連載

【日々の味付け帖 vol.53】想いは国境をこえて。前澤由希子さん愛用の調味料たち

料理と向き合い生活している食のプロに、味の決め手となるお気に入りを訊く連載企画。今回ご紹介するのは、イタリアの家庭料理を日本に広めた先駆者として知られる、ユキキーナこと料理研究家の前澤由希子さんの愛用品。

Today's foodie

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前澤由希子/イタリア家庭料理研究家

J.S.A認定ソムリエ、豆腐マイスター。OL時代に各種料理学校へ通い調理師免許を取得。結婚後、単身イタリアへ留学し、現地の料理学校のほか、家庭の主婦や、リストランテのシェフからイタリア各地の郷土料理を学ぶ。帰国後、都内のトラットリアで修業し、船橋市の自宅で料理教室を開講。家庭でも簡単に作れる素朴なイタリア料理、体にやさしいイタリア料理をモットーに、現地の味を発信している。「ELLE a table」をはじめとした料理専門誌や、雑誌「VERY」「CLASSY」などへのレシピ掲載多数。

イタリアで見つけた“懐かしさ”。

イタリアで見つけた“懐かしさ”。

Photo by macaroni

ユキキーナの愛称でおなじみの料理研究家・前澤由希子さん。日本にイタリア家庭料理を広めた先駆けとして知られる人物です。著書『イタリアで家庭料理を学びたい』(白水社)の出版をはじめ、料理教室「チャオ バンビーナ(Ciao Bambina)」の主宰や雑誌・TVでのレシピ制作など、“本場の味の再現”をモットーに日々活動を続けています。

そんな前澤さんがはじめてイタリアを訪れたのは、およそ20年以上前のこと。その際は観光ツアーに参加しただけで、家庭の味に深く触れる機会は少なかったといいます。しかし帰国後に経験したあることがきっかけで、その後の人生が大きく変わることに。

「青山にある『リストランテ 濱崎』主催のイタリア家庭料理教室に参加したんですが、そこの先生がつくってくれる料理が感動するほどおいしくて。その味がどうしても忘れられず、現地の家庭に行ってみたいという思いが日増しに強くなり、9日間の日程で現地の一般家庭へホームステイをすることにしたんです。短い滞在期間でしたが、わたしの人生観を変えてしまうほど濃密なものでした」

思わずビビビと来た--。ホームステイの経験をそう形容する前澤さん。それほどまでにイタリアに魅せられた理由はどこにあったのでしょうか?

「イタリアの家庭には、“懐かしさ”がありました。子どものころ、学校から帰ってくるとパンの焼けるこうばしい香りがしたり、お味噌汁のやさしいにおいが漂ってきたり、そういう感じのホッとするあたたかさ。それでいて食卓に上がるのは、シンプルな味付けなのにとてもおいしい料理たち。そこに日本で希薄になりつつあった、家庭のぬくもりを見出したのかもしれません」

決して奇をてらわず、現地のレシピをそっくりそのまま伝えたい。OLの仕事を辞めて、船橋の自宅で料理教室を開こうと決心した前澤さんの想いの裏にあるのは、現地の家庭で目の当たりにした、料理を媒介にした家族のコミュニケーション。

今回ご紹介する愛用の調味料は、そんな本場の味を再現する上で欠かせないアイテムばかり。日本ではなかなか手に入りにくいものもあるといいますが、どのようにして代用しているのでしょうか。早速ご本人に選りすぐりのお気に入りを紹介していただきましょう。

1.【塩】アーパアンドイデア「サルデーニャ島の塩サーレ・マリーノ・フィーノ」

1.【塩】アーパアンドイデア「サルデーニャ島の塩サーレ・マリーノ・フィーノ」

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「フランス産のお塩ってマイルドなイメージがありますが、シチリアやサルディーニャからとれる海の塩は、キリッとした塩気でまろやかな旨みが感じられ、料理の仕上がりがキュッと締まります。パスタを茹でるにも、しっかり麺に塩気がつくのでこちらをずっと愛用しています」

2.【酢】ポンティ「白ワインヴィネガー」

2.【酢】ポンティ「白ワインヴィネガー」

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「イタリアではおなじみの酢『ポンティ』に出会ったのは、2006年のこと。ホームステイ先のマンマに教えてもらって以来、ずっと愛用している酢です。酸味と旨みのバランスがいいのでどんな料理とも合わせやすく、茹でたお米に刻んだ野菜を加えてつくるサラダなんかにぴったり」

ITEM

ポンティ「白ワインヴィネガー」

内容量:500ml

¥507 ※2018年7月4日時点
価格は表示された日付のものであり、変更される場合があります。本商品の購入においては、Amazon.co.jpおよびrakuten.co.jpで正確かつ最新の情報をご確認ください。

3.【オリーブオイル】シチリア・ヴィラージ農園「ポリフェーモ」

3.【オリーブオイル】シチリア・ヴィラージ農園「ポリフェーモ」

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「料理教室では魔法のオイルと呼んでいるヴィラージ農園のオリーブオイル。青いトマトのようなフルーティーな香りで、どんな料理にもおいしく仕上げてくれます。パスタやミネストローネなどの温かい料理の仕上げにかけるオイルの香りが立ちのぼり、豆腐やサラダといった冷たい料理は全体がフルーティにまとまります。しっかりとした風味がありつつも、素材を選ばず使える万能性がお気に入り」

ITEM

シチリア・ヴィラージ農園「ポリフェーモ」

内容量:250ml

¥2592 ※2018年7月4日時点
価格は表示された日付のものであり、変更される場合があります。本商品の購入においては、Amazon.co.jpおよびrakuten.co.jpで正確かつ最新の情報をご確認ください。

