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ワタナベを追いかけ、広島県神石高原町(じんせきこうげんちょう)へとやってきた。
広島県福山市の北に位置する、鉄道もない高原の町。
たどり着くには、福山駅からバスやタクシーなど車での交通手段しかない。
ワタナベはなんのためにこの町に来たのか?
いや、そんなことより、ここは俺にとっても初めての場所だ。
どんなうまいグルメがあるのだろうか?
知らない土地には、必ず発見の喜びがある!
うずうずしてきたぞ。さっそく調査だ!
以下、詳細は捜査資料を確認してくれ!
神石牛ラーメン「ラーメン・中華 丈」
地元刑事に紹介されたのは、「丈(たけ)」という町中華。外観は地方にあるドライブイン・ラーメン屋といった風情。店内は思ったより広いが、昼時ということもあり満席状態だった。ただしやはり入れ替わりの回転は早い。少々待って地元刑事と共に席に着いた。
カウンター内の厨房では、コワモテ風な店主やガタイの良い店員が、テキパキと鍋を振っている。「初めての町中華ではチャーハンを頼む」がモットーなのだが、ホワイトボードの数量限定メニューが目に入ってしまった。
なに?神石牛ラーメンだと!? 地元刑事に話を聞くと、神石牛はこの町のブランド牛だという。
牛は淡路島でかなり食したのだが、俺としたことが、ひとつやり残していたと気づく。カレーに気をとられ、牛を使った麺は食べていないのだ。さらに、どの土地でも麺は食べずじまいだったと思い返す。
よし、決まりだな。今回はチャーハンではなく、この神石牛ラーメンだ。
店の雰囲気から背脂多めとか二郎系のラーメンなどを想像していたのだが、予想外に美しく澄んだ淡麗のスープがやってきた。うまいんだよな、こういう昔ながらの醤油ベースの中華そば。
名前に冠した神石牛は、煮豚ならぬ煮神石牛のトッピングとして、青ネギと共にどっさりと盛り付けられている。期待値が高まってきたぞ、久々のラーメン!
では、スープからいただくとしよう。お、これは尾道ラーメンの系譜か!尾道風だが、イリコなどの魚類系は使わず、豚・鶏の肉系だしと昆布・しいたけなどのだしでまとめた、あっさり系の醤油ラーメン。非常にあっさりとしていて、全くくどさがない。しかも、あっさりしながら、コクがある。うまい。スープ全部、軽く飲み切ってしまえるヤツだ。
どれどれ麺との相性はいかがなもんか?麺は中細麺。あっさり淡麗な尾道スープとよく絡み、すすれば絶妙な量のスープを口中に引き連れてくる。もう一口、もう一口とすすり続けてしまう欲求を止められない。
店主に聞くと、この中細麺は特注で頼んでいるというこだわりよう。なるほど、スープとのバランスが最高なわけだ。
トッピングの神石牛にも箸を伸ばす。これまたうまい。必要な分の脂を保有していながら、脂っぽさを感じない。牛丼の牛のような感じかと思えば、しっかりと牛を味わえる上手な加減。しかも牛の脂はスープのコクにも一役買っているようだ。
なるほど。それならばと、テーブルにあるおろしニンニクへと手を伸ばす。
これだけあっさりした牛なら、パンチを与えてもうまいはず。おろしニンニクを煮牛に乗せて口に運ぶ。おお、やはり!神石牛がラーメンのおかずになった!
肉を食べれば、すすりたくなり、すすれば次の肉がほしくなる。一杯のラーメンの中でできあがる旨みのルーティンだ。気がついたら、スープまで完食してしまっていた。あと、もうひと口スープを飲みたい、麺をすすりたい気分なのだが、時すでに遅し。
ふむ。このラーメンは、おいしさがじわじわとくるタイプのようだ。いつの間にか虜にさせられてしまう。
周囲を見渡すと相変わらず混んだ店内では、焼きめし、肉ニラ、唐揚げ、餃子などを無心に食べる客たちの幸せそうな表情で溢れかえっている。町中華ならではの普遍的なうまさが全ての客を満足させているのだ。
この店、地方のドライブイン・ラーメン屋などというレベルの店ではなかったようだ。
「ラーメン・中華 丈」は、福山駅からのバスが停まる「道の駅さんわ182ステーション」という道の駅に隣接している。バスでも行けるので、神石高原町や福山に来た際はぜひ訪れてみてくれ。
■店名 ラーメン・中華 丈(たけ)
■住所 広島県神石郡神石高原町大字坂瀬川5150-2
■営業時間
【平日】
昼 11:00〜15:00(L.O. 14:50)
夜 17:00〜21:00(L.O. 20:50)
【土・日・祝】
11:00~21:00(L.O. 20:50)
■定休日 火曜日(祝日は営業)
こんにゃくメンチカツ「AIQON STORE」
神石高原町で特筆すべき食材はもう一つあった。こんにゃくだ。こんにゃくといえば群馬県が一大産地だが、そのほとんどは中国原産種と掛け合わせた改良種。それに対し、神石高原町では300年の歴史を持つとされる在来種が今も栽培されているのだという。初めて知った!
