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近大マグロってどんなお魚?
「近大マグロ」は、大阪府にある近畿大学水産研究所によって平成14年に養殖させることができたというマグロの一種。
稚魚を海から捕獲して養殖したこれまでの養殖マグロとは異なり、養殖施設において人工ふ化させた完全養殖マグロである「近大マグロ」は、マグロ資源の減少を防ぐとして注目されています。
本来、マグロの稚魚は皮膚が弱く、ちょっとした刺激にも敏感で非常にデリケートなため、当初は稚魚が大量死してしまったりとうまくいかなかったようですが、研究の成果もあり、2002年には無事完全養殖に成功したのだそうです。
そんな近大マグロですが、どういった特徴があるのでしょうか。また、ほかの一般的な洋食マグロとはどう違うのでしょうか。
気になる、近大マグロの味は?
最近注目を集めている「近大マグロ」ですが、やはりみなさんが最も気になるのは、その味と安全面ではないでしょうか。安全面に関しては後ほど触れますが、味に関しては正直なところ2つに分かれているところです。
2002年6月の完全養殖が成功したばかりの頃は天然ものに比べると脂っぽいという声が多くあがっていたようですが、そのあと研究を重ね、今では天然ものとあまり差がないという声も増えてきたのだそうです。
しかし、やはり味に関しては好みもあるもの。近大マグロは卵の時から生け簀で育てられるため、どうしても天然ものに比べると運動量が少なくなってしまいます。そんな近大マグロを「身の締まりが悪い」とする意見もあれば、「脂が丁度よくのっている」とする意見もあるようで、こればかりはもう個人の好みで分かれるところでしょう。
ですが、天然マグロの数を減らさずに供給できること、エサや水質管理の下で育てられているということを考えると、近大マグロの誕生はとても喜ばしいことですね。
近大マグロの歴史
そもそも、近大マグロをはじめとする黒マグロの天然物はかなり希少価値が高いため、これまでもスーパーに置かれているクロマグロのほとんどが養殖でした。
自然の海から稚魚を持ってきて、生け簀で育て、それを出荷するという流れが一般的だったのですが、そうなると、ただでさえ希少価値が高いクロマグロがどんどん減ってしまい、このままでは絶滅してしまうのではないかという非常事態に陥ったのです。
それに目をつけたのが、先ほども少し触れましたが、大阪にある近畿大学の水産研究所でした。水産学に力を入れているとして地元では有名な大学ですが、考え抜いた末、稚魚を海から獲ってくるのではなく、研究所内でクロマグロの卵をふ化(ふか)させ、出荷できるサイズになるまで飼育するという手法を思いついたのです。
エサや水質なども研究所内できちんと管理されているため、安全性の面でも安心して食べられますよね。成長したクロマグロはすべて出荷するわけではなく、一部は親魚として育てて卵を産ませ、その卵がふ化したらまた養殖をはじめます。これにより、天然のクロマグロを減らすことなく、クロマグロを出荷することができるようになったのです。
値段の相場ってどのくらい?
そして、気になるのが値段ですよね。天然のクロマグロの相場は1kg当たり8,000円前後といわれています。しかし、天候などの影響で水揚げの悪い日は、2万円台に跳ね上がることもあるのだそう。
一方、養殖のクロマグロはどうなのでしょうか。残念ながら、現段階では養殖に必要な設備費の仕入れ価格の上昇もあり、私たち消費者に届く時点では、天然ものも近大マグロをはじめとする養殖マグロもさほど値段が変わらないのだそうです。
しかし、今後研究を重ねてさらなる発展があれば、もっとリーズナブルな価格で近大マグロが手に入るようになり、天然マグロとの差も開くのではないでしょうか。
実際、ほかのマグロとはどう違うの?
先ほどから少し触れてはいますが、近大マグロとほかの養殖マグロとの大きな違いはやはり成長過程の差による安全性の違いではないでしょうか。
さまざまな研究の結果、現在では近大マグロは、ほかの養殖マグロはもちろん、天然のクロマグロとも味の大差がないと言われています。
ですが、安全性という面では大きな違いがあるのではないかと思います。まず、天然マグロに関しては言うまでもなく、海を泳ぎ回っているため、どこの海を通ったのか、どのようなエサを食べていたのかはわかりません。これまでの養殖マグロに関しても同様で、捕獲するまでの状態はこちらでは調べようもないのです。
ですが、ふ化前の状態から飼育・管理をしている近大マグロの場合は、エサはもちろん、水質まで管理でき、成長途中での異変にも早く気付くことができます。こういったところが、ほかのマグロとの最大の違いではないでしょうか。
実はマグロだけじゃない!近大○○
水産学に力を入れているとして有名な近畿大学ですが、実はマグロ以外にもさまざまな魚の養殖に成功していたのです。それらを順番に見ていきたいと思います。
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