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「おじさん」食べたことありますか?100人中98人が首を横に振るはず。でも実はこれ、魚のこと。浅瀬の砂浜やサンゴ礁域に生息している魚で、正面から見た顔の表情が中年男性に似ていることから名前が付けられたんだそう。知られざるその正体を暴きます!

おじさんって誰?え、魚?

相変わらず日中の日差しは強いけど、空はすっかり秋模様……。行楽の秋、読書の秋、芸術の秋、スポーツの秋。そして忘れてはならないのが、食欲の秋です。

最近、旬の食材について調べ物をしていたら、え……?と度肝を抜かれた食べ物を発見しました。その名も「おじさん」。

仕事終わりに飲み会の席で、"本当やんなっちゃうよなぁ〜”なんてぼやきながら、顔の上でおしぼりを何往復もすべらせているおじさん、ではありません。これは、れっきとした魚の名前です。おじさんと魚、ふたつともかけ離れすぎていて見当もつきませんね。

おじさんとは一体どんな魚で、どの辺りがおじさんなのでしょうか。謎のベールに包まれた、気になるおじさんの正体に迫ります。

おじさんとは?

高級魚

謎の存在「おじさん」は、知る人ぞ知る高級魚で値段は高め。おじさんというネーミングとは裏腹に、実は高級魚に位置づけされていたなんて。またそのギャップがたまりませんね。

そして気になる名前の由来ですが、顔の前面にヒゲがあり、正面からだとその様がまるで人間のおじさんに見える、という理由から「おじさん」と命名されたようです。魚の図鑑に堂々とおじさん、と書かれているそうです。ちなみに漢字だと「小父さん」と表記されるようです。小さい父……なんかしんみりしますね。

駿河湾から南の熊本県、鹿児島県、東インド洋における水深140mのサンゴ礁域に生息している、ヒメジ科の魚の1種です。主な産地は鹿児島県、東京都、和歌山県、沖縄県とバラけていて、体長は25〜35cmほど。個体差があり鮮やかな赤や紫、白色のボディのところどころに、黒っぽい模様があるのが特徴です。浅い海にも生息しているらしいので、運がよければ高級魚のおじさんと対面できるかも。

おじさんの味は?

「おじさん」、果たしておいしいのでしょうか。どうしても人間のおじさんの存在が邪魔をして、いまいちピンと来ない方も多いのでは?気になるお味はと言いますと、特にクセがあるわけではなく、白身魚のようにあっさりとしています。

このおじさん、下あごについている2本の立派なヒゲを巧みに使い、獲物を探し出します。その方法がなんとも大胆で、土の中や石の隙間に顔ごと豪快に突っ込んで獲物を探し当てるんだそう。ゆえに、内臓がとてつもなく臭いらしい。

刺し身が絶品なようで、ポワレや煮付けなどにするとさらに旨味がアップ!というわけでもなく、味はいたって普通なんだとか。刺し身用にさばく際は、内蔵の臭味が切り身にうつらないようにするという、繊細さが必要です。

また、年間を通して味に大きな変化はありません。鮭やかつおのように季節によって、劇的に旨味や甘味が増すわけではなく、夏の暑さにも冬の寒さにも負けず常に一定の品質を保っているんですね。

おじさんの刺し身

オジサンの刺し身

お魚と言ったら定番の食べ方はお刺身でしょう。おじさんのうろこはきれいに取って、3枚におろします。腹骨をそぎ切りにし、中骨に沿って真直ぐに包丁を入れて、骨を切り取りましょう。内臓は臭いので、触れないように注意してくださいね。皮を天井に向け、キッチンペーパーをそっと上のせて熱湯をかけます。

皮が反り返ったら、すぐに氷水に入れて冷やしましょう。食べやすい大きさにカットし、わさびしょう油に付けて、食べてみてください。とてもやわらかく、ほのかな甘味と旨味がたまりませんよ。

そのほかのアレンジレシピ(白身魚)

そのほかの「おじさん」のおすすめレシピをご紹介します!と言いたいところなのですが、生産範囲がバラけているうえ、高級魚という地位に君臨するおじさんをお目にかかれる機会は、そう多くはありません。沖縄県内では販売されているようですが、関東近郊スーパーにおいては入手困難という悲しい現実。

