ライター : 堀田 らいむ

webライター

東京の下町を走る都電荒川線

路面電車をご存知ですか?バスや乗用車と同じように道路を走る電車のことです。一般に市電と呼ばれていますが、東京都が運営する路面電車は都電と呼びます。路面区間(道路を走る区間)は王子駅前~飛鳥山間だけになってしまいましたが、荒川線は風情が残る東京の下町を走ります。乗っていることが楽しい都電。都電に乗車した記念には、車両を模したデザインの「都電もなか」がおすすめです。

都電もなかとは?

都電もなかの歴史

都電は全盛期(昭和30年ごろ)に40系統もあり、銀座や渋谷、新宿も走っていました。自動車を利用する人が増えて交通渋滞が慢性化したことや、代替の交通機関(地下鉄)が整備されたことから徐々に廃止され、路面電車の線路は取り外されました。 現在残っている路線は「早稲田」と「三ノ輪橋」を結ぶ12.2km(荒川線)だけです。ほとんどが電車用の敷地内を走行することや、代替する交通機関が少ないことなどから存続が決定しています。沿線住民の存続嘆願が行政を動かしたとも言われています。 存続運動が行われていた頃、「梶原」停留場の都電もなか本舗の明美さんが「都電もなか」を考案して発売しました。鉄道ファンにうけて沿線の名物になり、「都電もなか」を買うために都電に乗る人が増えていきました。そして都電荒川線という路線名も全国に広まっていきました。

都電もなかの味

手のひらサイズの最中種(皮)のなかに、あんがたっぷり。あんの中心にはもっちりした食感の求肥が入っています。焦がし最中種は100%もち米が原料。北海道産小豆を使ったつぶしあん。短冊状の求肥は白玉粉で作られています。「伝統的な和菓子の甘さ」や「上品な甘さ」と、あん自体の評価が高いようですが、あんを「モチモチした求肥」や「香ばしい最中種」と一緒に食べれば、甘さと風味が調和するように工夫されています。風味を逃がさないよう特殊な和紙で包み、個別包装してあるのも特徴の一つ。

都電もなかのフォルム

「都電もなか」は長さ9cm、幅2.5cm、高さ3cmの細長い形です。車両がイメージできるように、最中種(皮)には窓、出入り口やパンタグラフが模してあります。注文の際、お店の人が「何個ですか?」ではなく、「何両ですか?」と聞いてくれるのも、鉄道ファンにはうれしいサービスです。 最中が入っている箱(パッケージ)に都電荒川線の車両が描かれていて、現在は5種類あります。10両入りの箱は都電の車庫になっており、あたかも車庫に都電が戻ってきたかのように見える細工がしてあります。10両以上は都電荒川線・路線図がすごろくとして画かれた化粧箱です。紙サイコロも付いていますので、都電に乗車したことを思い出しながら遊ぶことができますよ。

都電もなかを製造する「明美」

昭和32年創業の和菓子屋さんです。先代の社長が「万が一、都電が廃止されても何らかの形で都電を残したい」と「都電もなか」を考案し、昭和52年から販売しています。先代のモットーは「お客様が満足されたときが商い」とのこと。もなかの形からパッケージや包装に至るまで凝って作られており、全国の鉄道ファンに支持されました。 そして、「都電もなか」は第20回全国菓子大博覧会(昭和59年)厚生労働大臣賞を受賞。東京都北区名品ガイド30選(平成16年度)に選定されました。「飛鳥」、「飛鳥山 吉宗桜三昧」、「音無川の四季」や「王子の狐」など王子にちなんだ本格的な和菓子も販売しています。

店舗情報

都電荒川線「梶原」停留場で下車してください。すぐそばの明治通りを渡って、線路沿いを「荒川車庫前」方面に進みます。城南信用金庫・梶原支店と薬局の角を曲がると、梶原銀座商店街入り口に「ショッピングロードかじわら」というアーチがあります。そこが「都電もなか本舗・明美」さんです。停留場から徒歩約2分です。 都電荒川線「梶原」停留場は、始発の「早稲田」から約30分、「三ノ輪橋」から約20分。都電荒川線は途中の停留場で、JR京浜東北線とJR山手線に接続しています。 ■店名:都電もなか本舗 菓匠 明美  ■住所:〒114-0004 東京都北区堀船3-30-12 ■TEL:03-3919-2354 ■営業時間:10:00~19:30 ■定休日:月曜日(祝日は営業。振替休業あり) ■公式サイト:http://www.todenmonaka.com/
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