ライター : 秋山 ちとせ

ティータイムコンサルタント/webライター

日本初、「お茶」に注目したアフタヌーンティーアワードが始動

Photo by 秋山ちとせ

日本初となる「お茶」に注目したアフタヌーンティーアワード「Afternoon Tea Awards Japan」がスタートします。立ち上げたのは、スチュワード麻子さんとウィンター・マーカスさん。英国大使館後援のもと始まるこの取り組みには、どんな思いが込められているのでしょうか。

お話を伺った人

スチュワード麻子さん

ティーアカデミージャパン代表、英国在住期間21年、茶業界歴約30年。英国ロンドンのティーソムリエ資格を授与する教育機関「UK Tea Academy」講師。

ウィンター・マーカスさん

「Newby Teas London」日本カントリーマネージャー、「Yuzu Kyodai」株式会社創業者兼共同CEO。「UK Tea Academy」認定ティーソムリエ。

「お茶がおいしいアフタヌーンティー」を評価する新しいアワードとは

Photo by 一般社団法人ティー・ホスピタリティ協会

――まず、「アフタヌーンティーアワード」とはどのような取り組みなのでしょうか。
麻子:「お茶がおいしいアフタヌーンティー」に注目したアワードです。一般審査員と専門審査員が一般客としてアフタヌーンティーを実際に体験し、お茶の品質や、抽出、提供方法、フードとの相性、サービス、空間、文化理解などを多角的に審査します。

審査は「お茶がおいしいこと」「日本茶を含む多様なお茶の魅力を伝えていること」「英国文化としてのアフタヌーンティーへの理解と敬意があること」の3つの基準から評価します。
マーカス: 一般審査員はクラウドファンディングを通じて募集します。お茶やアフタヌーンティーを愛する一般の参加者が、専門家と共に審査に参加できる仕組みです。単なる人気投票ではなく、学びと体験を伴った新しい形の評価を目指しています。

人気のアフタヌーンティーで、なぜ今「お茶」に注目するのか

Photo by 秋山ちとせ

――なぜ今、このようなアワードが必要だと感じたのでしょうか。
麻子:日本ではアフタヌーンティーが人気ですが、「お茶がおいしいアフタヌーンティー」を探すのはむずかしいと感じています。その理由は、若い女性を中心としたお客様が、きれいな見た目をアフタヌーンティーに求めているからです。

ホテルとしては写真映えすれば露出が増えますし、お茶がおいしくなくても、そこを気にする方はほとんどいません。
マーカス:おいしいお茶を提供しているホテルはありますが、評価はスイーツや盛り付けが中心。お茶そのものが評価され、注目される機会はまだ多くありません。

別々の立場から見えてきた、共通の壁

――おふたりはどのような課題を感じていたのでしょうか。
マーカス:おいしいお茶を評価する人がいない、お茶がおいしくなくても不満を言う人もいない。その結果、ホテルがお茶に力を入れられないのが現状です。

私は「Newby Teas London」の日本カントリーマネージャーとしてホテルにお茶を提案する立場ですが、結果が見えにくいという理由から、お茶に予算はかけられないというホテルが多く見受けられます
麻子:私はホテルから新しいアフタヌーンティーの相談を受けることがありますが、ホテルで決定権のある人がお茶に予算をかけることにイエスと言わなくて。ふたりとも毎回、同じところでつまづきます。

お茶が好きな方のなかには、今のアフタヌーンティーに魅力を感じなくなったという人もいるんです。「日本はスイーツや見栄えが優先で、お茶がおいしくないから行かない」という状況になっています。

イギリスでは、お茶が主役のアフタヌーンティーへと変化していった

――その課題は、イギリスではどのように変わっていったのでしょうか。
麻子: 20年前、ロンドンではお茶は便利だからという理由で、大手の会社からのお仕着せのセットを置くところがほとんどでした。でもお茶に注目する人が増え、それではお客様を引きつけられないと思われるようになったんです。

それからお茶のメニューが改善され、今ではほとんどのホテルが独自のルートで、ほかとは違う良いお茶を提供しようと努力しています。

そうすると、マネージャー達が自分の舌を養うために教育を受け始め、その流れで私が講師を務めているUK ティーアカデミーのなかに、ホスピタリティ向けのティーソムリエコースができました。

お茶を学び、いいお茶を選び、お茶の説明をするティーソムリエが、今では各ホテルにいます。実はイギリスは日本と同じ問題から、とても大きく前進したのです。私たちはそういうことをしていきたいと考えています。
マーカス:イギリスでは、テーマをマネージャーたちが何ヶ月も前から練るんです。たとえば、昔スパイたちが泊まっていた建物を改装したホテルで出されるアフタヌーンティーのテーマは「女スパイ」。

その人が好きだった洋酒を使ったお菓子などをテーマに沿って作り込み、メニュー表で説明されるなどワクワク感があります。すべてに理由があって、見ているだけでも楽しめるんです。
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