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『八芳園』による初のデリカテッセン、『VEGETABLE LIFE』がオープン
創業から70年以上の歴史ある結婚式場『八芳園(はっぽうえん)』が2018年11月1日、初のデリカテッセン『VEGETABLE LIFE produced by HAPPO-EN(ベジタブルライフ、以下『VEGETABLE LIFE』)』をオープンした。
場所は、都営三田線・東京メトロ南北線「白金台駅」前にある港区の複合施設「ゆかしの社(もり)」(写真上)1階。荘厳な外観が特徴的だが、複数の保育施設や郷土歴史館などが入る地元密着の施設だ。
こちらの建物は昭和13年に建てられた公衆衛生院を改修し、この4月に「ゆかしの社」としてオープンしたばかり。歴史を感じさせる建築が随所に残された館内は、歩いているだけで楽しい。特に中央ホール部分の吹き抜けの迫力は圧巻だ。
『VEGETABLE LIFE』の入り口は、その中央エントランス近く。36人分の席がある広々とした店内は建築当時のまま木の窓枠などが残されていて、風情を感じられる佇まいだ。
主役は、農薬や肥料に頼らない自然栽培の農園野菜
『VEGETABLE LIFE』の最大の特徴は、自然栽培(農薬、化学肥料、有機肥料に頼らない農法)に取り組んでいる農家から直接取り寄せた産地直送野菜を料理に使用していること。
野菜全体の流通量の2%前後という希少な自然栽培野菜にこだわって調理しているのは、同社で運営している複数のレストランのキッチンでリーダーを務める3人の精鋭スタッフだ。
調理スタッフの一人、吉田夏紀さん(写真上)は、『八芳園』運営のレストラン『Thrush Cafe(スラッシュカフェ)』のリーダーも兼務している。
「自然栽培の野菜は、味が濃くすごくおいしいんです。野菜本来のうまみを味わっていただきたいため、あえてシンプルな料理に仕上げています」と語る。
写真上・奥に見えているのは、いい野菜が届いた時に店内で販売する「ミニマルシェ」。この野菜を買いに来店するお客も多いそう。
注文はキャッシュオンスタイル。カレーやベジタブルスープなどの単品メニューもあるが、中心は「雑穀米」と日替わり「3種類のデリ」、野菜・魚・肉から1種類を選ぶ「メイン」を組み合わせたセットメニュー「べジボックス」だ。
野菜がメインの「べジボックス」、魚がメインの「べジ&フィッシュボックス」、肉がメインの「べジ&ミートボックス」という3種がラインナップされている。
この日のメインは、写真上・左から「チキン南蛮」(肉)、「サバのソテー」(魚)、「豆腐ソテー カブとキノコソース」(野菜)。
「ベジボックス(野菜)」のメインである「豆腐ソテー カブとキノコソース」(写真上)。片栗粉を付けた豆腐を軽くソテーし、その上に干し椎茸と昆布のだしで炊いたカブを乗せ、そこにシメジ、エノキ、椎茸入りの餡をかけ、最後に細く刻んだカブの葉をトッピング。
メイン食材だけでなく、味付けにも動物性のものを使っていないので、ヴィーガンの人にもおすすめしたい一品だ。
メインを選んだら、次は6種類のデリ(写真上)から3種類をチョイスする。この日は左上から時計まわりに「ひじき」「青梗菜(チンゲンサイ)のソテー」「白菜の和え物」、「カラフル大根のサラダ」「ビーツのマリネ」「サツマイモのきんぴら」。
「青梗菜のソテー」(写真上・左)は、ニンニクの風味をつけたゴマ油でさっと炒めた青梗菜に、焼いたサンマをほぐして加えたもので、味付けは塩のみ。
「カラフル大根サラダ」(同・右)は、大根、紫大根、紅芯(こうしん)大根を薄切りにして塩麹で揉みこみ、柚子の香りを加えている。
これらにたっぷりのグリーンサラダを添えて完成。イートインもよし、ランチボックス(写真上)に美しく盛り付けてもらってテイクアウトもよし。テイクアウトでは、環境への配慮としてプラスチック製の容器やカトラリーをできるだけ使わないようにしているという。
明らかに違う!野菜ひとつひとつの味わいが濃厚で力強い
イートインでは、ワンプレートにきれいに盛り付けてもらえる。「豆腐ソテー カブとキノコソース」をメインに、「ひじき」「サツマイモのきんぴら」「カラフル大根のサラダ」をチョイス(写真上)。
驚くのは、野菜の風味の力強さだ。餡に使用しているキノコのシャキシャキとした歯ごたえ、トッピングのカブの葉の爽やかな香りは、一般的な野菜とは歴然と違う。
