ライター : macaroni 編集部

まさかのおいしさ!? アイス+発酵食品のちょい足しアレンジ

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冬でもアイスが欠かせない皆さまこんにちは。毎日1つ、多い日は3つ4つとアイスを食べる、macaroni編集部きってのアイス好き、植松です。

長らく、コンビニに並んだ新商品を端から試すような形でアイスを貪ってきたのですが、少し前から楽しみ方の傾向が変わりまして。近頃はベーシックなアイスにちょい足しをして、自分好みの味を探すことにおもしろみを感じています。

ただ、大抵は「ふつうにおいしい」くらいで、感動するほどの味との出会いなんて稀の稀。「そのまま食べたほうがよかったな」なんて結果になることがしばしばで……。加えてアイデアも枯渇気味で、なにを試そうかというところから悩んでしまう日も。

そこで今回、当代きってのアイスマニア シズリーナ荒井さんに、おすすめのアレンジを教えてもらえないか、相談してみました。

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アイス研究家/シズリーナ荒井さん アイス食歴36年。5万個以上のアイスを食べ歩き、年間4,000種類のアイスを食す、日本最強のアイスマニア。また、アイスのおいしさを引き出すアイス研究家として、テレビ番組をはじめ、さまざまなメディアに出演。コンビニやスーパーに売っているアイスをよりおいしく楽しく食べる方法を紹介した『魔法のアイスレシピ』(KADOKAWA刊)も好評
「それなら、発酵食品を試してみてください。

皆さんがふだん食べていらっしゃるヨーグルト、あれは牛乳に乳酸菌を加えて発酵させたものですよね。発酵バターってあるでしょう?あれも牛乳を原料とするクリームを乳酸菌で発酵させて作られています。つまり何を言いたいかというと、乳と発酵って切っても切り離せないものなんです。そして、乳のように発酵させるとおいしくなるものは、そのほかの発酵食品との相性もムチャクチャ良いんですよ。となれば、乳を原料としているアイスクリームと発酵食品の相性の良さは……語るまでもないですね」

発酵食品と言われて真っ先に頭に浮かんだのは、例に挙がったヨーグルトや発酵バター、しょうゆ、味噌、お酢、チーズ……。どれをどんなふうに使うと、大好きなアイスをよりおいしく食べられるのでしょう。

「市販のアイスクリームの魅力をより深く楽しめるアレンジを4つ、お教えします。どれが一番とは言えませんが、私自身が試して、これはおいしい!と思ったものばかり。いずれの組み合わせも、アイスと発酵食品のどちらかが際立つのではなく、両者が主役と感じられるような、風味の調和による二重奏、三重奏を楽しめるレシピとなっています。ぜひすべて試していただいて、感想を伺いたいですね」

教えてもらいながら順に試食したのですが、どれもこれも「ウソでしょ!?」と思うくらい意外性があり、かつアイスの味を格段に高めてくれるアレンジばかりでした。一個人の独断と偏見で恐縮ですが、この4つに順位をつけ、ベスト4としてそれぞれご紹介します。

【4位】エッセル スーパーカップ チョコクッキー + 赤ワイン

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「これはもう簡単です。『エッセル スーパーカップ チョコクッキー』(明治)を食べるときに、赤ワインを適量かけて食べるだけ。ココアのビターな風味と赤ワインの芳醇な香りと酸味。これらがマリアージュすると、とても高級感のある味わいが生まれます。ココアクッキーに含まれている塩味が、口の中での味覚のバトンを上手くリレーしてくれるんですよ」

さっそく試してみると、子どもも大好きなチョコアイスが途端に表情を変え、大人好みな味わいに。赤ワインで酸味が増したことであと口が軽くなり、まろやかでコク深いのに口当たりはさっぱりとした、絶妙なスイーツに生まれ変わりました。

より濃厚な風味を求めるなら、バルサミコ酢を試してみるのも良いかな?なんて思っているうちに、1カップ分のアイスがきれいになくなってしまいました。

【3位】エッセル スーパーカップ 超バニラ + ブルガリアヨーグルト

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「『ブルガリアヨーグルト』(明治)400mlを水切りして、『エッセル スーパーカップ 超バニラ』(明治)1カップと合わせてみてください。

6時間ほど冷蔵庫でヨーグルトを水切りしてから混ぜるとおいしいです。買ってきたヨーグルトをそのまま使ってもいいのですが、それでは少々水っぽい。ちょっと手間はかかりますが、味が薄まる要素を排除するため水気を切る、これがポイントです。

400mlのヨーグルトを水切りすると、だいたい200mlくらいになります。それを超バニラと1:1でしっかりと混ぜ合わせたら、スペシャルなヨーグルトアイスの完成です」

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水分が抜けてクリームチーズのようになったヨーグルトと超バニラを混ぜ合わせると、ほのかに黄色を帯びた、トロッとした質感のペーストに。さっそく試してみると……、アイス由来の冷たさとともに、コンビニやスーパーで見かけるバニラ風味のカップヨーグルトに似た味わいが口に広がりました。

