ライター : dressing

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愛する自然派ワインに合うベトナム料理が作りたかった

エスニックブームが続く中、サンドイッチの新ジャンルとして人気が高まり、次々に専門店がオープンしているベトナムのソウルフード「バインミー」。中でも注目を集めているのが、2017年10月にオープンした『スタンドバインミー』だ。
『スタンドバインミー』があるのは、東急東横線の学芸大学駅西口から徒歩3分の静かな住宅街。オープンしてまだ1年だが、もうずっとそこにあったかのようなヴィンテージ感あふれる佇まいだ。 店内はカウンターに6席のみ。半分以上をキッチンが占めている。
オーナーの白井瑛里(通称:えりぽん)さんは、2017年10月、26歳でこちらの店をオープン。その若さにも驚くが、「狭くて裏通りで、家賃もそう高くないので、もしお店が失敗しても自分が住めばいいと思っていました(笑)」と気負いがない。
前職は、飯田橋にあるフレンチレストランのワイン担当スタッフ。酸化防止剤を使わずブドウそのもののフレッシュな味わいを楽しむ自然派ワインの魅力をもっと多くの人に知って欲しいと考えたのが、この店を開いたきっかけだという。 そんな白井さんが自然派ワインと同じくらい熱愛し、何度も訪れているのがベトナム。ベトナム料理も大好物だが、化学調味料を使っているお店が多いことを残念に思っていたと話す。 「身体にやさしい食材だけを使って、私の大好きな自然派ワインにぴったり合うベトナム料理を作りたいと思い、この店を始めました」(白井さん)。 店では、フレンチをベースに、産地直送の有機野菜や固定種の野菜(何世代にもわたり絶えず選抜・淘汰され、遺伝的に安定した品種)、厳選したオーガニック食材を使用し、できるだけ無添加で調理したベトナム料理を提供している。
▲店内の食器や雑貨は、白井さんがベトナムから買い付けているこだわりの品 6席しかない小さなお店だったので、看板商品はテイクアウトしやすいバインミーにした。店をオープンしてから気づいたそうだが、このエリアはファッション関係やマスコミ関係者が多く住んでいる。 そうした人達の間でこちらの店は「本場のバインミーよりおいしい!」とクチコミで評判が広がり、取材が殺到。瞬く間に超人気店となった。

本店からすぐ近く、姉妹店としてカフェ併設のベトナム雑貨店をオープン

2018年6月には、本店『スタンドバインミー』から徒歩10秒のところに姉妹店『333(バーバーバー)』をオープン。 現在、バインミーは『333』のみで販売している(ただし本店で食事をする場合は、『333』で購入したバインミーを店内で食べられる)。 『333』は 21時で閉店だが、本店は24時まで営業しているので(日曜のみ23時まで)、『333』がクローズした後は本店でもバインミーを注文できる。夜営業でもオーダーストップの時間まではテイクアウトが可能なのもありがたい。

本場よりうまい!と、うならせるバインミーの秘密

さて、気になるバインミーの紹介といこう。
バインミーのパンは、原料の産地から配合、焼き方まで細かく指定している特注品。 もっちり・ふんわりしている「オリジナルバインミー」と、ふすま(小麦の表皮部分)が入っていて香ばしく、しっかりした噛みごたえの「プレミアムバインミー」(1日15本限定)の2種類がある(バインミーは全てプラス200円で「プレミアムバインミー」へ変更可能)。
横に切れ目を入れたオリジナルのパンをフライパンでこんがりと焼くと、小麦粉の甘く芳ばしい香りが一気に店内に広がる。 「ベトナムのバインミーのパンは米粉を使っているのでサクッと軽い食感ですが、うちのバインミーに使っているパンは本場よりもおいしいと思いますよ」と、いたずらっぽく微笑む白井さん。確かにこのパンのたまらない香りだけでもおいしい予感がして、期待が高まる。
そして、焼いたパンの片側にナンプラードレッシングとアリオリソース(ニンニクの風味が効いたマヨネーズ風ソース)を塗った後、自家製のレバーパテをたっぷりと塗る。 このレバーパテは店内で提供している自然派の赤ワインをたっぷり使って臭みを抜き、やや甘めの味付けをしてクリーミーに仕上げている。
次に自家製のハムをはさむ。 「このハムは、エマルジョンソーセージ(中身の肉を細かく挽き、よく練って乳化させたソーセージ)の中身をハム状に仕上げたものなので、とても舌ざわりがいいんですよ。甘めのレバーペーストとのバランスを考え、スパイスを効かせてピリッと仕上げています」(白井さん)。
トッピングは、香りが華やかで酸味がおだやかな白ワインビネガーに漬け込んだ、人参と大根のなます。そしてたっぷりのパクチー、ミント、ディル(ハーブの一種)を盛り付けたら完成。 「ディルを使うのがうちのバインミーの特徴のひとつです」(白井さん)。
定番メニューの「オリジナルバインミー」(写真上)。 最初に感じるのは、パリッと焼けたパンの表面の香ばしさと、かみしめた時の小麦粉特有の甘み。次の瞬間にはレバーパテの甘み、ハムに仕込まれたスパイスの刺激、なますのフルーティな酸味、ハーブの爽やかな苦みと真夏の青草のような香りが口いっぱいに広がる。それら具材のすべてが混然一体となった完璧なバランスに驚く。

手間ひまかけた米&麺メニューも、手抜きなしの本格派!

ベトナム式チキンライス「コムガー」をアレンジした「鴨肉のチキンライス」(写真上)は、ご飯ものでは一番人気。
10時間以上かけて煮込んだ鶏ガラスープだけで炊いたロングライス(粒の長い外来米)に、低温のオイルで時間をかけてじっくり加熱した鴨のコンフィを混ぜ込んでいる。
鶏ガラスープの味付けは塩とナンプラーだけだが、鶏のうまみをたっぷり吸いこんだライスは、それだけでも食べ続けられるほど美味。細かく崩した鴨のコンフィの力強いうまみがアクセントになり、スプーンが止まらない一品だ。

ヒットメニュー・牛ほほ肉のシチューのフォーも必食!

「生米麺 シチューフォー」(写真上)のトッピングは、十数種類のスパイスとともに赤ワインで3時間以上煮込んだ国産牛ほほ肉を使用。
箸で触れただけでホロリと崩れるやわらかさの牛ほほ肉がたっぷり乗っており、フォーの優しい食感ともよくマッチしている。滑らかな舌触りのフォーは、スパイスの効いた深い味わいのスープともよく馴染み、満足度の高い一品に仕上がっている。
また、白井さんおすすめの自然派ワインも豊富に揃う。写真上は、ボジョレーヌーボーにも使われるブドウ「ガメイ」を使い、フランス・ボジョレー地区で造られる、軽く果実味豊かな赤ワインで、軽い味わいがベトナム料理によくマッチする。

発見! この店のバインミーは一晩寝かせるとさらにおいしくなる

フォー以外のメニューはテイクアウト可能。白井さんによると同店のバインミーは一晩おいて朝食に食べてもおいしいとのこと。
おすすめ通り翌日食べてみたところ、パンに焼き立てのパリパリ感は無いものの、しっとりして具とよくなじみ、さらに一体感が増している。作りたてとはまた違うおいしさに進化していることを実感できる。
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