ライター : 茂山 夏子

日本の洋食は煉瓦亭からはじまった

明治28年創業。日本に数々の洋食料理を広めた老舗レストラン、銀座「煉瓦亭(れんがてい)」をご存知でしょうか?その歴史は、なんと100年以上。今では家庭料理としても一般的な「オムライス」や「カツレツ」は、こちらのお店を起点として有名になったといわれています。 お店のカウンターには、今ではとても珍しい旧式レジスターが鎮座。店内には、レトロで温かみのある木製家具が並んでいます。まるで実家に帰ってきたようなホッとひと息つける空間でいただくお料理は、心安らぐ至福の味と評判なんです。今回は、そんな老舗洋食店「銀座・煉瓦亭」の絶品メニューや誕生の歴史、店舗情報などをお届けいたします。

その味に、数々の文豪が惚れた!

アクセスは、銀座駅から徒歩3分。銀座駅のA10またはB1出口から出ると、お店から近い通りへ出ることができます。近くまで来たら、外観の花壇を目印にするとわかりやすいですね。
店内の座席数はなんと110席!地下1F~地上3Fまでフロアがあり、あまり並ばずに有名店の味を堪能できるんです。メインはテーブル席で、3Fにはお座敷個室もあります。個室を利用してお店へ通う著名人も多いのだそうですよ。 歌舞伎役者の片岡愛之助さんも、煉瓦亭ファンのひとりとして有名です。また創業当初には、小説家として歴史に名を残した池波正太郎(いけなみしょうたろう)、北杜夫(きたもりお)も煉瓦亭へ通っていました。

人気メニューは賄い(まかない)からスタート

お店で提供されている人気メニューのほとんどが、元々は従業員の賄い料理なんです。賄い料理といえば、大切なのが「早さ」「安さ」と毎日でも食べられる「飽きないおいしさ」。100年以上もお店の人気を保っている理由がわかりますね。

1. とろ~りごはんの元祖オムライス

こちらのお料理が、看板メニューの元祖オムライス。私たちが想像する一般的なオムライスとはかなり違います。溶き卵に具材・ライスを混ぜ、ふっくらと焼き上げているんですよ。
具材は、玉ねぎ・ひき肉とマッシュルーム。とてもシンプルな具材ですが、おいしさの秘密は隠し味にあります。玉ねぎとひき肉を炒める際に、少量のお砂糖とお醤油をくわえているんです。慣れ親しんだ味付けだからこそ、ひとくち食べるたびに心をホッと落ち着かせてくれます。

口に入れるとまるで半熟オムライスに!

元祖オムライスの食感は、表現するならとろ~り。フライパンに入れてから超短時間で成形するので、卵が固まりすぎずやわらかな食感になるんです。玉子風味のとろ~りごはんが甘酸っぱいケチャップと混ざり、口の中で半熟オムライスが完成します。 SNSなどの口コミでも、「食べたことのない新食感でハマる!」「家ではマネできないおいしさ」「ゴロゴロ感のある具材が大好き」と多くのラブコールが寄せられているんです。

2. カキフライの元祖でもある!?

フライというだけあって諸外国から渡ってきた料理のように思われがちですが、欧米ではカキ=生食が一般的。カキは熱を通すと縮みやすく、衣の隙間からエキスが流れ落ちやすいため、煉瓦亭の考案はその当時かなり革新的なものだったことが想像できます。 現在カキフライは、新鮮なカキが入手できる冬季限定のメニューとなっています。自家製タルタルソースをたっぷりのせてクリーミーなうまみを楽しんだあとは、レモンを絞ってサッパリいただくのが定番。言わずもがな、お酒との相性も抜群です。
※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

編集部のおすすめ