4.【その他】かんずり「かんずり漬け」

4.【その他】かんずり「かんずり漬け」

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「5〜6年前にカラブリア州に行った際にしらすの辛子漬け(ロサマリーナ)という郷土料理に出会ったんですが、食べてみた瞬間かんずりの味が激似でびっくり。日本ではなかなか手に入らないので、それ以来、かんずりを使って現地の味に近づけています。

焼いた肉に添えてオリーブオイルをかけてもおいしいですし、ピザにのせてもいいですね。カルボナーラなどのクリーム系のパスタは、ひと味違う刺激的な味に早変わり。どんな食材にも使える万能な調味料です」

ITEM

かんずり「かんずり漬け」

内容量:70g

¥702 ※2018年7月4日時点
価格は表示された日付のものであり、変更される場合があります。本商品の購入においては、Amazon.co.jpおよびrakuten.co.jpで正確かつ最新の情報をご確認ください。

5.【その他】アサクラ「塩漬けケッパー」

5.【その他】アサクラ「塩漬けケッパー」

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「2008年のシチリア旅行で出会った塩漬けケッパーの味にいたく感動。ケッパー本来の味がギュッと詰まっていて本当においしかったんです。現地を訪れる友人に都度買ってきてもらっていましたが、ネットショップでその味に近い商品を発見してからは、気軽に手に入れられるようになりました。

パスタ、アクアパッツァ、サラダ、お米サラダなどで薬味として使うのがメインですね。しっかり旨みを引き出してくれるところがお気に入りで、なんにでもちょっとだけ入れたくなります」

6.【その他】ドライトマト

6.【その他】ドライトマト

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「留学時代のトスカーナでシチリア料理を習ってはいたんですが、使っていたのはトスカーナの食材でした。その後、南イタリア旅行で本場のシチリア料理を食べたんですが、あまりのおいしさに衝撃を受けたのを覚えています。こちらもそのときの旅で出会ったシチリアのドライトマト。ふつうのドライトマトよりも小さいんですが、料理にいい旨みをプラスしてくれます」

7.【その他】ペッレグリーノ「マルサラ・スーペリオーレ ガリバルディ・ドルチェ」

7.【その他】ペッレグリーノ「マルサラ・スーペリオーレ ガリバルディ・ドルチェ」

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「こちらはシチリア島の地ワイン。現地ではお菓子の材料や料理の調味料としても使われることが多いんです。ワインなのに甘みがあって芳醇な味わいが特長です。紹興酒の風味に似ているかもしれません。肉料理などの仕上げに入れるだけで「どうしてこんなにおいしくなるの?」と思わずにはいられない旨みのあるソースになります。トスカーナの鶏レバーのペーストに入れても、甘みが出ておいしくなりますよ」

ITEM

ペッレグリーノ「マルサラ・スーペリオーレ ガリバルディ・ドルチェ」

内容量:750ml

¥1575 ※2018年7月4日時点
価格は表示された日付のものであり、変更される場合があります。本商品の購入においては、Amazon.co.jpおよびrakuten.co.jpで正確かつ最新の情報をご確認ください。

8.【スパイス】トンマーゾ・マシャントニオ「イタリア産 乾燥ペペロンチーノ」

8.【スパイス】トンマーゾ・マシャントニオ「イタリア産 乾燥ペペロンチーノ」

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「ホームステイ先のマンマがつくってくれたサルシッチャ(粗挽き唐辛子入りのウインナー)の味がどうしても忘れられず。帰国後にレシピを再現しようといろいろと材料を探しているなかで出会ったのが、トンマーゾ・マシャントニオの唐辛子。食べる部分によって味が異なるのが、噛むたびに新鮮な刺激が感じられます」

ITEM

トンマーゾ・マシャントニオ「イタリア産 乾燥ペペロンチーノ」

内容量:100g

¥910〜 ※2018年7月4日時点
価格は表示された日付のものであり、変更される場合があります。本商品の購入においては、Amazon.co.jpおよびrakuten.co.jpで正確かつ最新の情報をご確認ください。

料理の本質を教わった9日間。

料理の本質を教わった9日間。

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「イタリアの家庭でやらないことは、わたしもやらないようにしています。できるだけ本場の味をそのまま伝えたいので、市販の調味料は使いません」と前澤さん。自分の感性を信じて、好きなものや良いと思うものだけを伝えていきたい。その想いの原型は、ホームステイ先のマンマによって形作られた部分が大きいようです。

「ワハハという大笑いが似合う料理上手の近所のおばさんで、料理中のつまみぐいは当たり前。しまいにはワインを飲みながら料理していました(笑)。でも心の底から、料理をつくることを楽しんでいたように思えるんです。

料理をすることの本質を教わった9日間。そしてなにより、マンマの家族とともに食卓を囲んだ時間こそが、“料理は人を幸せにできる”と思えた貴重な経験でした。

「イタリアの家庭は、お母さんが料理をつくっていたら、お父さんはできあがったものから取りに行ったり、子どもたちは食事が済んだお皿を下げたり、家族それぞれに役割があるんです。ひとりに負担を強いるようなことはしません。あとは、みんなで取り分けて食べてるから、食べ終わったらすぐに部屋に戻るということもありません。みんなで食事を楽しめるよう、互いに気を配っているんです。

やっぱり、のんびりとみんなでごはんを食べている姿ってとても素敵だと思います。わたしも、みんなが喜ぶものや欲するものをつくって、一緒に楽しみたいんですよね。本当に、ただそれだけなんです」
取材/小林萠(macaroni編集部)、文・構成・写真/山川俊行(macaroni編集部)

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