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書いたひと
写真が好きなライター。長崎県にある焼きものの生産地・波佐見町に2020年引っ越し、波佐見焼や波佐見町の魅力を発信するWEBメディア『Hasami Life』の運営に携わる。うつわになにを盛ろう、と妄想するのが好き。
訪ねたのは、波佐見町の見晴らしのいい場所に建つ『Atelier Bisque(アトリエ ビスク)』。素晴らしいろくろの技術を持つ、太田祐子さんがおひとりで営まれています。波佐見焼の伝統工芸士の資格も持つ太田さんの新作、フリル花びんに心惹かれ、今回はお話を伺いました。
<かわいいものへの憧れをフリルに込めて>
この特徴的なフォルムの花びんは、どのように生まれたのでしょう。太田さんが語ってくれます。
「小ぶりなサイズの花びんは前からつくってたんですけど、ちょっとワンパターンだなと思っていたんです。特に独立してからは、私はろくろの伝統工芸士ですし、フォルムだけで『わあっ』て思ってもらえるものを考えていました。あとフリルなどのかわいいものが、もともと好きで。そういう思いがパッとつながって、フリル花瓶ができました」
<作家というより、生地職人>
「私の仕事のベースは生地職人だと思っています。どれだけ作家の活動が忙しくなっても、生地職人を辞める気はありません。なので、どちらかといえば職人だと自認しているんですが、どちらも違う楽しさがあるんですよ」
「まずは個数と納期が決まっていますよね。それからサイズ、生地の分厚さ、持ったときの重さ、雰囲気などはお客さまが指定して依頼してくれます。細かいオーダーにはやっぱり技術がないとお応えできない。いろんなハードルがある中で、お客さまの要望に応える楽しみがありますね」
とはいえ、生地職人としての仕事の醍醐味には、最初は気づけていなかったのだといいます。
<波佐見焼400年の歴史の上に咲き誇る技術>
「美術系の大学を卒業したこともあって、最初は自由に自分の思うままつくりたいっていう思いが強かったんです。でも、鍛錬して、ろくろを回せば回すほど、職人としてのおもしろさを実感しました」
漠然とつくるのではなく、すべてに細やかな気配りと計算を忍ばせる。太田さんの職人としての哲学と技術は、波佐見をはじめ、有田や伊万里などの産地の作家さんたちに支持されています。
職人だからこそ、作家として自由に作品がつくれる。太田さんのろくろをはじめたころの「作家になりたい」という思いは、高度な技術を持つ職人として花開いています。
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太田祐子さんの作品は、波佐見町にある『Atelier Bisque(アトリエ ビスク)』にて販売しています。ときどき、全国各地の展示会などにも出品していらっしゃるので、太田さんのインスタグラムにて情報をご覧ください。
ぜひぜひ、太田さんの焼きものにふれていただきたいです。
住所:長崎県東彼杵郡波佐見町折敷瀬郷1482-13
ギャラリー営業時間:13:00〜17:00
TEL:0956-85-4222
日曜定休日
Instagram:https://www.instagram.com/atelierbisque