ライター : DIET_SPO_k

管理栄養士

じゃがいもって野菜?

突然ですが、みなさん。じゃがいもって、野菜なのでしょうか?自信をもって「野菜です」もしくは「野菜ではありません」と答えることができますか?
「じゃがいも 野菜」でネット検索すると、「じゃがいもは野菜なのでしょうか。穀物ではないのでしょうか。」という質問があるほど。意外と悩む人が多いのかも知れません。自信をもって答えられない人が思いのほかたくさんいるようです。
ではなぜみなさんに「じゃがいもは野菜なのか?」という疑問が生じるのか、その由来についてまとめていきます。

そもそもじゃがいもとは

ナス科の多年草で南アメリカのアンデス地方の高地を原産とし、昔から重要な食糧とされてきたトウモロコシとともに長い間インカ文明を支えてきた食品です。スペイン人によってヨーロッパに紹介され、現在では世界各地で栽培されているものなのです。
とあります。ナス科、草、というキーワードを見落とさなかったあなた!安心してください。ナス科の草ということは、じゃがいもは一応お野菜の一種でもあるといえるでしょう。日本の農産物の分類においても、野菜とされているようです。ここまでの情報では、今まで自分たちが考えていた【じゃがいもは野菜】で間違いないでしょう。
しかし!食品として分類するのであれば、じゃがいもはイモ類で、穀物ではなく、【穀物に準ずる主食となる農産物】になるというのです。おそらくみなさんを悩ませているのは、この「穀物に準ずる主食となる農産物」という分類方法でしょう。さまざまな食品の栄養成分が一挙にまとめられた「食品成分表」によると、じゃがいもは、野菜類でも、穀類でもなく、【いも及び粉類】に分類されるのです。
「農産物の分類において」はお野菜、「食品の分類において」はお野菜ではなくいもおよび粉類になるというわけです。
では、なぜ“じゃがいもはお野菜じゃない説”が生じてくるのか、考えてみましょう。

芋類は野菜じゃない?

「いもおよび粉類」に分類されるじゃがいもですが、そもそも「いもおよび粉類」とはどのようなものを指すのでしょうか。
<いも類>は、養分を貯蔵している組織で、塊茎、球茎および塊根のことをさします。野菜類に分類することもできますが、<でん粉・でん粉製品>ともされています。
簡単に言うと、一般的に知られている「野菜」と比較して、じゃがいもは糖質を多く含んでいるということ。お米を食べる文化のある日本ではあまり親しみがないかもしれませんが、海外などに行くと、じゃがいもで作られたマッシュポテトが糖質摂取源の主食として食卓にあがることも多いのです。

でんぷんとも言われる

また、じゃがいもは加工されて、「でんぷん」になることもあります。でんぷんはみなさんご存じのとおり【片栗粉】のことです。片栗粉は本来、カタクリという植物のでんぷんを粉にしたものでしたが、現在売られている片栗粉のほとんどはじゃがいものでんぷんといわれています。
このようないろいろな条件のため、じゃがいもは野菜ではなく、「いもおよび粉類」という独立した分類に属するというわけなのです。こんな風に聞くと、曖昧になっていた部分がすっきりしませんか?

野菜の定義とは

じゃがいもがなんなのかについての疑問が晴れたら、次に生じてくるのは「じゃあもう野菜って何なんだ!」という気持ち。ちょっと迷走し始めているのではないでしょうか。野菜の定義とは「一般には食用の草本植物」のことです。
野菜の明確な定義付けは難しいとされています。例えば、イチゴ、スイカ、メロンに関して、パッと思い浮かぶ分類は「果物」だと思います。ですが、この分類方法は青果市場等で使われる分類方法であり、農林水産省の「野菜生産出荷統計」では、「果実的野菜」に分類されるそうです。スーパーでは、野菜として売られているようなのでなかなか気づけませんが、あくまで市場での判断基準であって、農林水産省の基準からはずれているみたいですね。

じゃあ穀物と野菜の違いは?

じゃあ穀物っていったい何なんだ!と感じている人もいると思いますので、穀物に関しても定義づけをしっかりしておきましょう。穀物は、「種子の部分を食べるもの」であり、高カロリーでヒトの生命活動を維持するうえで欠かせないものです。
種子の部分を食べるものとして私たちが穀物に分類しやすいのは、米、トウモロコシ、小麦、キビ、アワなどではないでしょうか。「種子の部分を食べるもの」に、じゃがいもは当てはまりませんので、食品成分に焦点を当てたじゃがいもはやはり野菜でもなく、穀類でもなく、「いもおよび粉類」であるとわかりますね。
※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

編集部のおすすめ