夫婦の得意をひとつに。ふたりでしかできないカフェ「STRINGSTAND eito」

テニスやバドミントンのガット張り替え専門店と、コーヒーと焼き菓子のカフェがひとつになった「STRINGSTAND eito」。オーナーの松原さんご夫妻が、“やりたいこと” と “できること” を組み合わせて創り出したのは、ふたりにしかできない唯一無二のカフェですよ。

2020年2月26日 更新

ライター : cafesnap

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「これなら自分たちにもできる」。ふたりの“得意”を組み合わせたカフェ

東武スカイツリーライン竹ノ塚駅から歩いて15分ほど。巨大な団地が建ち並ぶ足立区の住宅街の一角に、2018年8月、一風変わったカフェがオープンしました。

店の前の立看板には、「テニスとバドミントン、コーヒーやおやつの店」の文字。「STRINGSTAND eito(ストリングスタンド イイト)」は、カフェを併設したラケット競技のガット張り替えのショップです。
店を営むのは松原真吾さん・亜矢子さんご夫妻。「『なんでガットとカフェ?』って感じですよね(笑)」。そう切り出した夫の真吾さんは、店を始めるまで約16年間、街のスポーツ用品店で年間6,000本ものガットの張り替えを行うストリンガー(張人)でした。
「当時からなんとなく、ガット張り替えに特化した店をやってみたいなと思っていて。というのも、スポーツ用品の販売を行いながらだと、ラケットをお預かりしてからお返しするまでにどうしても数時間お待ちいただいたり、大手のお店だと翌日以降になってしまったりして、何度も足を運んでもらわなければいけないのが心苦しかったんです」。
そんなとき、夫婦ふたりで出かけたイベントで出会ったのが、アクセサリー作家の奥様が作品を販売する隣で旦那様がコーヒーを淹れている出店者の姿。

「まったく別の業種の組み合わせもありなんだ」と、いいヒントになったといいます。「僕自身、飲食にもすごく興味がありましたし、妻がカフェでスタッフとして働いていたので、これなら僕たちにもできるかも、と」。
こうして生まれたのが他に類を見ない、ガットの張り替えを待つ間にお茶ができる店「eito」。名前は「いい糸(=ガット)」と、食べるを意味する「eat」から付けました。

友人からのアドバイスで、カフェを充実させた今のスタイルに

木の温もりあふれるナチュラルな店内。「いかにもスポーツ用品店という雰囲気が窮屈で、自分が毎日いて心地いい空間にしたかった」(真吾さん)。
「ただ、最初の2、3ヶ月は毎日ガランとして、本当にどうしようかと思いましたけどね(笑)」。終始、あっけらかんと自然体で話をしてくれる真吾さん。

今でこそゆったりとしたテーブル席を備えるカフェスペースですが、開店当初は窓際にカウンターが3席あるだけのスタンドスタイルだったそう。店の大半をラケット関連のグッズが占めていました。
「せっかくのこの空間をもっと活かさなきゃもったいないよ」と友人にアドバイスをもらい、カフェスペースを広げたのが転機に。よりカフェとして楽しめるようフードメニューを充実させ、テイクアウト仕様だった提供方法もイートインメインに変えました。
「自分たちが美味しい、食べたいと思うもので、この場所で作れるメニューを考えました。パンはもともと家で焼いていましたし、焼き菓子が好きだったので『トーストは作りたいね、スコーンもできるかもね』なんて言いながら」と、妻の亜矢子さん。お客さんの声を聞きながら、季節のケーキを始めたのもこの頃。
この頃メニュー入りした自家製パンにホワイトソースと3種のチーズをのせた「チーズトースト」530円(税込)は今一番人気に。
繁華街から離れ、陽射しがたっぷり入るあたたかな空間と、手作りのパンやお菓子の優しい美味しさに魅了されたリピーターが少しずつ増え、自然と口コミで広がり、今では休日ともなれば遠方から訪れるカフェ好きも少なくありません。

店を出す場所に選んだのは、駅前ではなく学校やコートから近い住宅街

そんな“カフェ”としてeitoを楽しむ人が多くいる中に、周辺の中学校や、近くにいくつかあるスポーツ施設帰りのテニスプレーヤーがガットを張り替えに来る姿が同居するのは、まさにこの店ならではの光景といえるでしょう。
eitoがあるのは決して駅近とはいえない住宅街のど真ん中。てっきりこの地にゆかりがあるのかと思いきや、そうではないといいます。
「もともと足立区にラケットなどを扱う専門店がないことを以前の職場でずっと聞いていたことと、プレーヤーの利便性を考えたらコートや学校が近くにある場所がいいかなと。

当初はガットのショップをメインに据えていたので、テニスやバドミントンをする人に来ていただきやすいことを最優先に考えていました。駅からの距離は気にしませんでしたね」(真吾さん)。
ガットを張り替える姿はカフェの店主から“ストリンガー”に。真吾さんはGOSENの張人認定を持っています。
今、カフェ利用のお客さんには少し申し訳ないと話しますが、この場所に店をオープンするという選択は、おそらく真吾さんにしかできなかったこと。そして“ガット”という存在がなければ、この場所に心地良いカフェは生まれなかったかもしれません。
張り替えの待ち時間に利用できるカフェというコンセプトだったこともあり、ガット張り替えにはワンドリンクサービス付き。

「ソフトテニスやバドミントンは、中高生のプレーヤーも多い競技でしょう? なかには人生で初めてカフェオレやスコーンを口にする、という子もいて。彼らが笑顔になる姿は本当に微笑ましいですよ」と、亜矢子さんが嬉しそうに話してくれました。
定番の「スコーン」390円(税込)と札幌の「RITARU COFFEE」の豆を使用した「コーヒー」440円(税込)。

ふたりにしかできない、カフェのかたち

「夫婦なので、一緒に働いていてもストレスなくて楽ちん」。
「美味しかった」とか「すぐ張り替えてくれて助かったよ」とか、お客さんの喜んでくれる言葉が素直に嬉しいと語るふたり。自分たちが手がけた仕事で誰かが喜んでくれる——。ガットの張り替えとカフェというまったく毛色の違うふたつの業種にも、そんな共通点があるといいます。
「とはいえ、ガットが張り替えられるカフェなんて、うちだけでしょうね(笑)」。でもきっと、STRINGSTAND eitoは、松原さんご夫妻だからこそ創ることができたカフェのかたち。
本屋カフェ、雑貨カフェ、ジャズ喫茶など、今世の中にはさまざまなスタイルのカフェがありますが、自分たちが得意なことや好きなことを自由に表現できるのがカフェの魅力のひとつ。カフェとしてもガット張り替えショップとしても、eitoの時計は時を刻み始めたばかりです。
◾️STRINGSTAND eito(ストリングスタンド イイト)
住所:東京都足立区竹の塚3-19-5 松久ハイツ102-5
TEL:03-5856-4021
営業時間:月〜土 11:00〜19:00 / 日祝 10:00〜19:00
定休日:火曜・不定休
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