ライター : dressing

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カヌレってこんなにおいしかったの? オーガニックの素材にだわった、ワインに合う「カヌレ」

東急東横線・学芸大学駅または祐天寺駅から徒歩12分の場所に、土日祝日のみ営業のカヌレ専門店『Dans la Poche(ダン ラ ポッシュ)』がオープンした。
店舗は、大通りから伸びる細い路地に面したマンションの一室。「カヌレ専門店ココです」の看板がなければ危うく通り過ぎてしまいそうなロケーションにもかかわらず、オーガニック素材を使って丁寧に作られたカヌレのおいしさが口コミで広まって、2018年1月の開業以来すぐに人気店に。開店時間から早々に売り切れてしまう幻のカヌレとなっている。
カヌレの正式名称は「カヌレ・ド・ボルドー」。フランス・ボルドー地区で古くから作られてきた伝統的な焼き菓子だ。
店主の内藤裕子さん(写真上)は大学時代にフランスを訪れ、その文化や風土に共鳴。その後も語学留学をするなど、たびたび渡仏を繰り返してきたほどのフランス好きというから、本場でレシピを学んできたのだろうと思いきや、「修業はまったくしていないんです」という。 内藤さんがカヌレにはまったのは、日本に帰国してからのこと。身体に負担のない食事を心掛けていた内藤さんは、数年前、日本で広まり始めた自然派ワインに傾倒する。 「もともと甘いものが好きで、食事の後のデザートとお酒を合わせるのが楽しみ。。大好きな自然派ワインに一番合うスイーツは何だろうと試してみた中で、カヌレとワインの相性が良かったんです」。
内藤さんは、オーガニックの素材を使って、自分でカヌレを焼くようになった。 小麦粉は、栽培中はもちろん、収穫後、加工の段階でも農薬などを一切使用していないポストハーベストフリーのものを使用。放し飼いの鶏の有精卵と、血糖値が急上昇しにくく体を冷やさないてんさい糖、低温殺菌牛乳など……すべての素材にこだわり、伝統的なカヌレの製法をヒントにワインに合うレシピを考案。友達に振る舞ったりワインのイベントに持ち込んだりするうちに、販売して欲しいという要望が多くなり、店を持つことになった。 都内にカヌレ専門店はいくつかあるが、ここまでオーガニック素材にこだわっているのはおそらく『ダン ラ ポッシュ』だけだろう。 そのこだわりは味にも反映されて、「カヌレっておいしいものだったんですね」と、カヌレというお菓子を再認識するお客の声がSNS等で寄せられる。

ザックリした食感の秘密は銅型とミツロウにあり

内藤さんの作るカヌレは、食感にインパクトがある。外側は、サクサク、カリカリを通り越して、ザクッとしたハードな食感。中心はカスタードクリームが入っているのかと思ってしまうくらいにとろりとしている。
この食感の秘密は、銅型とミツロウ。どちらも、ボルドー地方に伝わる製法に欠かせない要素だ。
ミツバチの巣から精製されるミツロウは60℃まで熱しないと液状にならず、常温では固まってしまう。ミツロウを火にかけて溶かしてから、あらかじめ加熱しておいた銅型に流し、内側表面をミツロウでコーティング。そこに生地を流し込んで1時間程かけてじっくり焼く。 熱伝導率の高い銅型で焼くことでまずは外側がしっかりとキャラメリゼされ、中心部分はじんわりと加熱されるためとろりとしたテクスチャーに焼き上がる。
焼き上がった後に熱々のカヌレを銅型から取り出し、徐々に室温に戻る過程で表面のミツロウが固まってハードな食感がさらに増す。 生地は、素材を混ぜ合わせた後にほぼ2日間寝かせる。長時間寝かせることによってグルテンが落ち着き、よりしっとりと仕上がるからだ。

フレーバーもワインに合わせて工夫

カヌレのフレーバーは現在4種類。定番で焼いているのはバニラとラム酒が入った王道の「プレーンカヌレ」(写真上)だ。 バニラビーンズはマダガスカル産、ラム酒は西インド諸島で蒸留後にフランス・ボルドーで熟成する「ネグリタ」を使っている。ラムの香りとバニラの風味が、キャラメリゼの苦みとよく合う。
「スパイスカヌレ」(写真上)は、ティムールペッパーと、オレンジのリキュール「コアントロー」を使っている。
ティムールペッパー(写真上)は、ネパール産のスパイス。山椒のような風味と柑橘の爽やかな香りが感じられるエキゾチックな香辛料だ。 「フランスの高級ショコラティエやパティスリーで、ティムールペッパーを使ったお菓子がちょっとした流行になったことがあったんです」と内藤さん。 白ワインに合う味わいを模索していた時に内藤さんはフランスで出会ったこのスパイスの味を思い出し、使ってみると、思惑通りカヌレとも白ワインとも相性がよかった。
チョコレートを使ったカヌレは2種類。「チョコ(イチヂク・クルミ)」(写真上)と、「ショコラバスク」。どちらも、フェアトレードやオーガニックにこだわったマダガスカル産のビターチョコレートを使っている。 「チョコ(イチヂク・クルミ)」は、トルコ産ドライイチヂクのプチプチとした食感がアクセント。ワイン以外の洋酒にも合いそうな味わい。 「ショコラバスク」は、フランス・バスク地方の名産品であるピマンデスペレットを使用。ピマンデスペレットは甘みと辛みのある大ぶりな赤唐辛子で、乾燥させたパウダーはバスク料理に欠かせない調味料だ。チョコレートと合わせることで甘さが引き締まり、ピリ辛のカヌレに仕上がる。 現段階では1日に2種類のカヌレを焼いている。どのフレーバーが店頭に並ぶかは当日のお楽しみ。夏に向けて、国産レモンチェッロを使ったカヌレも試作中だという。

パッケージはかわいい“三角包み”! 手土産にも喜ばれること間違いなし

カヌレは、かわいく三角形に包装してくれる。「フランスの老舗のお菓子屋さんで、こういう包み方をしている店があるんです。かわいいし、三角包みでケーキを持ち帰るのが楽しかったので、お客様にもそれを味わってほしくて」。
三角形の上にちょこんと出た持ち手の紐を持って家路につくと、なんだかそれだけで気分が上がる。手土産としても喜ばれるだろう。

週末は「カヌレ」と「ワイン」のペアリングを楽しんでみては?

生地の仕込みや焼き上げに手間ひまがかかるため、今は限られた数しか提供できないが「もうちょっと増産できるようにがんばります」と内藤さん。 土曜日は内藤さんの知人のワインバー『Goût de Jaune(グードジョーヌ)』(溜池山王)にカヌレを持ち込んで自然派ワインとのマリアージュを楽しむことができる。 この週末は、『ダン ラ ポッシュ』のオーガニックカヌレをテイクアウトして、お気に入りのワインを開けてみてはいかが? 【メニュー】 カヌレ各種 300円 ※価格は税込

Dans la Poche(ダンラポッシュ)

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