ライター : yuitoss

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栗の英語名はマロンじゃない?

秋と言えば、栗がおいしい時期ですね。ケーキ屋さんではマロンタルトやモンブランなど栗を使ったケーキが限定販売されたり、食卓に栗料理が並ぶ頻度が多くなったりと、栗好きにはたまらない季節と言えますね。 話は突然変わりますが、栗=マロンではないと聞いたら、みなさん、どう思われますか? おそらく「え、栗は英語でマロンでしょ?」と、誰もが当たり前のように認識しているはずです。しかもマロンの発音の仕方によっては、海外では変わり者扱いされてしまう可能性だってあるかもしれません。 果たして栗は、英語で何と言うのでしょうか。そして、意味をはき違えていたマロンの正体は……!? というわけで今回は、栗=マロン問題の真相を解明していきます。

本当の栗の英語名は

栗の英語名は、正しくは”チェスナット(chestnut)”。そもそも栗は、くるみやピーナッツ、カシューナッツなどあらゆるナッツ類の中の1種です。今まで私たちがマロンだと思い込んでいた栗の正体が、今ここで明らかになりました。 まず第1の疑問は解消されましたね。そうなると次は、マロンの本当の意味が気になります。アメリカにおいてマロンはなんと、ザリガニを意味するんだそう。主な原産国はオーストラリアで、現在は世界各国で食用ザリガニとして食べられているようです。機会があったら、1度は食べてみたいですね。

なんで間違って認識しているの?

突然ですがみなさん、「マロングラッセ」というスイーツをご存知でしょうか?このスイーツは栗を砂糖に漬けた、フランス・パリを代表するお菓子のこと。”マロニエ(marronier)”と呼ばれるトチノキ科の木になる、”マロン(marron)”という実を材料にして作られます。 はい、ここからが本題です。なぜ栗=マロンという認識が定着してしまったのか、ということについては諸説あります。マロングラッセがフランスから伝わったとき、日本にはマロン(トチノキの実)が少なかったと言います。そこでマロンの代わりとして、栗が使われるようになったんだそう。やがてこれがきっかけとなり、栗=マロンという認識が浸透していったという説がもっとも事実に近いようです。なるほど、実に奥が深い……。

フランス語で栗は何と言う?

フランス語で栗を何と言うのか調べてみたところ、”châtaignes(シャテーニュ)”と呼ぶようです。つまり、私たちが食べたり調理したりしている栗の実は、フランスにおいて一般的にはシャテーニュと呼ばれているみたいですね。 ここまで調べたことを、1度整理してみましょう。フランスではマロニエ=トチノキ科の木、マロン=木の実を意味します。そして、日本に伝来した当初マロンが少なく代用品に栗を使用したため、栗=マロンとして定着したんですね。しかも、英語だと思い込んでいたけれど実は、アメリカにおいてはザリガニと言う恐ろしい意を持つということが判明しました。

戦犯マロングラッセ

上でチラッと紹介したマロングラッセについて、もう少し詳しくお話ししましょう。スイーツの宝庫と呼ばれるにふさわしく、フランス・パリの街中には多彩な種類のパティスリーやショコラトリーがひしめき合っています。その中でもマロングラッセは、紀元前から食べられていたとされる、深い歴史が刻まれた人気スイーツです。 殻をむいた栗を糖度20度のシロップで煮込み、2日ごとに少しずつ糖度を上げて最終的に32度まで高めます。そのあと、30度まで糖度を下げたら完成です。ご覧のとおり、とても手間と時間がかかる作業のため、作られた当初はあまり注目されなかったんだそう。次第に甘く口の中で崩れる食感が評価されるようになり、フランスを代表するスイーツの仲間入りを果たしました。

せっかくだしマロングラッセを作ろう

”栗は英語じゃないの?”という素朴な疑問が、スイーツのマロングラッセとここまで濃密に関わっていたとは、驚きですね。でもせっかく由来が分かったんだから、実際にマロングラッセを作ってみましょう。
鬼皮をむき、乾燥しないように水につけておきます。鍋に栗と砂糖が浸るくらいの水を入れ、弱火にかけてください。落し蓋をして、煮汁の量が3分の1になるまで50分~70分ほど煮詰めたら、火を止めてウィスキーを加えて冷まします。そのままひと晩寝かせましょう。翌日、鍋から栗を取り出し乾かしたら完成です。
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