインの「フルボディ」ってご存じですか?なんとなく聞いたことはあっても、それが何を意味するのか、詳しくは分からないという方も多いかもしれません。 例えば、ワインの味を誰かに伝える際、「おいしい」「おいしくない」と言った主観的な表現だとうまく相手に伝わりませんよね。フルボディとは、ワインの味を客観的に伝えるための言葉で、ワインの「味わい」や「味の豊かさ」を伝えます。 一般的に赤ワインに対して用いられることが多く、タンニンやアルコール度数を表現しています。ご存じの通り、ボディとは英語で「体」を意味し、赤ワインを「男性的」「女性的」と人の体に例えたことからこのような表現が使われているそうです。 一方、白ワインやロゼでは「フルボディ」と言った表現はあまり使われず、「甘口」・「辛口」と表されることが多くなっています。こちらの方がフルボディより聞き馴染みがあるかもしれませんね。

なんで赤ワインにだけフルボディを使うの?

フルボディという表現がなぜ赤ワインにだけ使われるのかというと、ほとんどの赤ワインは甘みを含まないため白ワインのように辛口・甘口と表現できないからだそうです。また、赤ワインの味を決めるときに甘みだけでなく、渋味や酸味、コク、アルコール度数など様々な観点から判断することも理由のひとつといわれています。 「アルコール度数が高いからフルボディで高価なワイン」というわけではありませんが、一般的にフルボディワインは他のワインに比べてアルコール度数が高いほか渋みが強く、重い味わいであることが特徴です。

そもそもフルボディってどんな意味?

そもそもフルボディとは、どのような意味なのでしょうか。 英語圏ではワインの「フルボディ(full-bodied)」=密度の高いという意味で使われており、フルボディのワインは「濃厚な味」「コクがある」と捉えられています。ボディ=口の中で感じられるワインの重み・コクを表し、その強さの度合いを表しています。つまり、強いとフル、中間だとミディアム、薄いとライトとなり、日本では「濃厚な」「ふくよかな」「豊かな」という意味で使われています。

フルボディ以外のワインの種類は?

フルボディの意味についてご紹介しました。重みやコクのあるワインが好みの方にとっては、フルボディのワインは最適と言えますが、フルボディ以外のワインはあるのでしょうか。また、どのような特徴があるのでしょうか。

ミディアムボディ

フルとライトの中間に位置するワインのことで、ほどよいコクがあり、料理に合わせやすく飲みやすいワインです。フルボディのワインが脂身の多い肉料理や赤身魚などと相性がいいのに対して、ミディアムボディは脂身の多い魚介類やサッパリめの肉料理とよく合います。 赤ワインが飲みたいけどフルボディだとちょっとヘビー……でも白ワインやロゼでは料理に合わない、という場合に最適です。また、ビーフシチューや煮込み料理を作る場合に足すワインはこのミディアムボディがいいかもしれませんね。

ライトボディ

「軽い」「薄め」のワインで、渋みも少なく赤ワインビギナーがトライしやすいワインのことです。フルボディとは真逆で、タンニン量が少ないため色も薄く、グラスに注いだ時に向こう側が見える薄さです。アルコール度数も低く、11~12%ほどのものが多いので和食にもよく合います。 しかし、ライトボディのワインが必ずしも色が薄いわけではなく、例外的にボジョレーのように色の濃いワインもあります。これらのワインは「マセラシオン・カルボニック」という特殊な手法を使って製造されており、ブドウの果皮から色素が出た後に、タンニンの抽出が本格化する前にマセラシオン(=醸し)をストップする方法で作られているため、軽やかで飲みやすいワインになるのだそうです。
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