ライター : 秋山 ちとせ

ティータイムコンサルタント/webライター

紅茶の味わいに影響する水の種類

Photo by 秋山 ちとせ

日本とイギリスで同じ茶葉で紅茶を淹れると、味や香り、水色(※)も変わるのをご存じですか?

ヨーロッパでは硬水、日本では軟水が主流。水の硬度の違いは、紅茶の味わいに大きく影響します。この記事では紅茶コーディネーターである筆者が、硬水と軟水で淹れた紅茶の違いについて解説します。

※水色(すいしょく)……紅茶の茶液の色

硬水、軟水で紅茶の味が変わる?

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水は、紅茶の水色や香りや味を引き立たせる重要な要素。硬度が高い硬水と低い軟水、大きく2つに分けることができます。

硬度とは水分中に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのミネラル含有量を表す数値のこと。紅茶の主成分であるタンニンは、水中に含まれているミネラルと化合して、味・香り・水色を作り出します。

水の硬度が異なるイギリスと日本、同じ茶葉で紅茶を淹れると、味も香りも風味も大きく異なるんですよ。

軟水で淹れた紅茶は、味も香りもしっかり!

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硬度約30mg/i、軟水である南アルプスの天然水で紅茶を淹れてみました。

香り立ちよく、茶葉の味わいもしっかり感じることができます。日本の水道水が紅茶に向いているとよく言われるのは、こういった軟水の性質から。紅茶の水色は、硬水で淹れた紅茶と比較すると淡くなります。

紅茶の風味や香りを引き出してくれる軟水は、紅茶の特徴を生かしたいときにぴったりです。

硬水は香りマイルド、水色は黒っぽく油膜のようなものが浮く

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硬度約1,468mg/i、硬水であるコントレックスで紅茶を淹れてみました。

渋みや香りはマイルド、水色は黒っぽくコクはしっかり感じられます。これは硬水に多く含まれるカルシウムが、タンニンと結合するからなんですよ。

硬水で淹れた紅茶は、写真のように茶液の表面に膜のようなものが浮いてくることも。これは、紅茶ポリフェノールと水中のカルシウムイオンが結びつくことで生じるものです。品質に問題があるわけではないので、飲んでいただいて大丈夫です。

牛乳を入れると、水色の違いがよりはっきり表れる!

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左側が硬水、右側が軟水で淹れた紅茶です。それぞれ同量の牛乳を入れてミルクティーにしてみたところ、硬水で淹れた紅茶の方が黒っぽい色になり、水色の違いがはっきりと表れました。

ブレンド紅茶が主流、土地の水に合わせブレンドすることも多くあるイギリス。硬水用ブレンドを日本の軟水で淹れると、色だけが濃く出て紅茶の味やコクは出ないということも。

「同じ紅茶なのにイギリスで飲んだ時と味や水色が違う!」というのは水の硬度の違いから起こることなんですね。

水質による紅茶の味わいの違いを利用した、水の選び方

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水質による紅茶の味わいの違いを利用して、好みの味を引き出すこともできます。繊細な香りを楽しみたいダージリン・ウバなどの紅茶に軟水はよく合いますし、アッサムは硬水のほうがより濃厚なコクを楽しめます。香りの強いフレーバードティーは、硬水で淹れると香りや味わいがまろやかになりますよ。

渋みが苦手な方は硬水を使ったり、美しい水色を楽しみたい方は軟水を使ったりなど、好みに合わせて水を変えてみるのもよいでしょう。
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