ライター : china0515

フードアナリスト2級

鳥羽シェフ率いるsioグループが企画。シェフが旅するレストラン「Tabi」が開催

Photo by シズる株式会社

昨年2022年9月に表参道「Hotel’s(ホテルズ)」にて初めて開催された、シェフが旅するレストラン「Tabi」。

代々木上原のミシュランガイド東京2020から4年連続で一つ星を獲得しているレストラン「sio」を立ち上げた鳥羽周作シェフ率いる、メンバーたちが現地に訪れ、そのおいしさや伝統を伝える企画です。そんなTabiシリーズの第2弾が、2023年2月20日(月)~3月5日(日)の間で開催中。

第1弾の佐賀県に続き、今回の地域は「富山県」。海と山に囲まれた土地である富山県の魅力あふれる食材をsioが創るフルコースで堪能できますよ。
鳥羽シェフの記事はこちら▼

シェフたちが現地で感じた思いをそのまま伝える「Tabi」

Photo by シズる株式会社

シェフが旅するレストラン「Tabi」は、シェフが旅を通して感じたものを訪れた人にそのまま伝える企画。

素材や技、知恵、人との出会いを大切にして、そこから得たインスピレーションを持ち帰り、新たな料理として再構築することでおいしさだけでなく、背景の物語や文化まで含めたコースを作るというものです。

本企画は現地を訪れて料理を提供するだけではなく、地域と継続的に関係を築き上げていくことを目指しているのだそう。

今回のテーマに選ばれたのは「富山県」

Photo by シズる株式会社

富山県は四方を海と山に囲まれ、南側には3,000m級の山脈があり、北には天然の生け簀と呼ばれている日本屈指の好漁業富山湾が一望できる地です。

豊富な海産物のほか日本の名水百選としても名高い地域。鳥羽シェフたちが訪れて、まず驚いたのは水道水の蛇口をひねるだけで「水がおいしい」ということだったそう。さらに富山のおいしさの鍵は、間違いなく水にあるといいます。

ひと品ごとに物語が詰まった「Tabi-富山-ディナーメニュー」

馬肉の昆布締めタルタル

Photo by china0515

富山県、実は昆布県。生産量の1位は北海道であるものの消費量では全国1位とのことで、シェフらが旅をしている間もとにかく昆布の存在を強く感じられたそう。

そんななかお土産としてもらった「和牛の昆布締め」が印象的で、そこから発想を得て生み出されたメニューが「馬肉の昆布締めタルタル」とのこと。馬肉を真昆布で5分ほど昆布締めにして刻み、黒トリュフを上からかけて仕上げたひと品です。

噛めば噛むほど馬肉の旨みが広がり、昆布の風味もほのかに味わえます。黒トリュフのさりげなく芳醇な香りもたまりません。

バーニャカウダソースのラビオリ

Photo by china0515

ちぢみほうれん草を軸にあらゆる野菜で作られた「バーニャカウダソースのラビオリ」。野菜は富山県で地元のレストランのために少量多品目の野菜を育てている「ログログファーム」から、ちぢみほうれん草を軸に生産者おすすめの “今もっともおいしい野菜” を選んで送ってもらっているそう。

富山の冬野菜は雪に埋もれ、寒さの中で多くの糖質を蓄えようとする力で甘くなり、肉厚になって香りも立つといいます。

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甘みの強いちぢみほうれん草の下にはラビオリと、細かく切った野菜、チーズがお目見え。ラビオリのなかにはソースも一緒に詰められており、噛むたびに風味が広がります。

野菜ひとつ一つの食感の違いや風味に加えチーズのコクも相まって、形容しがたい複雑な味わい。

氷見の寒ぶりのソテー かぶら仕立て

Photo by china0515

富山の名物寒ぶりもさまざまな料理にして味わったなかで、もっとも圧倒されたのが「焼き魚の寒ぶり」だったそうです。

その感動を伝えたいとの想いで生まれたメニューが、富山名物のなれずし「かぶらずし」を再構築したひと品。オーブンでしっとりと火を入れ、オリーブオイルで香りをつけ、甘酸っぱく味付けをしたかぶを添えています。

ゆっくりと火を入れた寒ぶりは、食べた瞬間にホロッとほどけるほどやわらかく、繊細な旨みが感じられます。かぶは隠し味に甘酒を使用しているそうで、寒ぶりとの相性も抜群。
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