「似ていますよね。あれを思い切り食べたくて考えたレシピでもあるんです」

ふたつの風味がまさに調和していて、はじめからこの状態で売られていたんじゃないかと錯覚するようなできばえ。何より甘みのバランスがちょうど良く、バニラの香りとほのかな酸味がひと匙ごとにあとを引きます。でき上がったのは2人前の量でしたが、勢いのまま、ひとりでペロリと完食してしまいました。

【2位】エッセル スーパーカップ 超バニラ + 粉末納豆

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勢い余ってかけすぎてしまいました……
『エッセル スーパーカップ 超バニラ』(明治)1カップ(200ml)に対して大さじ1杯の粉末納豆を混ぜ合わせ、ネリネリして食べてください。味や食感をわかりやすく表現すると、きな粉味のアイスに粘り気がついたような感じ。和風な味わいのスイーツになります。

ふつうの納豆をそのままバニラアイスに混ぜるのも悪くはないのですが、少々納豆が勝ちすぎてしまう点と、水分で水っぽくなってしまうところが気になってしまって。より良いマリアージュを考えた結果、生まれたのがこの組み合わせです」

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アイスの水分を吸った粉末納豆の一部が戻ることで生まれるとろみ……画像で見るとわかりやすいですね。納豆とアイスという組み合わせに引いている方もいるかもしれませんが、トルコアイスにきな粉をかけたらこんなふうになりそうです。納豆らしい臭みはほぼなく、上品で和風なアイスがそこにありました。粉末納豆のおかげで食べ応えが増し、お腹持ちも良い感じ。小腹が空いた時間のおやつにちょうど良いのではないでしょうか。

「お好みで黒蜜をかけるのもおすすめですよ」

この日は用意がなかったのですが、とろみのあるアイスはお餅のようでもあり、「信玄餅」みたいなスイーツになりそう。この時点でアイスを3つ食べていたのに、黒蜜と聞いた途端、口に湧いたよだれが垂れそうになってしまいました。

【1位】MOW PRIME ゴールドラムレーズン + いぶりがっこ + クリームチーズ

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「『MOW PRIME(モウ プライム) ゴールドラムレーズン 〜発酵バターの香り〜』(森永乳業)は、その名のとおり発酵バターの風味がするアイスです。一方、いぶりがっこってチーズと合わせて食べることが多いじゃないですか。このふたつを組み合わせたらおいしくなるというのは、自明の理でした。

アイスに入っているレーズンと同じくらいの大きさ(約8mm)にいぶりがっこを賽の目切りして、両者を混ぜ合わせてください。それより少し大きめに切った『kiri(キリ)クリームチーズ』(ベル ジャポン)も合わせると、よりおいしく仕上がります。それぞれの分量は適量で。お好みのバランスでOKです。

風味に特徴のある3つが渾然一体となることで生まれる、味と香りの三重奏。かなり大人な味わいで、カクテルグラスに盛り付けたらどこのお店の高級スイーツかと思うような仕上がりになります」

いぶりがっこの燻香とラムレーズンならではの洋酒の香りが相まって、漂う香りがすでに高級。大きめのスプーンで口に運んでみると、その味わいは想像以上にリッチなものでした。

「MOW PRIME(モウ プライム) ゴールドラムレーズン 〜発酵バターの香り〜」はそもそも贅沢感のあるアイスなのですが、そこにいぶりがっこの香ばしさ、クリームチーズのほど良い酸味が加わり、味の奥行きが増しています。洋酒のあてにスモークを食べることがありますが、よく知られたマリアージュをそのままアイスに置き換えた感じ。加えて、いぶりがっことラムレーズンの食感が心地よく、食べて楽しいひと品でした。というわけで、このアレンジが堂々のベスト1!次はお酒と合わせて試したい!

アイスと相性の良い発酵食品はまだまだほかにも!

話を聞いた時点ではやや面食らいもした、アイスと発酵食品の組み合わせ。しかし試してみればどれも予想をはるかに超えておいしく、目の前にあるアイスの世界が大きく広がったと感じました。

「アイスと相性の良い発酵食品はまだまだあると思いますよ。たとえば、私がこれから研究したいと思っているのは、味噌とのマリアージュ。実は、名古屋には八丁味噌と合わせたジェラートがあるんです。

あとは、しょうゆ。直近のアイスのトレンドはヴィーガン、要は乳を使わないアイスです。2023年には市場の半分を取るんじゃないかという勢いで、各メーカーが開発を進めています。アメリカのアイスの市場を見ても、牛乳を使ったアイスって本当に少なくなっているんですよ。豆乳やオーツミルクを使ったアイスに置き換わっていっているんです。

そこで問題となるのが、植物原料由来のえぐみをどうマスキングするか。それをする上で、しょうゆがけっこう活躍するとにらんでいるんですよ。しょうゆって素材の味を殺さず、においだけを消してくれる調味料じゃないですか」

この記事ではちょい足しによる発酵食品とアイスのマリアージュを提案しましたが、今後は大手のメーカーからこの組み合わせをベースとした新商品が生まれてくるのかも。そんな近未来のトレンドを先取りするという意味でも、今回のベスト4、試してみる価値があると思います!

取材・文・写真/植松 富志男(macaroni編集部)

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