ライター : dressing

海の幸に恵まれた北海道最北の地「稚内」

この記事は、豊かなフードライフを演出するWEBメディア「dressing」の提供でお送りします。
北海道の最北に位置する稚内。日本海とオホーツク海とが交わる地であり、ウニをはじめ、昆布やホタテ、ナマコなどが豊富に獲れる海の幸の宝庫である。
▲「ノシャップ岬」上空から望む稚内の景色 中でも「宗谷岬」は”北海道最北の地”と言われ、バイクやレンタカーで北海道を旅行する人の最終目的地に設定されやすいうえ、旅行者に人気の利尻島や礼文島(れぶんとう)への玄関口となっているため、いつも旅行者でにぎわっている。 稚内へは、羽田空港や新千歳空港から直行便が出ているため、比較的アクセスに恵まれた地であると言える。

創業43年、ライダー達に絶大な人気を誇る『樺太食堂』

広大な自然と一直線な道が多い北海道は、バイクの走りがいがあるからか、いつしか”ライダーの聖地”と呼ばれるようになった。 かつてのライダー達は、ゲストハウスや道の駅で、おすすめの観光スポットやおいしい食事処の情報を交換していた。そんなライダー達の中でもひときわ評判の高い食堂が、ここ稚内にある。
稚内の名所のひとつ「ノシャップ岬」の目の前にあるこの店からは、天気がいいと樺太の島影が見えるため、このように名付けられた。
オーナーの大宮良一さん(写真上)は、母親からこの店を引き継いだ2代目。戦前南樺太に住んでいた父親が戦中この地へ越してきて、母親が『樺太食堂』を始めたという。大宮さんは父親同様漁師として北海道の海を相手にし、8年前に『樺太食堂』の店主となった。

"無敵のウニ丼"と呼ばれる人気メニュー「うにだけうに丼」

『樺太食堂』には、お店を象徴する人気メニューがある。その名は「うにだけうに丼」(写真上)、ウニがぎっしり敷き詰められたウニ丼である。 稚内のウニは、良質な利尻昆布を食べているため臭みや苦みがなく、北海道で獲れる他のウニと比べても評価が高いという。 そんな中でも、特に『樺太食堂』のウニ丼が”無敵のウニ丼”と呼ばれるのはなぜなのだろうか。
『樺太食堂』の「うにだけうに丼」は、”うにだけ”と掲げているにも関わらず、いくら、ホタテ、カニの中から好きなもの1種を無料でトッピングすることができる。元々はその名の通りウニだけだったのだが、アクセントが欲しいという常連客のリクエストから、このようなシステムになったという。 ウニを心ゆくまで食べられる上に、もう一品北海道の新鮮な食材を味わえることから、『樺太食堂』の人気は確固たるものとなった。
ウニは稚内産のムラサキウニのみを使用しており、毎朝大宮さんが自ら市場に買い付けに行く。漁師の経験があったからこその確かな目利き力があり、なおかつ信用できる仲間も多いそうだ。 そうして仕入れたウニを、熟成を進めて甘みを増すために、あえて一晩寝かしてから一つひとつ木箱に丁寧に並べる。実はこの一晩寝かすという手間も、寝かせたものと寝かせていないものをお客に食べ比べてもらい、反応のいい前者を採用したのだという。
サービストッピングといい、ウニのうまみを引き出す熟成といい、「うにだけうに丼」は、お客とともに確立したメニューなのだ。 良質なウニと、お客に学びながらより良いものを作ろうとする大宮さんの姿勢が、”無敵のウニ丼”と呼ばれる所以なのだろう。

”無敵のウニ丼”だけに終わらない、『樺太食堂』の主力たち

また、店を代表するメニューとして「生うに三色丼」(写真上)も忘れてはいけない。こちらはムラサキウニに加えて、ホタテ、いくら、カニと北海道の人気食材が揃った贅沢な丼である。 特に、宗谷海峡の潮流の速さに鍛えられたホタテは、身が引き締まっているため歯ごたえがいい。さらに、稚内のきれいな空気、ミネラル豊富な海水で育ったためにうまみが凝縮しており、噛めば噛むほど味が出る。 いくらとカニは、時期に応じて道内で獲れた特上ものを大宮さんが厳選している。誰しもが羨むこの豪華メンツを、一度に、しかもお手軽な価格で楽しむことができるのが何よりも嬉しい。
そんな絶品ホタテをもっと堪能したい方や、お酒の肴が欲しい方は「いかとほたて刺」(写真上)を頼むと良いだろう。前述の特上ホタテに加えて、稚内産のイカ刺しが豪快に盛り付けられている。 その上に乗っているのは北海道産の大粒とびっこだ。塩気を感じるイカに、甘みを含んだとびっこがよく合い、醤油などの調味料をつける必要は一切ない。まさに素材の味を存分に楽しむことができる逸品だ。

道外の人にこそ、本当の海鮮丼を食べてもらいたい

▲開店当時の『樺太食堂』 80年代に空前のバイクブームが到来した際は全国各地から人が集まったが、それが下火となった今はそれほど多くの旅行者は来なくなり、お客の多くは地元の人か海外からの観光客となっている。 「せっかく島国日本に生まれたのなら、世界に誇れる本物の海の幸を一度でいいから食べて欲しいんです」と大宮さんは言う。 ただ残念ながら、今年は9月ですでに営業終了している。例年10月中旬頃から4月下旬頃まではウニ漁が行われないため、冬季休業中だ。来年4月中旬頃から営業開始するので、暖かさの到来とともに訪れてみてはいかがだろう。 43年間多くの人たちを虜にしてきた”無敵のウニ丼”に、これからも多くの人々を魅了してもらいたいと強く願う。 【メニュー】 うにだけうに丼 4,860円 生うに三色丼 3,564円 いかとほたて刺 648円 ※価格はすべて税込

樺太食堂

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。
提供元:
※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

編集部のおすすめ