ライター : mihomiho

出汁からとる和食はやっぱり格別!

この記事は、三越伊勢丹が運営する、食メディア「FOODIE」の提供でお送りします。
世界無形文化遺産に登録され、海外からも熱い注目を浴びている和食。その土台となるのが「出汁」です。とはいえ、自宅で料理するとき、出汁からとるのはちょっと手間……そう思っている人も多いのでは? でも実際は思ったよりずっと手軽で、何より、出汁をとって作った料理の味は、やはり格別です。そこで伊勢丹新宿店シェフズセレクションにショップを構える神宗グロッサリーの姉妹店、『だし工房宗達』の小林 敦さんに、手軽においしくできる、出汁の取り方の基本を聞きました。

出汁と出汁風調味料との違いを実感

まずはこちらを、と小林さんが出してくれたのは、昆布と鰹(カツオ)からきちんと出汁を取って作られたお味噌汁。いただいてみると、「出汁が効いている……!」。普段の、出汁風調味料を使ったものとはまったく味が違うのです。 「効いている」とは、味が濃いというわけではありません。「うまく素材の味を引き出すのが良い出汁」と小林さんが言うように、主張するわけでなく、お味噌汁のおいしさ、風味がぐっとアップしているのです。 このおいしさを知らないでいるのはもったいない! そこで、一般的によく使う昆布出汁、鰹(削り節)出汁、昆布と鰹節を組み合わせた一番出汁、それぞれの基本の取り方を、小林さんにレクチャーしていただきました。

昆布出汁の煮出しOR 水出しは、お好みで

<昆布出汁の取り方>

煮出し……60℃〜80℃の温度で20〜30分ほど煮だす。 「あまり強く煮だすと磯臭さが強くなり、ぬめりが出るので、温度を上げすぎず最終的に味をみながら煮出すのがコツです」 水出し……一晩(約10〜15時間)ほど浸けておく。 「夕食の後、ボールに水をはって昆布を入れておくと、翌朝にはおいしい出汁ができています。冷蔵することですっきりとした、雑味の少ない出汁になります」 ※水(軟水) 1Lに対して昆布10gが目安です。

鰹出汁は、荒節と本枯節の2種類

<鰹出汁の取り方>

お湯を火にかけ沸騰させたら、火を止めて薄削りの鰹節を入れ1〜2分おく。つづいて、ざるにシートやキッチンペーパーなどをしいて漉す。 「長く浸しすぎると、出汁が濁り、雑味もでます。さっと1分から2分くらいがベストです」 ※水(軟水) 1Lに対して鰹節20gが目安です。
ちなみに鰹出汁は、荒節と本枯節の2種類。燻製にして1ヵ月くらいした荒節は、水分量が多く、渋み、コクがあり、パンチのある味に。うどんなどの麺類に使うのがおすすめだそう。 また、荒節にカビ付けをしたものが本枯節と呼ばれ、こちらは水分量がぐっと少なく、うまみが凝縮されて雑味のないクリアな味になり、お吸い物や素材の味を活かす料理には本枯節がおすすめだとか。「荒節と本枯れ節は、お好みで使い分けください」と小林さん。

うまみの相乗効果が生まれる一番出汁がおすすめ

小林さんによると、昆布出汁、鰹出汁を単体で使うよりも、両方を組み合わせた一番出汁がおすすめだそう。なぜなら、植物性の昆布にはグルタミン酸が、動物性の鰹節にはイノシン酸が豊富に含まれており、組み合わさることによって、うまみの相乗効果が生まれるからだとか! 昆布と鰹の足し算で1+1、うまみは2と思われそうですが、実際は7倍〜8倍にも感じられるといいます。 一番出汁の取り方は、昆布出汁と鰹出汁の取り方をプラスするだけ。つまり、昆布で取った出汁を、一度沸騰させ、火をとめてから削り節を入れ1〜2分おき、ザルにセットしたシートなどで漉せばOK。 基本さえマスターすれば、いつでも手軽に出汁が取れそうですね。これからのシーズンは、お雑煮などにぜひ!
取材協力:小林敦(こばやしあつし) 神宗の姉妹ブランド『だし工房宗達』出汁のスペシャリスト。天然昆布と削り節にこだわる出汁パック「行平」などの商品販売の傍ら、「本当の出汁のおいしさ」を伝えるため、主婦から料理研究家まで幅広い方々に約100回の出汁セミナーを開催。
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