移れない指定席

「家やマンションを購入したら近所の人とあわなくて困った。賃貸なら引っ越せるのに」と同じ状況にあるのが新幹線の指定席です。自由席ならともかく指定席に座っていると、何かトラブルめいた状況に陥っても、おいそれと席を替わるわけにはいきません。やはり「こんなことなら自由席にすればよかった」と思ってしまいそうです。

ごく近い距離

改めて新幹線の座席を思い浮かべてみましょう。一般の列車よりも多少広めに設置してあるものの、横の席とは肩が触れるかどうかです。これは飲食店におけるカウンターなどの個人席よりも近い距離です。
そして飲食店であれば「食べる」目的が同じである一方、新幹線に乗る目的は「移動」であり、飲食はおまけのようなもの。そんな飲食を非常に近い距離で体感するため、一旦不快に感じると、より不快感が増すことになりそうです。

どんな食べ物だったらいいの?

せっかくの旅行ですし、好きなものを食べたい気持ちもあると思うのですが、ある程度は周囲の人への心配りをしたほうがよさそうです。臭いの強い食べものはもちろん、臭いを発することになる温かい食べものなども避けたほうがいいのかもしれませんね。無難なものをあげるとすれば、これまでのように売られている駅弁、そしてサンドイッチかおにぎりくらいでしょうか。
また飲み物では、お酒にも注意したほうがよさそうです。ビール、日本酒、ワインなども不快に感じている人が多いようです。そうなるとホットコーヒーはどうなのでしょうね。コーヒーが苦手と感じる人も少なくないようですし、なかなか難しい問題がありそうです。

思いやる気持ちが肝心

ひと昔前なら、列車内で食べられるものも限られていました。温かいものといえば、土瓶に入ったお茶くらいだったとか。しかし技術の発達により、食べものや飲み物の温かさが長い時間維持できるようになりました。同時にJRを始めとした鉄道会社と飲食チェーンの思惑により、駅構内でさまざまな飲食店が展開しています。今回の“たこ焼きテロ”も、そうした便利さの拡大によって起きたトラブル(とまではいえないですが)なのかもしれません。
先のホットコーヒーのように、「ここまでなら大丈夫」とする線引きが困難な以上、完全に解決するのは難しいかもしれません。それでも新幹線に乗り合わせる人が、お互いを思いやる気持ちで、気分よく過ごせるようになればと思います。
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