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「あの人、また油売ってる」などという言い回しは昔からよく使われますよね。決していい意味ではなく、むしろ嫌味として使われますが、そもそもどうして「油を売る」ことが仕事をサボるという意味になってしまったのでしょうか。その語源をご紹介いたします。

「油を売る」の語源って?

仕事中、ちょっとサボって同僚とおしゃべりしていたり、休憩していたりしたら「またそんなとこで油売ってる!早く仕事に戻りなさい!」と怒られてしまった経験はありませんか?

仕事中に関わらず、勉強中だったり、何かしなければならないことがある最中に他のことをしていると、このような言い方をして怒られることってありますよね。

そもそも、どうして仕事をサボることが「油を売る」と言われるのでしょうか。その由来についてご紹介いたします。

「油を売る」がなぜ怠けるの意味か

「油を売る」とは、仕事の最中に人目を盗んで怠けることを言います。また、無駄話をして時間を過ごすこと、という意味もあります。長時間何か他のことをしているというよりも、一時的な状態のことを指す場合に使われるようですね。

語源である江戸時代の油売りは、11時頃から16時までしか仕事をしていなかった、という話もあります。というのも、特に夏の暑い時期は油が外の気温で膨張するため、朝や夜に売るよりも昼間の暑い時間帯に売った方が一升枡に9合8尺ほどしか入れなくてもいっぱいになるから、というわけです。同じ値段で売るなら、少しでも得したいというのは今の人たちと変わらないのですね。

満タンに入れずに済むからその差分が儲かる、というのはちょっとセコいような気もしますが、ある意味商売上手とも言えるかもしれません。

江戸時代に使われていた油

江戸時代では、油は行燈(あんどん)など部屋の明かりの燃料としてとても貴重なもので、他にも女性の髪油としても大切に扱われていました。この油を売る行商人が客のところへ油を届けに行った際、客の枡に油が垂れ終わるまでの時間を客との雑談で繋いでいたことから「油を売る=仕事中怠ける」という意味になったようです。

当時の油はその粘性から柄杓から客の枡に注ぎ終わるまでに時間がかかってしまうため、ついつい長話になっていたというわけですね。必ずしも「怠けていた」というわけではなかったようですが、傍から見たら仕事もせずに客の女性と話し込んでいたため、そういう風に見えたのでしょう。

当時の油は高級品!油問屋は大儲け

今でこそ当たり前に生活の一部として使っている油ですが、江戸時代当時の油は大変貴重なもので、貴族・豪族が使うものでした。菜種油が量産できるようになるまで、一般庶民には手が届かないものだったのだとか。特に天ぷらのように食用として油が使われた料理は、高級品だったようです。

そのため、油を売ることを生業としてしていた油問屋や、油の原材料である種物問屋は大儲けすることができる商売だったことでしょう。

美濃の有名大名も元油売り

時代は違いますが、美濃の国の大名で織田信長にも縁のある人物「斉藤道三」も元油売りであったそうです。彼は一文銭の中央にある穴を通して油を注ぎ、もし穴から油がそれたらそれをタダにするという街頭パフォーマンスをしながら油を売って、人気者になったのだとか。

名もなき油売りの境遇だった斉藤道三が、下克上により戦国大名にまで成り上がることができたのも、この奇抜な発想と油売りで大儲けできたおかげかもしれません。

こんなふうに言われたら注意

「油を売る」の語源や歴史についてご紹介しました。では、「油を売る」はどのように使われるのが正しいのでしょうか。

例1:うちの妻は、買い物へ行ったきり帰ってこないが、何処で油を売ってるんだろう
例2:あの人は油を売ってばかりで、なかなか仕事に取りかからない

上記は代表的な「油を売る」の使い方です。こんなふうに言われたら怠け者だと思われているかもしれないので、注意が必要ですね!ちなみに下記は「油を売る」の間違った使い方です。

誤った例:結局あの人は学校を卒業してから十年もずっと油を売って過ごしている

「油を売る」はあくまで一時的な状態を指す言葉であって、長期に渡る状態のことは言わないようです。

現代の油売り、石油王の生活

江戸時代の油売りはよく儲かっていたようですが、「現代の油売り」はどうでしょうか。
現代の油売りというとピンと来ないかもしれないので、「石油王」と言った方がわかりやすいかもしれませんね。

産油国第1位であるサウジアラビアは、もとは砂漠のオアシスで部族が質素に暮らしていたようですが、油田が見つかって生活が一変!大富豪国家の始まりです。日本が輸入している原油量の3割はサウジアラビアからだそうで、日本だけで1日に80億円以上支払っているのだとか。途方もない金額です。さらにサウジアラビアでは所得税も住民税もなく、教育費、治療費までもタダだそうです。

そんなサウジアラビアの石油王の生活を覗いてみると、超豪華な邸宅に住んでいるのはもちろん、世界中に別荘を持っていたり、高級車を200台も所有し、自家用ジェット機で飛び回る、というきらびやかな生活を送っているようです。最も裕福な王子に至っては総資産額がなんと1兆8400億円なのだとか。桁が大きすぎてピンと来ませんが、油田を持っているだけでなく、株の投資で稼いでいるそうです。おまけに、朝から晩まで忙しく働いているかというとそうでもなく、自由気ままに暮らしているように見えるのがとてもうらやましいですね。

現代の油売りは怠け者か

江戸時代の油売りも決して怠けていたわけではなく、客との長話がそう見えていただけと言われていますが、現代の油売りは油田を所有しているだけで莫大な収入があるというのは事実。働き方もフレキシブルで、朝7~8時から働いて、午後3時ぐらいで仕事は終わり。夏には1カ月ぐらいのバカンスを取ったり、初任給から200万を超えることもあるのだとか。

実際のところはどうかわかりませんが、毎日朝から晩まで一生懸命働いているわけではなさそうなとこから、そういう意味では本当に怠け者と言えてしまうかもしれません。油売りは昔から変わらず、お金持ちで楽な生活をしているように見えますね。

ただし、天然資源はいつかは尽きてしまうもの。すでにドバイなどでは石油だけに頼らないビジネスも始まっていて、海運業や物流業も盛んなのだとか。国企業を優遇措置で誘致して、中東ビジネスの拠点として集積する政策も始めているようです。現代の油売りは怠けているように見えて、しっかり先を見据えた対策も行っているのですね。

「油を売る」と七つの大罪

話は変わりますが、「七つの大罪」をご存知ですか?
七つの大罪とはキリスト教カトリックの教えの一つで、人を罪に導いてしまうものを表しています。最近ではマンガやアニメなどでも登場しているので、聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんね。

「暴食」、「色欲」、「強欲」、「憤怒」、「怠惰」、「傲慢」、「嫉妬」

この7つです。仕事をせずに怠けること、つまり「怠惰」はキリスト教における七つの大罪に含まれる罪の一つです。つまり、しっかり働かずに油を売ってばかりいると天国へ行けなくなってしまうかも!?

ちなみに、それぞれの大罪に対して反対となるものはいわゆる「美徳」とされています。

「暴食⇔節制」、「色欲⇔純潔」、「強欲⇔救恤」、「憤怒⇔慈悲」、「怠惰⇔勤勉」、「嫉妬⇔忍耐」、「傲慢⇔謙譲」

怠惰に対する美徳は「勤勉」。しっかり働くことが人として正しい生き方ということでしょう。

「油を売っている」と言われないように!

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