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「保存食」を日々の生活の中で楽しもう
こんにちは、「たべる」にまつわる色々なイベントや講座のプロデュースをしている さとみひろこ です。ここ数年は仕事のひとつとして「保存食づくり」のワークショップの講師も担当しています。
保存食のワークショップを担当するようになったのは、食育活動のひとつとして、小学生向けに味噌作りのワークショップを担当したのがはじまり。子供たちに日本の伝統食の作り方を知ってもらおうという主旨のものでした。
でも、蓋をあけてみたら、参加したお母さんたちから
「え? 味噌って作れるの?」
「へぇ〜、大豆と麹と塩だけでできてるんだ」
「麹って一体なに?」
などと質問が殺到し、むしろ子供よりも大人のほうが味噌作りに興味津々。
そこで、「実は日本の保存食づくりは、大人でも体験したことがない人が多いのでは?」との気づきから、毎月旬にあわせた、大人むけの保存食づくりのワークショップが始まりました。
一年を通して、味噌づくりはもちろん、梅シロップ、梅干し、らっきょう、柚子胡椒、甘酒など、今までスーパーで買っていた調味料などを中心に、「いったいこの調味料はどんなもので作られているのか」「なぜ保存がきくのか」「なぜこの時期に仕込み、いつごろ食べられるのか」、そんな“保存食のキホン”をお伝えしています。
そもそも「保存食」はどうしてあるの?
毎日の生活の中で、使い切れずに残りがちなもの、捨ててしまうもの、結構ありませんか?
今では冷蔵庫や冷凍庫である程度保存ができますが、かつて冷蔵庫がなかった時代に、また冬の間雪に閉ざされてしまうなど食糧確保が難しい地方において、食材を無駄にしないための工夫としてさまざまな「保存食」の知恵と文化が各地で発展したといわれています。
そのため、日本には古来から受け継がれてきた食材の保存方法がたくさんあり、そんな昔からの知恵をうまく使えば、現代でもご自宅で簡単に保存食を作ることができますし、フードロスを減らすことにもつながります。
そこで今回は、食材の保存方法にまつわる"知恵"をいくつかご紹介していきます。
保存食を自家製するためのポイント
食材は微生物が食材の中のタンパク質やアミノ酸を分解することによって腐敗します。
つまり、裏を返せば、この微生物が活動しにくい状況をつくりだしてあげれば良いのです。
微生物の活動に大きな役割を果たしているのは「水分」「温度」「酸素」の3つといわれているため、この3つをコントロールすることで、微生物は活動しにくくなり、結果、食品の劣化を遅らせることができます。
保存食作りには、おもに5つの方法があります。
その1:乾燥させる
まず食材から「水分」を取り除く保存方法といえば、食材自体を”乾燥”させること。
野菜やハーブ、果物、キノコなどは、余ったら捨てずに乾燥させてみましょう。
あまり水分の多い野菜(葉野菜や水分の多い果物)は適しませんが、根菜類やキノコ、また果物だといちごやみかん、キウイなどはおすすめです。
湿度の低いカラッとした晴れの日があったらチャンス!日当たりがよく、できるだけ風通しの良いところに、ざるやバットなどにのせて置いておきましょう。
途中、ときどき上下を裏返してまんべんなく乾かすのもコツ。ここで水分が残っているとカビが生える原因になります。
乾燥させることで旨味がぎゅっと凝縮し、また歯ごたえもアップ。完全に水分を飛ばしておけばかなり長期間保存できますが、湿気を嫌うので保管するときは密閉容器で保管し、1ヶ月を目安に使い切りましょう。
その2:塩漬けにする
塩には浸透脱水作用があり、食材に塩をすると塩の浸透圧で水分が排出されます。この作用をうまく利用したのが塩漬けの保存方法。漬けもの、梅干し、イカの塩辛などが代表的な塩漬けの例です。
ものにもよりますが、だいたい食塩濃度が10%以上になると微生物が繁殖しにくいと言われています。
その3:砂糖漬けにする
砂糖は、微生物が活動するのに必要な水分を抱え込んでしまうという性質があり、これによって微生物が活動しにくい状況をつくります。また糖分の濃度が高くなると、酸素が溶けにくくなることから酸化防止の働きもあります。
砂糖を使った保存食といえば、ジャムを思い浮かべるかたも多いと思いますが、本来微生物の繁殖をおさえるためには糖度60〜65%以上が必要。そのため、ジャムは甘くて当然で、だからこそ長期保存できるものでしたが、最近では低糖度の甘さ控えめのものが主流ですね。
特に自家製ジャムは、砂糖の量を減らせて良い反面、糖度が低いとカビが生えやすいので、なるべく早めに食べきりましょう。
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