というわけで、もっとも味が近い白身魚をおじさんに見立てたアレンジレシピを、いくつかご紹介させていただきます。運良くゲットできたら、ぜひ試してみてくださいね。

ポワレレシピ

小鍋に白ワイン少々、エシャロットのみじん切りを入れて水分がなくなるギリギリまで、中火で煮詰めます。生クリームを入れてひと煮立ちさせたら、塩・こしょう、バターを加えてソースを作りましょう。ズッキーニはピーラーで細切りにして、軽く塩茹でします。真鯛はお好みの大きさにカットし、塩をまぶしてください。

熱したフライパンにオリーブオイルをひき、中火で皮目から焼きはじめます。オイルをスプーンですくって真鯛にかけながら焼くと、パリッとした食感に仕上がりますよ。身が白っぽくなったら裏返し、焼色付いたらOK。お皿に盛り付け、ズッキーニを添えればできあがりです。

マース煮

内蔵とうろこをきれいに取り、両面の真ん中に十字に切り込みを入れます。乾燥昆布を軽く水洗いし、ネギの青い部分を5cmくらいの長さにカットしましょう。魚がすっぽり入るサイズのフライパンや鍋に水、ほんだし、塩、出汁用昆布を入れて強火で煮込みます。沸騰したら昆布の上に魚を置き、ネギを加えてください。再度沸騰したら、中火にします。

アルミホイルでふたをして3〜4分煮たらアルミを取り、煮汁をまんべんなく魚の上にかけて、アルミをして3〜4分蒸してください。アルミを取り、醤油を回しかけて完成です。

フライ

白身魚に軽く塩こしょうをふって10分間、置いておく。水分が出てきたら、きれいなキッチンペーパーでふき取りましょう。小麦粉とカレー粉をボウルの中でよく混ぜ合わせて、魚にまんべんなくまぶします。熱したフライパンに多めのあぶらをひき、両面こんがり揚げ焼きに。

両面がきつね色になったら、お皿に盛りつけてできあがり。ベビーリーフやプチトマトを添えると彩りがアップしますよ。

おばさんもいます

おじさんについて調べていたら、なんと肩を並べる相棒の存在が判明しました。その名は「おばさん」。こちらは、もしかしてもしかすると、親族か何か深い関係があるのでしょうか。気になるその全貌に迫ります。

特徴、由来

「おばさん」とは、ヨシキリザメと呼ばれメジロザメ科に属するサメの1種です。ふくよかな名前からはまったく想像がつかない、鋭い牙と眼光を放つ海の王者がおばさんの正体でした。正式名ではないようですが、千葉県内においてはヨシキリザメのことを「おばさん」と呼ぶんだそう。

そもそもですが、外見が中年女性のおばさんに見える、という理由でおばさんという名前が定着したようです。世界中の暖かい海に生息していて、全長は2〜3mと超巨大。しかも、人や舟を襲う危険性があるらしく、なんだか映画『ジョーズ』を思い出してしまいますね。

ばばちゃんもいる

おじさん、おばさんで幕を閉じたかと思われた珍ネームの魚たち。が、アンコールがありました。なんでも「ばばちゃん」もいるというではありませんか!姿形は違えど、2世代で海を優雅に旅していることに変わりはありません……。

「ばばちゃん」はタナカゲンゲと呼ばれ、水深300~500mの日本海に生息しています。漁師仲間の間では、顔の雰囲気がお婆ちゃんに似ている魚として知られていました。そしていつしか人びとの間にも浸透し、ばばちゃんという愛称で親しまれるようになったんです。鳥取市内のスーパーでは、よく販売されているんだとか。1度でいいから、お目にかかりたいものですね。

おじさんという高級魚

世の中をあきらめたような顔つきの「おじさん」は、名前に似つかわしくない高級魚だという事実が判明しました。しかもヒゲを生かした独特の獲物の獲得方法により、内臓は臭い。そのうえ刺し身にするとおいしいけれど、ポワレや煮付けなど調理をすると味はいたって普通という……。拍子抜け感満載ですが、なんだかほっこりした気もします。

しかも、おばさん、さらにはばばちゃんと、なんと先祖までたどり着いてしまいました。この世には、私たちがまだまだ知らない謎の生き物がうごめいているのかもしれないですね。ほんの少しだけ、さかなくんに近付けたかもしれません。

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