中国産地の地下58mから汲み上げた地下水で、在来種を昔ながらの製法で作っているのが神石高原町のこんにゃくというわけだ。そう聞いたら、食べぬわけにはいかない。
地元刑事の車を走らせていると182号線という旧道沿いに、「AIQON STORE(アイコンストア)」というのぼりと、こんにゃくメンチカツの看板を発見した。
こんにゃくメンチカツか。うまそうだな。よし、いってみよう。
ここは、またもや中国人パティシエのイーリンがスイーツを作っていたお店だった。こんにゃくがタピオカのようにトッピングされたホットジンジャーショコラ。寒い日に飲みたくなるドリンクだ。
いや、それより、今はこんにゃくメンチカツだ。
イーリンたちを無視して、メンチカツを注文する。と、注文をとった女性がメンチカツを揚げ始めた。聞いてみると、彼女が店主だった。なんと24歳だそうだ。結婚してこの神石高原町に住むようになり、貴重な在来種のこんにゃくを守ろうという思いで店を始めたそうだ。
店名のアイコンとは「愛して、こんにゃく」の意味とのこと。こんにゃくへの愛が伝わってくる。
揚げたてのこんにゃくメンチカツをいただく。アツアツでうまい!
おお、角切りのこんにゃくと粗挽きの豚肉が、ほどよく混じり合う。こんにゃくの弾力が一瞬肉のようにも感じられ、食べごたえがある。豚肉は神石高原ポークを使用している。なるほど、女性ならではの視点。こんにゃくを混ぜてカロリーオフにしたメンチカツだ。
しっかりした味付けで、このままでもうまい。が、ごはんのおかずにもなりそうだ。
刺身こんにゃくもある。せっかくなので、こんにゃくそのものも味わってみることに。
わさび醤油につけて、つるりといただく。しっかりと噛みごたえもあり、素朴で純粋なこんにゃくの旨みが噛むたびに口に広がる。こんにゃくと思ってちょっと侮っていたが、この刺身こんにゃくはかなりうまい。
これも女性目線だが、この店の刺身こんにゃくと田舎こんにゃくは、貴重な在来種の生芋を100%使用しているという。お肌にうれしい成分がたっぷり入っているのだそうだ。
この「AIQON STORE」では、こんにゃくのジェラート、こんにゃくのマドレーヌというデザートもある。車で通りがかった際は、ぜひ食べてみてほしい。在来種こんにゃくの底力を感じられることだろう。
今回の捜査資料は以上だ!
■店名 AIQON STORE(アイコンストア)
■住所 広島県神石郡神石高原町近田1638
■営業時間 日によって随時変更あり
「逃亡料理人ワタナベ」× macaroniコラボ!
グルメコメディードラマ「逃亡料理人ワタナベ」とmacaroniのコラボ。ドラマの中で出口刑事が書いた記事を「macaroni」で配信するほか、全国各地の特産レシピやメイキング映像を「macaroni」で限定公開しています。
STORY
妻殺しの容疑者とされてしまった天才料理人ワタナベ(池内博之)が、愛する子供を守るため、己の矜持を守るため、西へ東へ逃げまくる!しかし逃げた先には必ず美味しい食材と人生に迷う人々が。ワタナベを追う出口刑事(岸谷五朗)。彼は執拗に彼の行く先に辿り着く。なぜなら……出口刑事は食べることが大好きだからだ!
そして謎の中国人パティシエの一琳(尚語賢)とその友人の凄腕マジシャンの天愛(魏一)は日本で新たなスイーツ研究の旅を続けるが、奇妙な縁で、なぜかワタナベと行き先が一緒になるのであった!
逃亡料理人ワタナベ
■番組名:逃亡料理人ワタナベ
■視聴方法:AmazonやFODなどの各種動画配信サービスにて好評配信中
各サービスの公式WEBサイトでご確認ください
■主要キャスト:池内博之、岸谷五朗、尚語賢
※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。
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