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実際バナナの皮って滑るの?
最近テレビでは見かけませんが、お笑い芸人さんが床にバナナの皮を置いて、歩いてきた人がバナナの皮で滑ってこけるというベタなコントをやっていましたよね。吉本の芸人さんが新喜劇でよくやりそうなコテコテのテッパンネタです。
“バナナの皮は滑る”のかを、自分の身をもって体験した人の動画もアップされているくらいですので、やはり気になっている人は一定数いることが確認できます。室内にしても地面の上にしても、滑って怪我したら大変ですよね。一体なぜ「バナナ 滑る」というものが一般的に知られているのか、そして誰が最初に滑ったのか、疑問に思うことは頭にいくつか浮かびますよね。今回は、“バナナの皮で滑る”の疑問をあばいていきます。
ギャグを初めて披露したのはチャップリン
バナナの皮で滑ってこけるというギャグを初めてやったのは、“喜劇王”と呼ばれていたチャップリンと言われています。チャップリンは、映画『アルコール先生海水浴の巻』のワンシーンでこのギャグを披露しています。この映画は“無声映画”で、説明のない一発ギャグが豊富に盛り込まれていた作品でした。
その中でも、バナナの皮で滑るシーンは面白かったでしょうね。なぜなら、あの時代そんなことを考えた人はいなかったでしょうから。チャップリンの時代からあるバナナの皮を使ったギャグって、とても歴史のあるものなのですね。にしても、体を張ったギャグですね。さすが喜劇王というところでしょうか。
なぜバナナは滑るのか
それでは、なぜバナナの皮は滑るのでしょうか。バナナの皮の内側は、踏みつけると白い小胞から粘液状に変化します。また、人は足の裏と地面の摩擦を利用して歩いています。そこにバナナが突然置いてあると、自分が予測していた摩擦より小さいため、足の裏の摩擦によって滑ってしまうのです。
バナナの滑りやすさを研究した教授がいる!?
「バナナの皮を踏むとなぜ滑りやすいのか」を実験で検証した教授がいます。その人は、北里大の馬渕清資(まぶち きよし)教授です。馬渕教授の専門は医療工学。医療工学では、人工関節の潤滑などを研究しています。その医療工学の教授がなぜ?バナナなのでしょう?馬渕教授は、関節の軟骨とバナナの皮の摩擦低減の仕組みには共通点があると見ていたからです。
そしてこの研究の結果、バナナの皮に含まれている小胞が、踏まれることにより中の液体が飛び出し、滑りやすくなるということが判明。バナナの皮で滑るをここまで研究した人は、ほかにいるのでしょうか。教授の探究心はすごいですね。
バナナの摩擦係数はどのくらい?
滑りのよさの規準となる数字を示す摩擦係数は、バナナの場合どのくらいでしょう。
馬渕教授の研究では、多軸荷重センサの上に床材を固定して、その上にバナナの皮を置く、それを足で踏んだ瞬間の垂直効力と摩擦力を同時検出する方法で実験したそうです。
数字が小さいほど滑りが良いことになりますが、靴と床材料の間の摩擦係数は0.412。バナナの皮を挟むと0.066へ低下。6倍も滑りやすいことが分かったそうです。※1
また、この数字はスキーやスケートと比べてわずかに大きい数字とのこと。これらと近い数字だとは、驚きですよね。
※1 参考文献:バナナの皮の科学|北里大学医療衛生学部医療工学科教授 馬渕 清資
イグ・ノーベル賞を受賞!
馬渕教授はこの研究で2014年にイグ・ノーベル賞を受賞しました。この賞は、1991年に創設された賞で「人々を笑わせ、考えさせてくれる研究」に対しておくられるものです。授賞式は毎年9月または10月におこなわれ、年によってテーマがあり、その中から10部門が用意されているのです。
例えば、生物学賞や心理学賞、昆虫学賞など。馬渕教授が受賞したのは物理学賞です。まさしく“バナナの皮が滑る”もこれに値する研究ではないでしょうか。
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