「油を売る」の語源ってなに?油売りの知られざる優雅な生活とは

「あの人、また油売ってる」などという言い回しは昔からよく使われますよね。決していい意味ではなく、むしろ嫌味として使われますが、そもそもどうして「油を売る」ことが仕事をサボるという意味になってしまったのでしょうか。その語源をご紹介いたします。

2016年12月13日 更新

ライター : ちあき

育児のかたわらライターをしています。元出版社勤務、料理も食べ歩きも大好きです。母になっても好奇心を大切にしていきたいと常々思っています。みんながハッピーになれるグルメ情報が…もっとみる

「油を売る」の語源って?

仕事中、ちょっとサボって同僚とおしゃべりしていたり、休憩していたりしたら「またそんなとこで油売ってる!早く仕事に戻りなさい!」と怒られてしまった経験はありませんか? 仕事中に関わらず、勉強中だったり、何かしなければならないことがある最中に他のことをしていると、このような言い方をして怒られることってありますよね。 そもそも、どうして仕事をサボることが「油を売る」と言われるのでしょうか。その由来についてご紹介いたします。

「油を売る」がなぜ怠けるの意味か

「油を売る」とは、仕事の最中に人目を盗んで怠けることを言います。また、無駄話をして時間を過ごすこと、という意味もあります。長時間何か他のことをしているというよりも、一時的な状態のことを指す場合に使われるようですね。 語源である江戸時代の油売りは、11時頃から16時までしか仕事をしていなかった、という話もあります。というのも、特に夏の暑い時期は油が外の気温で膨張するため、朝や夜に売るよりも昼間の暑い時間帯に売った方が一升枡に9合8尺ほどしか入れなくてもいっぱいになるから、というわけです。同じ値段で売るなら、少しでも得したいというのは今の人たちと変わらないのですね。 満タンに入れずに済むからその差分が儲かる、というのはちょっとセコいような気もしますが、ある意味商売上手とも言えるかもしれません。

江戸時代に使われていた油

江戸時代では、油は行燈(あんどん)など部屋の明かりの燃料としてとても貴重なもので、他にも女性の髪油としても大切に扱われていました。この油を売る行商人が客のところへ油を届けに行った際、客の枡に油が垂れ終わるまでの時間を客との雑談で繋いでいたことから「油を売る=仕事中怠ける」という意味になったようです。 当時の油はその粘性から柄杓から客の枡に注ぎ終わるまでに時間がかかってしまうため、ついつい長話になっていたというわけですね。必ずしも「怠けていた」というわけではなかったようですが、傍から見たら仕事もせずに客の女性と話し込んでいたため、そういう風に見えたのでしょう。

当時の油は高級品!油問屋は大儲け

今でこそ当たり前に生活の一部として使っている油ですが、江戸時代当時の油は大変貴重なもので、貴族・豪族が使うものでした。菜種油が量産できるようになるまで、一般庶民には手が届かないものだったのだとか。特に天ぷらのように食用として油が使われた料理は、高級品だったようです。 そのため、油を売ることを生業としてしていた油問屋や、油の原材料である種物問屋は大儲けすることができる商売だったことでしょう。

美濃の有名大名も元油売り

時代は違いますが、美濃の国の大名で織田信長にも縁のある人物「斉藤道三」も元油売りであったそうです。彼は一文銭の中央にある穴を通して油を注ぎ、もし穴から油がそれたらそれをタダにするという街頭パフォーマンスをしながら油を売って、人気者になったのだとか。 名もなき油売りの境遇だった斉藤道三が、下克上により戦国大名にまで成り上がることができたのも、この奇抜な発想と油売りで大儲けできたおかげかもしれません。

こんなふうに言われたら注意

「油を売る」の語源や歴史についてご紹介しました。では、「油を売る」はどのように使われるのが正しいのでしょうか。 例1:うちの妻は、買い物へ行ったきり帰ってこないが、何処で油を売ってるんだろう 例2:あの人は油を売ってばかりで、なかなか仕事に取りかからない 上記は代表的な「油を売る」の使い方です。こんなふうに言われたら怠け者だと思われているかもしれないので、注意が必要ですね!ちなみに下記は「油を売る」の間違った使い方です。 誤った例:結局あの人は学校を卒業してから十年もずっと油を売って過ごしている 「油を売る」はあくまで一時的な状態を指す言葉であって、長期に渡る状態のことは言わないようです。
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