ライター : macaroni 編集部

江古田の街に溶け込む「お菓子と麦酒」【編集部員が気になる店 #3】

Photo by emikokuwahara

西武池袋線 江古田駅北口を出て徒歩3分。

温かくなつかしい昭和の風情と、にぎやかな活気が感じられる「江古田市場通り商店会」のなかにあるのが、タルトとクラフトビールのお店「お菓子と麦酒」。

周囲には庶民的な青果店やお肉屋さんなどが多く、向かいはお惣菜屋さん、その隣はお豆腐屋さん。

スタイリッシュな外観のこの店は工事中から注目の的で、「何のお店?」「いつオープンなの?」と、道行く人に聞かれることが多かったそうです。

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入口を入ると、立ち飲みもできるカウンターがあり、奥には2人がけの小さなテーブルが2卓。小さいけれどなぜか落ち着く、とても居心地のいい雰囲気です。

「“お菓子と麦酒”に、価値観が集約された気がしたんです」

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店主の山口瑞希さんは、銀座の百貨店での販売員やIT企業のシステムエンジニアなどを経て、このお店をオープン。

「2019年末に会社を退職し、次のステップを模索していました。百貨店勤務をしていたときに接客業が好きだったことを思い出して、何かお店をやってみたいと思ったんです。」(山口さん)

そんな山口さんの背中を押してくれたのが、デザイナー業のかたわら、練馬区で「おみせ」というアートスペース兼雑貨店を経営していたご主人。

どんな店を出そうかとふたりで考えていたときに出会ったのが、サマセット・モームの小説タイトルで、シェイクスピアの「十二夜」にも出てくる“お菓子と麦酒(cakes and ale)”という言葉でした。

パンや水のように“生きるために必要なもの”ではないけれど、人生をより楽しくするために必要なものを象徴している言葉です。

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「お店を作るということは、自分たちの価値観を外に出すことでもあります。その『お菓子と麦酒』という言葉に、僕たち夫婦がずっと抱いてきた価値観が集約されている気がしたんです。それに江古田は、学生街で定食屋さんは多いけれど、気軽に入れる間食向けの店があまりないので、軽食と飲み物の店にしたいと考えていたイメージにもぴったりだったんですよ。」(ご主人)

山口さんは約半年間、目白の和菓子屋さんの喫茶室や、石神井公園で人気の自然派ワインとクラフトビールの店「自然派ワイン食堂 クラクラ」などいくつかのお店で接客と料理を学び、7月11日にお店をオープンさせました。

ふらっと寄って、生クラフトビールとタルトを楽しむ

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生クラフトビールは、4タップ。味わいのバランスや、タルトとの相性を考え、タイプが異なる4種類をそろえています。

今後は1ヶ月おきくらいに変えていく予定とのことですが、取材時は白ビール「Daydream(デイドリーム)」、黒ビール「Afterdark(アフターダーク)」、ペールエール「ブルックリンサマーエール」、IPA「だいだいエール」というラインアップでした。

看板フードは、山口さんが生地から手作りしているタルト。取材時に出逢ったのは、「トマトとチーズのタルト」「アボカド枝豆の豆腐タルト」「ミートタルト」(すべて2020年8月現在終売)の3種類でした。そのほか、「ベーコンナス」「にんじんとオレンジのラペ」「ツナゆでたまご」(各300円税込)といった、ひとり飲みサイズの小さなおつまみもあります。

「ひとりで1杯だけ飲みに立ち寄った方が、ちょっとつまむのにいいおつまみがあるといいなと思いまして。」(山口さん)

こんな言葉からも、“人生をより楽しくする”ことを大切にし、それを分かち合いたいと考えているおふたりの温かい気持ちが伝わってきますね。

タルトの繊細な味わいが、個性豊かなビールをよりおいしく

デイドリーム

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450円(税込)
生クラフトビールのひとつ「デイドリーム」は、代官山にあるビール醸造所「スプリングバレーブルワリー東京」の女性醸造家が醸している白ビール。

大麦の代わりに小麦を使用した白ビールは、小麦のやわらかさで苦味を包み込むような穏やかな味わいですが、「デイドリーム」は隠し味に和歌山県産の柚子ピールを効かせているのが特徴。オレンジの香りが口の中にふわっとただよい、飲んだあとに山椒の刺激をかすかに感じます。

トマトとチーズのタルト

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350円(税込)
「デイドリーム」に合うのが、こちらのタルト。フィリングは、お店の斜め向かいにある「豆腐の和泉屋」さんから、毎朝できたての豆腐を買い求めて作る豆腐クリームがベース。トマトとチーズをトッピングして焼き上げ、コリアンダーとハチミツをかけて仕上げています。

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タルトの生地は、ほのかな塩味と、サクサクホロホロの繊細な食感がたまりません。

豆腐クリームのどこかなつかしいやさしい甘味のあとに、トマトの爽やかな甘味が感じられ、チーズの塩味、ハチミツのこっくりした甘味が交互にくる絶妙な“甘じょっぱさ”です

よくあるビールのおつまみは、塩味が強く油っこいものが多いのですが、こういう繊細なタルトなら、クラフトビールの個性を味わいながら、ゆっくりじっくり満喫したくなりますよね。

だいだいエール

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450円(税込)
「だいだいエール」は、“世界で一番売れている日本のクラフトビール”といわれる「常陸野ネスト」の定番ビール。茨城県で栽培されている福来(ふくれ)みかんを加えたIPA(大量のホップと麦芽を使用したビール)です。

“ビール界のアカデミー賞”といわれる「ワールド・ビア・カップ」で金賞を獲得した逸品なんですよ。

福来みかんのかすかな酸味と、ホップの苦味がバランスよく融合した、穏やかで爽やかな味わいです。

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8月上旬まで販売していた「アボカド枝豆の豆腐タルト」は、「トッピングのミントが、ビールの爽やかさをより引き立てている!」と人気の組み合わせでした。

ご紹介したタルトは残念ながらすべて終売してしまいましたが、8月下旬からはそれに代わる3種が登場!
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