ライター : tep

女性ホルモンから考える男女の味覚の違い

男性よりも女性のほうが、甘いものが好き……単なるイメージに基づいた迷信なのでしょうか、それとも、何らかの根拠があるのでしょうか。 今回は、「プロゲステロン」という女性ホルモンを軸に、「男女の味覚の違い」についてまとめてみたいと思います。

女性ホルモンの基本

女性の体は、「エストロゲン」と「プロゲステロン」という女性ホルモンの働きによって調整されています。 エストロゲンは「女性らしい体作り」、「自律神経」、「皮膚や脳の働き」に関わっているといわれ、このホルモンが多く分泌されている時期は、基礎体温が下がります。 それに対して、プロゲステロンは基礎体温を上げる作用があります。この2つのホルモンが一定周期で分泌量のバランスを正しく変えていると、基礎体温がきれいな変動曲線を描き、生理や妊娠、出産などが可能になります。

プロゲステロンってなに?

プロゲステロンは「黄体ホルモン」とも呼ばれる女性ホルモンのひとつで、排卵直後から「卵巣」で作られます。排卵の際、成熟した卵子が「卵胞」から飛び出すのですが、卵胞に残された卵子が黄体化すると、内分泌組織が作られ、プロゲステロンが分泌されていきます。 プロゲステロンは、その作用から「妊娠をサポートするホルモン」と言われることも。妊活中の人であれば、聞いたことがある名前かもしれません。

生理前に甘いものが欲しくなる!?

じつは、このエストロゲンとプロゲステロンの分泌量がバランスよくまとまっている状態のとき、「甘いものを欲する嗜好」が高まる、という実験報告があります。 プロゲステロンは黄体期の直前から分泌量を増やし、ピークに達した後、生理時に向けて徐々に減っていきます。つまり、生理前は、プロゲステロンとエストロゲンが共にバランスよく分泌されているのです。 生理前に「甘いものが欲しくなる」と感じる場合、このプロゲステロンと関わりがあるのかもしれませんね。

つわり時の味覚変化も女性ホルモンの影響

妊娠中はプロゲステロンの働きが増すため、ホルモンバランスに乱れが生じます。つわりの最中に味覚が変わるといわれますが、その原因のひとつもプロゲステロンによるものと考えられます。 「すっぱいものが好きになる」とよく聞きますが、人によっては「糖分の高いもの」を好んだり、「さっぱりとしたもの」を無性に欲したりするようです。嫌いになるものも人によってさまざまで、ご飯やコーヒーの匂いを受け付けなくなったり、味噌汁が飲めなくなったりする人がいます。 それほど、プロゲステロンは女性の味覚を大きく左右しているんです。

男性は甘いものを好まない?

エール大学のニスペット氏がおこなった実験によると、男性ホルモンのアンドロゲンを生まれたてのメスのラットに投与したところ、思春期以降に、甘いものを好まなくなったそうです。 プロゲステロンに限らず、やはり女性ホルモン・男性ホルモンの働きによって、味覚の違いが生まれるのかもしれません。
ホルモンが男女の味覚の差を決めているとしたら、とても不思議で面白い現象ですね。
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