サラダの大根はどれも甘みが濃く、3種類それぞれの食感の微妙な違いもはっきりわかる。確かに野菜そのものにこれだけインパクトがあると、凝った調理法はむろん不要だろう。
また、店内にはサラダ用のオリジナルソルトとして、「ごま」「チーズ」の2種類が用意されている。「チーズ」(写真上・右)は、ナッツやクルトンなど、味わいや食感の違う素材がバランスよくミックスされていて絶妙な味わい。新鮮で香りのいい葉野菜の歯ざわりを損なうことなくチーズの濃厚なうまみをプラスして味わうことができる。
新鮮で苦みや香りが鮮烈な葉野菜に複雑な味わいと食感が加わり、シンプルなのに非常に手の込んだ料理に感じられる。
同階には学童や保育施設もあるため、子供を連れた女性の利用が多く、キッズ用メニューとしてトマトベースの辛みを抑えたカレー「KIDSソイフリットカレー」(写真上)も用意されている。
「セロリ、ニンジン、タマネギといった野菜を細かく刻んで加えているので、野菜が苦手な子供でも残さず食べますね」と吉田さんは言うが、ベジタブルシートで雑穀米を包んだかわいらしい盛り付けも子供にウケる要因だろう。このカレーは大人も注文可能で、大人のファンも多いとのこと。
辛みはマイルドだが、ほどよいスパイシー感もあり、隠し味の甘酒と味噌が複雑なうまみを醸し出している。確かに大人が食べても満足感のある味わいだ。
スイーツのためだけでも、わざわざ足を運ぶ価値あり!
同店のもうひとつの目玉は、『八芳園』から取り寄せている本格スイーツだ。小麦粉ではなく米粉、ポレンタ粉(とうもろこしの粉)などを使用し、グルテンフリーに仕上げている。
「栗のサブレ」(写真上)は、メロンより糖度が高いこともあるという高知県産「しまんと地栗」を使用。しっとりした食感の栗風味スポンジ、ホクホクした栗甘露煮、なめらかな栗ピューレと、栗の食感の違いが一度に楽しめる。特に栗ピューレは、口の中に広がる栗特有のコクのある甘みが鮮烈だ。
「かぼちゃのシフォンケーキ」(写真上)も、かぼちゃそのものの甘みをいかしたクリームが絶品。甘みが抑えられているので、軽食としてもよさそうだ。
しかし、これらの焼き菓子と同様に人気なのが、80年以上続く南青山の老舗『にらさわ豆腐店』の豆乳を使用した「豆乳仕立てのソフトクリーム」(写真上)。
『にらさわ豆腐店』の豆腐は、厳選した大豆と瀬戸内赤穂の天然にがり、地下120mからくみ上げた天然水を使用しており、口に入れた瞬間、豆腐特有の豆の甘みをはっきりと感じる。
トッピングできなこ(写真上・右)を施すことも可能。このきなこも、強い芳ばしさから素材のよさが強く感じられる。どのスイーツも秀逸で、スイーツを目当てに訪れるのもおすすめだ。
使用する野菜やカトラリーにも、自然保護と社会課題への取り組みを反映
さらに同店の魅力は、体への優しさだけでなく、自然への優しさにも見ることができる。
卓上に置かれた紙ナプキンは、『株式会社伊藤園』の「おーいお茶」の製造過程で出る茶殻を使用した「茶殻リサイクルシステム」の一環として作られているものを使用。口元にあてるとほんのりお茶の香りがするため、興味を示すお客も多いそう。
食器は、コーンスターチやお米のもみがら、竹の繊維など、100%天然素材から作られ、最後は土に還るもので統一されている。環境に良いのはもちろん、やさしい手触りと、美しくデザインされた色や形も魅力だ。
同店で使用している野菜の多くは、ハンディキャップのある方が農業に取り組む活動「農福連携自然栽培パーティ」の農園で作られている。耕作放棄地を再活用し、福祉が必要な人の自立支援をしながら、農薬や肥料に頼らない自然栽培で野菜を育てることで社会課題を解決しつつ、おいしさと食の安心も創出しているという。
地元の子連れの女性客が圧倒的に多いというが、小さな頃からこうしたカフェに親しむことは、子供の食育にも役立ちそうだ。
【メニュー】
ベジボックス 1,000円
ベジ&フィッシュボックス 1,100円
ベジ&ミートボックス 1,100円
KIDSソイフリットカレー 650円
豆乳仕立てのソフトクリーム 300円 (トッピング きなこ+100円)
栗のサブレ 400円
かぼちゃのシフォンケーキ 400円
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税別です。
VEGETABLE LIFE produced by HAPPO-EN
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