【千円以下で100年続く味】お殿様がこぞって食べた「白すぎるおそば」とは?(vol.2 更科堀井@麻布十番)

今回お邪魔したのは創業230年という長い歴史をもつおそば屋さん。明治時代の最盛期には皇室や宮家にも出前を届けていたというお店なんですが、なんと驚きの1000円以下でその格式ある味を楽しむことができるんです!いったいどんなおそばなのか……、麻布十番の老舗の味をご紹介します。

2019年2月19日 更新

「更科」発祥のおそば屋さんは東京・麻布十番に

更科堀井 本店の外観

Photo by macaroni

というわけで、やってきたのは麻布十番駅/六本木駅からほど近い場所にある「総本家 更科堀井 麻布十番本店」。寛政元年(1789年)に創業し、230年にわたって伝統を受け継いできた老舗中の老舗です。
「更科堀井 本店」ののれんは藍色に白字

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初代は信州特産の信濃布を商う布屋さんだったそうで、それがそば屋に転じ、領主・保科家の江戸屋敷からほど近い麻布永坂町に店を構えたのがその成り立ち。当時から大名のお屋敷、有力寺院に出入りしていたそうですが、明治時代中頃の最盛期には皇后や宮家にも出前を届けていたというから隆盛のほどがわかります。そして、その頃から今も変わらず看板商品であり続けているのが、白くつややかな「更科そば」。

抜けるように白い看板商品「更科そば」

更科そばを打つ様子

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更科堀井の9代目・堀井良教さんによると、更科そばができたのはまだ江戸の時代。
「当時のうちは江戸の上屋敷のあちこちにおそばを収めていたんです。こちらからお屋敷へ出向いて納品するわけですけど、そういう持ち込みのおそばというのは大抵、そば殻や甘皮を混ぜずに挽いた白いそばだった。ふつうのおそばだと運んでいる間にくっついちゃうから。

その白いそばをもっと白くしちゃえ!と言い出したのが、6代目のおばあさん。今でも付き合いのある石森製粉さんと組んで、抜けるようにまっ白なおそばをつくりだしたんです。ふつうのもりそばが15銭のときに1円だったっていうんだから、かなり高価なおそばですよ。でも、それが飛ぶように売れた。いいお客さんをたくさんもっていたということでしょうね」
更科そばを切る様子

Photo by macaroni

そばの実の芯の部分だけを使って仕上げるという更科そば。その特徴は、「まずは色の白さ。そして、でんぷん質のおそばならではのほんのりとした甘さです」と堀井さん。今も改良は続いているそうで、「当時はそばの実の12%くらいを使っていたんですけど、今は8%程度。さらに磨きこまれています」と、より濁りのない白さを得た看板商品に胸を張ります。
ゆでたての更科そば

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「さらしな」930円(税込)

茹で上がった更科そば。ふだんよく見るおそばとは佇まいが違います。麺はやや細く、しっとりとした質感で、とにかく白い!

さっそく甘汁にひたしてひとすすり……、最初に感じられたのは、想像以上になめらかな口当たりでした。舌にさわる感触も心地よく、聞いていたとおりの甘さがほんのりと口に広がります。さらに、つやのあるこのおそばならではの独特な喉ごし……。あと引く感覚に誘われて、おそばをたぐる箸の動きについつい勢いがついてしまいました。
かつてはお殿様や豪商のような人たちしか味わえなかったであろう味と喉ごし。それが今では930円(税込)で楽しめるというんですから、製粉技術の進歩に感謝したくなりました。

自家製石臼挽き粉で打つ江戸前のそば「もり」

こちらは「もり」。

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「もり」830円(税込)

看板商品は見た目にも洗練された更科そばですが、同じく1000円以下で注文できる「もり」もおすすめです。茨城県・境町産のそばの実を店内で自家製粉し、手打ちで打った色の濃いおそば。更科そばと比べてわずかに太い麺を辛汁にひたして食べれば、そば本来の味と香りを楽しめます。
更科堀井の店舗に2、3人で足を運ぶ機会があったなら、ぜひ更科そばともりそばのそれぞれを注文し、違いを確かめてみてください。互いに魅力的な白いおそばとほんのり黒いおそば。その好みから、相手の食の傾向までが見えてくるかもしれませんよ。

さらに、季節変わりの名物そばも

季節に合わせた「色変わりそば」

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「季節の変わりそば」1,050円(税込)

最後にもう一品紹介させてください。更科堀井にはもうひとつ看板商品があるんです。

それが「季節の変わりそば」。まっ白な更科そばに季節のものを練りこんでつくる変わりそばで、年間で22種類のおそばが提供されています。取材にうかがった2月初頭は、写真の「春菊切」(毎年2月1日〜28日)。つやのある春菊切は噛むほどにふくよかな香りを漂わせ、遠からぬ春の到来を思わせる、味わい以上に満足感のあるひと品でした。1,000円からほんの少しだけ足が出てしまいますが、十分お手頃といっていいお値段です。老舗の味を季節感とともに味わいたいならぜひ試してみてください。
ちなみに、「更科堀井 麻布十番本店」の店内にはお座敷もあり、お酒やおつまみのメニューもかなり充実しています。足を運ぶのが休日なら、地元の人たちと一緒に昼から一杯、というのも楽しそうですよ。

店舗情報

「更科堀井 本店」の内観

Photo by macaroni

更科堀井 麻布十番本店
◼︎住所:東京都港区元麻布3-11-4
◼︎電話番号:03-3403-3401(代)
◼︎アクセス:東京メトロ 日比谷線 六本木駅 3番出口より徒歩10分 / 南北線 麻布十番駅 4番出口より徒歩7分
都営大江戸線 麻布十番駅 7番出口より徒歩5分
◼︎営業時間:11:30~20:30
◼︎定休日:1月1,2,3日/7月30日〜8月2日
◼︎参考URL:https://tabelog.com/tokyo/A1307/A130702/13001226/
◼︎公式URL:http://www.sarashina-horii.com/
文・写真/植松富志男(macaroni編集部)
※本記事は個人の感想に基づいたものです。味の感じ方には個人差がありますのでご了承下さい。

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macaroni編集部

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