ライター : 相羽 舞

管理栄養士

トマト缶が危険って本当?食べないほうがいい?

トマト缶に関して、「危険」や「健康に害がある」という情報がしばしば見られます。トマトが入った缶詰の何が危険なの?と疑問の方も多いのではないでしょうか。

実はトマトの入る「缶」や「添加物」に理由があるようです。それではくわしく見ていきましょう。

トマト缶が危険と言われる理由

ポイント

  1. 缶詰に「ビスフェノールA」が使われている
  2. 食品添加物が使われている
  3. トマト缶は生のトマトより塩分が多い

缶詰に「ビスフェノールA」が使われている

缶詰には内面に腐食対策として塗装を施す場合があります。塗装には「ビスフェノールA」という化学物質を原料とするエポキシ樹脂が使われています。このビスフェノールAが食べ物に移行して、健康に悪影響なのではないかという理由で危険と言われているようです。

ビスフェノールAの暴露はできるだけ減らすべきとされています。しかし、実際に国内では食品衛生法の規格基準によって溶出量が制限されているほか、飲食から摂取するビスフェノールAはごく微量であるとされています。(※1)

食品添加物が使われている

多くのトマト缶には、酸味調整や味の調和をとるために「酸味料」が使われていることがあります。「クエン酸」も酸味料のひとつ。このことも、危険だと言われる理由のひとつと考えられます。

食品添加物は食品衛生法によってルールが定められており、安全について評価され、食品ごとに使用基準が設定されているものです。そのため、安全性は確保されていますよ。(※2,3,4)

トマト缶は生のトマトより塩分が多い

原材料名に食塩がなければ、食塩は添加していないと考えられます。しかし、トマト缶の商品のなかにはナトリウム量から換算され、食塩相当量が含まれている場合が。

生のトマトは食塩相当量が0gのため、トマト缶によっては塩分(ナトリウム)を生のトマトよりも多く含むものがあります。(※5,6,7)

妊婦や子どもがトマト缶を食べると危険?

妊娠中に缶詰に偏るような食事を続けると、胎児がビスフェノールAの影響を受けるおそれがあると言われています。近年はビスフェノールAの溶出が少ない食品缶への技術改良が進められており、事業者の自主的な取り組みやガイドラインの制定などがおこなわれていることから、通常の食生活では問題はないと考えられます。

また、日本をはじめアメリカやカナダ、欧州においては2008年の時点で「食品包装を通じたビスフェノールAの現在の暴露レベルは乳幼児を含めた全人口へ直ちに健康リスクを生じるものではない」としています。

しかし、トマト缶を危険と認識するほどではなくとも、なるべくビスフェノールAの暴露を減らすという心がけがあるとよいでしょう。(※1)
※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

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