連載

【わたしの食器棚 vol.61】旅する食器。前澤由希子さん愛用の食器たち

料理と向き合い生活している食のプロに、食卓の彩りとなるお気に入りの食器を訊く連載企画。今回ご紹介するのは、イタリアの家庭料理を日本に広めた先駆者として知られる、ユキキーナこと料理研究家の前澤由希子さんの愛用品。

2018年7月19日 更新

Today's Foodie

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前澤由希子/イタリア家庭料理研究家

J.S.A認定ソムリエ、豆腐マイスター。OL時代に各種料理学校へ通い調理師免許を取得。結婚後、単身イタリアへ留学し、現地の料理学校のほか、家庭の主婦や、リストランテのシェフからイタリア各地の郷土料理を学ぶ。帰国後、都内のトラットリアで修業し、船橋市の自宅で料理教室を開講。家庭でも簡単に作れる素朴なイタリア料理、体にやさしいイタリア料理をモットーに、現地の味を発信している。「ELLE a table」をはじめとした料理専門誌や、雑誌「VERY」「CLASSY」などへのレシピ掲載多数。

表情が変わる料理。

表情が変わる料理。

Photo by macaroni

今回ご登場いただいたのは、イタリア家庭料理研究家のユキキーナこと前澤由希子さん。20年ほど前に訪れたイタリアで現地の家庭料理に魅せられて以来、“そのままのイタリアの味を伝えること”をテーマに日々料理を発信しています。そんな前澤さんにとって、現地の食卓を再現する上で欠かせないのが、その土地土地の料理を引き立たせる食器の存在です。

「料理の雰囲気に合わせた食器選びを一番大切にしています。イタリアって地域ごとに料理の表情がガラリと変わるんです。温暖な気候の南イタリアは、カポナータやマルゲリータといったカラフルで元気なイメージの料理。田園風景が広がるイタリア中部の料理は、トマトと豆のシンプルの煮物やTボーンステーキなど、どこか野暮ったい印象があります。一方、フランスと国境を接している北イタリアには、その他の地域に比べて、カルパッチョに代表されるような洗練された料理が多いんです」

では、地域ごとの特徴を把握して選び抜いた食器とは、一体どのようなものなのでしょうか。前澤さんご本人の説明に耳を傾けながら、料理に合わせた選び方を探っていくことにしましょう。

1.【皿】ジラソーレ

1.【皿】ジラソーレ

Photo by macaroni

「カラフルな色使いで、イタリアの太陽を思わせる元気があるデザイン。何をのせても絵になりますが、シンプルな料理のほうが映えますね。ふだんはアンティパストをのせています。10年ほど前、知り合いのライターさんから中目黒にあるシチリア陶器のお店『ジラソーレ』を教えていただきまして、以来通っています。

2.【皿】チェラミカスプーモ

2.【皿】チェラミカスプーモ

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「鎌倉に小さな工房を構えるチェラミカスプーモのお皿。オーダーメイドでつくってもらったんですが、レモンがあしらわれているほうがお気に入りです。同工房の作家さんはおだやかでやさしい方。その性格のやわらさが作風にもあらわれている、大好きなお皿ですね」

3.【皿】スペイン陶器「カスエラ 18cm」

3.【皿】スペイン陶器「カスエラ 18cm」

Photo by macaroni

「スペイン製の陶器ですが、イタリアの地方料理と見た目の相性がいいんです。まるで現地で食べているかのような素朴で温かみのある雰囲気を演出してくれます。直火でもオーブンでも使えるすぐれもの。トリッパなどの煮込み料理におすすめです」

4.【皿】ガラスリム

4.【皿】ガラスリム

Photo by macaroni

「特に夏場は、冷製パスタなどの冷たい料理をのせると映えますね。一気に涼しげな見た目に変わります。リムにソースを垂らしたりできるところにも使いやすさを感じています。

ちなみにイタリアでは、デザートを除くと冷たい料理ってそんなに多くはないんです。夏場によくリストランテで提供される冷製カペリーニも、実は日本からの逆輸入。もともとは、冷たいソースと熱々のパスタをあわせた“ぬるいパスタ”が、イタリアの夏の定番なんですよ」

5.【カトラリー】ミキモトのデザート用スプーンとフォーク」

5.【カトラリー】ミキモトのデザート用スプーンとフォーク」

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「以前、結婚式の引き出物としてミキモト(MIKIMOTO)のスプーンをもらったんですが、繊細なデザインが気に入って、後にフォークも買い足しました。華奢な見た目ですが、しっかり重さもあって安定感抜群。ティラミスなどのグラスデザートの脇に置くと、テーブルの雰囲気がグッと良くなります」

6.【グラス】リーデル「オー・トゥー・ゴー ホワイトワイン/大吟醸」

6.【グラス】リーデル「オー・トゥー・ゴー ホワイトワイン/大吟醸」

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「2016年にソムリエの資格を取得したんですが、こちらはそのときの同級生からいただいたグラスです。薄口グラスで上品な口当たりがお気に入り。ワイングラスとしても使いますが、こちらに注ぐのは主に日本酒。特に獺祭が大好きです(笑)」

7.【弁当箱】ラ・クッチーナ・フェリーチェ

7.【弁当箱】ラ・クッチーナ・フェリーチェ

Photo by macaroni

「イタリア式のピクニックは、料理を小分けにしてお弁当箱に詰めるのではなく、大皿に入れてみんなで取り分けるというスタイルなんです。こちらのラ・クッチーナ・フェリーチェのお皿を使って、そんな本場のピクニックを追体験しています」

8.【皿】クイーンアンで買ったレース皿

8.【皿】クイーンアンで買ったレース皿

Photo by macaroni

「クイーンアンというネットショップで手に入れたレース皿。ミラノやトリノの上品な料理をのせるときには、シュッとしたスタイリッシュな雰囲気で料理がグンと映えます。とはいえ我が家には素朴な風合いのお皿が多く、こういうおしゃれなデザインのものはあまりもっていません(笑)」

これがわたしのお気に入り。

これがわたしのお気に入り。

Photo by macaroni

各地域の料理の特性を理解し、色合いや食材、調理方法などを考慮して選ばれた食器の数々。日本におけるイタリア家庭料理の第一人者である前澤さんならではのコメントとともに、ご覧いただきました。
食器のエピソードに限らず、イタリア料理について目を輝かせながら語る前澤さんの姿を見ていると「好きこそものの上手なれ」という言葉がしっくりきます。ひとつのテーマを深く追求できるのは、それ自体を“楽しんでいる”から。人生をかけて没頭できるテーマと出会うためには、環境や年齢を言い訳にせず、前澤さんのように自分の好奇心に素直に従ってみることが大切なのでしょう。
取材/小林萠(macaroni編集部)、文・構成・写真/山川俊行(macaroni編集部)

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macaroni編集部

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