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グアニル酸
1957年、国中明さんがシイタケ中から抽出した旨味成分です。干ししいたけに多く含まれていますが、そのままの状態ではあまり含有量は多くありません。水につけて戻す工程でグアニル酸の素となるリボ核酸が増加し、このリボ核酸を加熱すると、グアニル酸に変化します。
まだまだある旨み成分
貝類に豊富なコハク酸、大豆食品や鰹節などに多く含まれるアスパラギン酸がよく知られています。そのほか、食用ハエトリシメジのトリコロミン酸や、毒キノコのテングタケ(間違っても食用は厳禁です)に含まれるイボテン酸も旨味成分です。
初めて出会う旨味は母乳?
母乳にはグルタミン酸が豊富に含まれています。私たちにとって、最初に旨味と出会うのは母乳ともいえます。実際、生後直後の赤ちゃんは、旨味を感じることができるそうです。身体に必要な栄養素を取り込むため、旨味が活躍するんです。酸味や苦味を嫌っても、旨味のあるスープならばスムーズに心地よく感じる理由も、旨味によるのでしょう。
旨味成分の相乗効果とは
旨味成分は組み合わせることで相乗効果を生み出し、その魅力をより高めます。たとえば、和食では昆布、鰹節、椎茸からそれぞれダシを取って合わせます。ラーメン屋などに行っても、多彩なダシでスープを作っている旨がメニュー表で紹介されていますよね。
これは日本に限ったことではなく、西洋料理のフォンではグルタミン酸を含む玉ねぎなどの野菜類と、イノシン酸を含む牛スネ肉を使って味わいをアップさせています。グルタミン酸とイノシン酸・グアニル酸が組み合わさると、旨味が格段に増すことが経験的に知られているんです。
旨味は日本で発見され、日本人によって命名されたので、「旨味を感じられるのは日本人だけ」という話も一部あるようですが、それは誤りです。万国共通、舌で旨味を感じられるといわれています。
旨味は減塩にも役立つ
旨味があると、それだけで食材本来の味わい、深さ、奥行きをもたらします。過剰な塩分で味を調えなくても、十分に味が引き出されるんです。旨味は減塩につながる、という点では、健康面でも旨味が役に立つといえます。
まとめ
私たちはあまり気にも留めることなく、「旨味」と「おいしい」を混同して使いがちですが、じつは「旨味」には、先人の経験的な知恵と、そこから生まれた偉大な研究結果によって、世界的な評価を得たという知られざる歴史があります。
旨味と表現するとき、ぜひ脳内で「UMAMI」と変換してみてください。日本人によるノーベル賞級の発見に思いを馳せれば、昆布や鰹節やしいたけの凄みをより理解できるはずです。
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