プロに教わるキッチン作りのヒント。柚木さとみさんのキッチンにおじゃまします

理想のキッチンを求めて東奔西走、料理のプロの素敵なキッチンをご紹介するこの企画。今回は、料理家として日々料理と向き合っている柚木さとみさんのアトリエにお邪魔!調理しやすい機能的なキッチンの作り方、知って納得の上手なキッチン収納術を聞きました。

2019年4月18日 更新

キッチンを見せてくれた人

柚木さとみさんのプロフィール写真

Photo by kenta hasegawa

料理研究家 柚木さとみさん
大学卒業後、吉祥寺のカフェで4店舗の統括店長を務める。退職後にカフェプランナー、フードコーディネーターとして食と食空間に関わる仕事に携わる一方、大手料理教室の講師を努め、現在は料理家、カフェプランナーとして活動。2012年に「スタジオさときっちん」をオープン。"おもてなしにも対応できる野菜たっぷりのおうちごはん"をコンセプトにした「さときっちん料理教室」を主宰。企業向けレシピ開発や、雑誌・Webサイトへのレシピ提供も手掛ける。

築60年を超える平屋のスタジオへ

柚木さとみさんが調理している様子

Photo by macaroni

キッチンは実用品。毎日使う場所だからこそちょっとした不便が気になります。一方、動線や収納に配慮が行き届いたキッチンには、「料理ってこんなに楽だったっけ?」と思わせるだけの利便性が備わるもの。理想のキッチンとはどんなものかと考えたとき、機能性というのは間違いなく欠かすことのできない要素だろうと思います。
料理のプロのキッチンをご紹介する連載企画、第2回となる今回足を運んだのは、東京メトロ丸ノ内線の東高円寺駅からほど近い場所。陽射しの映える公園を抜け、閑静な住宅地には似つかわしくない砂利道の奥へ踏み込むと、腰の高さの看板と、木造の平屋が立っていました。

白く塗られた平屋の年季の入った外観を眺めていると、扉が開くとともに、「おつかれさまです!」と元気のいい声が聞こえてきました。そこにいたのは人気料理家の柚木さとみさん。そう、この木造平屋「さときっちん」は、柚木さんのアトリエであり、料理スタジオなのです。

セルフリノベで生まれ変わった広々キッチン

柚木さとみさんのキッチン

Photo by macaroni

柚木さんに呼び込まれてなかへ入ると、外から見た印象とはまるで異なる空間が広がっていました。古民家ならではの味わいや素材感を生かしつつ、セルフリノベーションにより生まれ変わった料理スタジオ。広々とした室内の各所には生花やドライフラワーが飾られ、どちらかといえば色の少ないキッチンとダイニングを文字通り華やかに彩っています。
「わたしがここを借りた2012年の時点で築55年。本当にスゴイ状態だったので、契約を決意するまでに3ヶ月かかりました(笑)」と柚木さん。傷み具合があまりにもひどかったので、建築士のお友達には「やめたほうがいい」と言われたそう。それでも借りると決めたのは、「手をいれたら、面白い空間をつくれるのではないかと思ったから」。
柚木さとみさんのキッチンとダイニング

Photo by macaroni

カフェプランナーでもある柚木さんが自分で図面を引き、キッチンとダイニングに可能な限り大きなスペースを確保。その後、わずか3週間で床や天井を落とし、部屋を仕切る壁を解体し、床を張り替え、床板を塗り、引っ越してきたといいます。その時点ではまだ室内の壁もキッチンも完成していなかったそうですが、数週間後にはこの場所で撮影をしていたというのだから、驚くべきバイタリティー。

使いやすいキッチンのための3つのこだわり

そうして完成した柚木さんのアトリエ。「余計なものはあまりおかず、料理が並んで空間が完成するような、シンプルな感じにしたいなと思っていました」とのことで、全体的に色合いはシンプルです。

キッチンスペースで目立つのは、真っ白に塗られたアイランドキッチンと、壁面を彩るように置かれた食器やスパイス、調理器具。この空間を形にする上で特にこだわった部分は?と柚木さんに訊ねると、「そうですね……」とひとしきり考えてから、ポイントを3つ挙げてくれました。

1. アイランドキッチン

柚木さとみさんがキッチンで調理している様子

Photo by macaroni

「このシンクは、友人が住んでいたアパートから運んできたもの。近々取り壊すと聞いて、廃棄処分されるならほしい!って飛びつきました(笑)。もともとは壁付けのシンクでしたが、まわりに作業台をつくりアイランドキッチンにした理由は、料理教室をする上で、ガスや水場が壁を向いているよりも生徒さんとコミュニケーションをとりやすいと考えたから。加えて、複数人で料理をするとき、グルッと周って動けるアイランド式のほうが、洗い物でもなんでもやりやすいと思いました。
周りに置くものの配置を考えたとき、意識したのは動線です。たとえば洗い物をしたあと食器をしまいやすいようシンクの近くに食器棚を置いたり、調理中に使うことが多いスパイスのラックはガス台の近くにしたり。わずかな動作でも繰り返すうちにストレスになりますから、使いやすさには特にこだわりました」

2. オープン収納

スパイスラックに手をかける柚木さとみさんと、キッチン収納の様子

Photo by macaroni

「調理器具は使用頻度が高いので、しまいこむのはやめました。扉を開けるひと手間が面倒ですし、使い終わって片付けるとき、見える形ならどこに置くべきかひと目でわかる。はじめてここへ来た生徒さんでも悩まず作業に参加できます。

収納の多くは手作りで、このスパイスラックもそうなんです。見た目に統一感が出るので、大抵のものは瓶に移し替えています。
棚板はあまり奥行きをもたせないようにしているんですよ。奥にしまったものってだんだん手に取らなくなることが多いんです。それなら、一目瞭然の横並びにした方が見やすいし、奥行きがない収納なら場所もとりません。

奥行きのある棚に直径の小さな器を収納するときには、どの高さにしまうかにこだわっています。サイズが小さなものは、可能な限り目線より下の棚。見下ろす分には棚板に奥行きがあっても目で確認できるんですよ。目線より上に行くほど棚板に隠れて奥が見えなくなるので、基本、上には大きなものを置くようにしています」
調理器具とカトラリーが素材別に収納されている様子

Photo by macaroni

そこまで聞いて、ふと気になったのがヘラや菜箸などの調理道具。ほかのものに比べてやや無造作に置かれているように見えます。しかし、ここにも合理的な柚木さとみ流の収納術が。
「素材で分けて収納するのがポイントです。あれはどこかな?と思ったとき、形や種類よりも色や素材に注意した方が見つけやすいので。ヘラ、箸、トング、などで分けるのではなく、木、シリコン、ステンレス、といった具合です」

3. キッチンとダイニングをひとつながりの空間に

ミモザサラダを配膳する柚木さとみさん

Photo by macaroni

「キッチンとダイニングの間に仕切りはつくりませんでした。加えてアイランド型にしたことで、料理や片付けをしているときでもくつろいでいる人と同じ時間を共有できる空間になったと感じています。私自身は自分がつくったものを楽しんでくれて、おいしいと言ってもらえるだけで幸せなのですが、食事をしている友人たちと話をしたり、一緒に料理や洗い物をしたりできるならさらにうれしい。それを実現できたこのキッチンのスタイルを気に入っています」

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macaroni編集部

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