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長年愛される「定番」スイーツ紹介の連載、第15回は、滋賀県近江八幡市に拠点を置く和菓子店「たねや」より、自分で合わせる最中として40年近く愛されている「ふくみ天平」をご紹介します。
作りたて最中「ふくみ天平」誕生の秘密
私が最初にいただいた「たねや」のお菓子が、この「ふくみ天平」でした。社会人になって巡り始めた、デパ地下の菓子売り場での出会い。
最中の種(皮)と餡が別々の包装になったものが束ねてあり、自分で合わせるため皮がしけっておらず、サクサクのまま味わえる。アイディア商品だなぁと感心したものです。
実は、「ふくみ天平」が誕生したのは1983年と、より早い時期。召し上がる直前にお客様自ら種と餡を合わせて作るという“手づくり最中”は、当時、他に無い珍しいものだったそうです。
焼きたての芳ばしい最中種にみずみずしい餡を挟んで食べるという、職人さんだけが知る美味しさを何とかお客様に伝えたいと、考案したのだそう。
最中種は、米どころである地元・近江のもち米「滋賀羽二重(しがはぶたえ)」を使って芳ばしく焼き上げたもの。餡は、北海道の契約農家で栽培された紅小豆を、自社工場で粒餡に炊き上げています。
さらに、ふっくら蒸しあげた求肥入り。「富久實(ふくみ)餅」と呼ばれ、豊かな恵みを願い感謝する思いが込められているそうです。
細長い形は、「女性も食べやすいように」という配慮から。口を大きく開けなくても上品にいただくことができる、バリアフリーなデザインですね。
まるで「天秤」の竿を連想させますが、命名の際に、文字の見た目のバランスが左右対称になるよう、「天平」と書いて「てんびん」と読むことにしたそうです。
お年賀やお祝い事にぴったりの手づくり最中
古来より、赤い色の小豆には厄除けの意味があると考えられ、餡を使ったお菓子は縁起物。皮と餡が別々になっているため、日保ちも約3週間と通常の最中より長め。年末年始のご挨拶の品として買っておくのにもぴったりです。
自分で合わせて完成させる過程も楽しく、ご家族の団らんの場で、お子様達も一緒にワイワイ盛り上がりそう。煎茶や焙じ茶と共に味わうのはもちろん、たまにはちょっと改まって、お抹茶を点てて合わせるのもいいですね。
「たねや」の創業は明治5年に当たる1872年。当時の七代目当主・山本久吉氏が京都亀末にて修業後、「種家末廣」の屋号で、旧八幡町池田町の地に創業。後に、屋号を「種家」と改名したそうです。
特に「近江八幡日牟禮(ひむれ)ヴィレッジ」の中の「たねや」は、趣きのある印象的な店舗です。「日牟禮八幡宮」という神社の境内の一角にあり、茶屋も併設され、参詣や散歩の合間に寄りたくなる立地。初詣の時期も、大勢の参拝客で賑わうそうです。
地元・近江八幡の方から愛され、今や全国区となった「たねや」の「ふくみ天平」。自家用にも贈り物にも重宝します。
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