ライター : いとう まさと

WEBライター

この記事でわかること

  1. 「魚心あれば水心」とは、相手が好意を持てばこちらもそれに応じた付き合いをすることを意味することわざ。
  2. 元々は「魚に心あれば、水に心あり」という長い言い回しだった。
  3. 「魚心あれば水心」は、良い意味と悪い意味の両方で使われる。良い意味では「互いに心を通わせる」という意味で使われ、悪い意味では「持ちつ持たれつ」といった意味で使われる。
  4. 恋愛の文脈では「魚心あれば下心」という表現もあり、下心で近づけば下心で返されるという意味を持つことがある。
  5. 「落花情あれども流水意なし」という対義語があり、片方だけに気持ちがあっても、もう片方には通じないことを例えたもの。

「魚心あれば水心」とは、どんな意味?

辞書で「魚心あれば水心」の意味を調べてみると、「相手が好意を持てば、こちらにもそれに応じた付き合いをする。相手の出方次第で、こちらにも対応の仕方がある、ということ」と出てきます。

元々はもっと長い言い回しで、「魚に心あれば、水に心あり」と言うのだそうです。「泳ぐ魚の方に水を想う心があれば、水の方にも魚を想う心が生まれる」ということですね。こちらのほうが意味はわかりやすいかもしれません。

それでははたして、「魚心あれば水心」とは良い意味なのでしょうか?悪い意味なのでしょうか?またどんな場面で使われるのでしょうか?次の項目で確認していきましょう。

「魚心あれば水心」は良い意味?悪い意味?

「魚心あれば水心」は良い意味と悪い意味、どちらで使われるのでしょうか?

結論から言えば、現在は両方の使い方があるようです。使い方次第で、良い意味でも悪い意味でも使われることわざなのですね。少し、例文を交えてそれぞれの使い方について確認してみましょう。

良い意味で使われる場合

良い意味で使う場合は、「互いに心を通わせる」という意味で使われます。

「魚心あれば水心というわけで、お互いすっかり好きになってしまった」
「魚心あれば水心と申しますし、手をお貸しいたしましょう」


など、好意に対して好意で応じるという肯定的な意味で使われます。

悪い意味で使われる場合

悪い意味で使われる場合は、「持ちつ持たれつ」といった意味で使われる場合が多いようです。 「お代官様、ここは『魚心あれば水心』ということで、お互いしっかり儲けさせていただきましょう」 など、時代劇の密約のシーンなどにぴったりの使い方です。このような台詞のイメージがあり、悪い意味しかないと思っていた方もいるのではないでしょうか。

恋愛の場合でも使われるその心とは?

好意を示せば好意で示してくれる……という意味合いから、恋愛の場合にも使われることがあるこのことわざ。「魚心あれば下心」という言い方をする場合もあって、下心で近づけば下心で返されるという意味にもなってしまったり……。

女性なら誰もが一度は憧れるであろう、「人魚姫」という物語がありますよね。美しい王子様に一目惚れをした人魚姫が、自分の声と引き換えに人間のからだを手に入れるという強い愛が印象的な物語です。

しかし人魚姫の思いに王子様が下心で返してきたら、百年の恋も冷めてしまうかもしれませんね。美しい物語になるはずが、なんだか情けないことになってしまうかも。

男女間の場合でも、下心ではなく真心で接したいものですね。

逆の意味のことわざも覚えておこう

ちなみにこのことわざの対義語になるのが、「落花情あれども流水意なし」というもの。散って川に落ちる花には流れる水に対する情があるものの、水は知らぬ顔をすることを指したことわざです。転じて、片方だけに気持ちがあっても、もう片方には通じないことを例えたもの。 まさに「魚心あれば水心あり」の反対の言葉です。素知らぬ顔をされないよう、自分でもいつも相手の気持ちを汲み取れるようにしたいですね。
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