連載

【わたしの食器棚 vol.30】食の物語を彩る名優。蓮池陽子さん愛用の食器たち。

さまざまな食のプロにお気に入りを聞く連載企画。今回は、日本各地の食からアウトドアまで幅広く、 食の背景にあるストーリーを伝え続ける料理家・フードデザイナー、蓮池陽子さんがふだんから愛用しているという食器をご紹介します。

Today's Foodie

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蓮池陽子/料理家、フードデザイナー

東京・雑司が谷出身。ビストロ勤務の後、料理教室で料理・製菓講師を務める。その後アウトドアで山菜や貝などを採取をする中で、おいしい物の背景には“美しい自然”や“沢山の物語”があることに開眼。現在は「食の物語を紡ぐしごと」をコンセプトにケータリング・料理教室、フードコーディネート、メニュー開発、執筆などを行っている。

食の物語を紡ぐ料理家

愛用の食器をお手入れする蓮池陽子さん。

Photo by macaroni

日本各地の食からアウトドアまで幅広く、食の背景にあるストーリーを伝え続ける料理家・フードデザイナー、蓮池陽子さん。レシピ開発、フードコーディネート(スタイリング)、オーダーメイドのケータリング、執筆、地域の食材開発やPRなど、活躍の場は多岐にわたります。

そんな蓮池さんが自身の活動のコンセプトとしているのが、「食の物語を紡ぐしごと」。公式HP「Atelier Story」には、「食べものには風土や歴史,作り手の想いなど、様々なストーリーがあるものです。そのストーリーを紡ぎ、料理というかたちでお届けしたい」と、蓮池さん自身の言葉でその意味が記されていました。

食の背景にある物語をつくるところから取り組むという、決意に満ちた意思表明。詳しい活動内容を知るまでもなく、その想いを形にするには大きな苦労が伴うだろうと想像できます。それを理解してなお、険しい道を行こうとする稀有な料理研究家は、道程を共にする道具をどれほどの厳しい目で選んでいるのでしょう。今回この企画の取材を蓮池さんにお願いした理由は、ひとえにそれを知りたいという想いからでした。

果たして、食のストーリーテラー・蓮池陽子さんはどのような食器に惹かれ、それをどのように使っているのか。特に使う機会が多いというお気に入りについて、その魅力と特徴を伺いました。

1.【お椀】めぐる「日月・花塗り」

めぐるの「日月・花塗り」。黒は蓮池さんが特別オーダーした色。

Photo by macaroni

「毎日のお味噌汁はこの漆器で飲んでいます。貴重な国産漆を塗って仕上げられたもので、漆本来のやさしい口当たりを楽しめます。手のひらにすとんと収まるフォルムもお気に入り。いつまでも触っていたくなるお椀です。

貝沼航さんという方が、世代を超えて受け継ぐ暮らしをテーマに立ち上げた漆器ブランド『めぐる』のアイテムで、ひと目で惚れ込み愛用しています。実は、買おうとした時は朱色しかなく、『料理に合わせやすい黒のお椀もつくってほしい』と私がリクエストした結果、商品化されたという裏話もあるんですよ」

2.【器】阿久津雅土

阿久津雅土さんの器。「作り手の実直な人柄が伝わってくる」と蓮池さん。

Photo by macaroni

「益子にある雑貨屋さん『ペジテ』でひと目惚れした器です。この形とサイズ感を目にした瞬間、イメージがむくむくと湧いて、まとめ買いしました。我が家では酢の物などの副菜を入れる器として使っているほか、湯のみとしても利用しています。

阿久津雅土さんはまだ若い陶芸家さんのようなのですが、実直なお人柄なのではないかな?と勝手に思ってます。がんばっている若い作家さんのものは積極的に手に入れて、応援したいと思っています」

3.【皿】伊藤環

作家・伊藤環さんの作品。どっしりとした重厚感を漂わせる逸品。

Photo by macaroni

「仲良しのスタイリストさんから、『蓮池さんの料理には伊藤環さんの作品が合うと思う』とアドバイスをいただいて、購入した1枚です。お安いものではなかったのですが、お値段以上の価値を日々感じています。

どっしりと重厚感のあるつくり、黒みがかったグリーンはどんな料理とも相性がよく、上に置くだけで食材の魅力が増したように感じられます。それが茹でた野菜でも焼いた肉でも、ケーキだとしても、食卓を引き締めたいなと思ったら迷わずこのお皿を選びます」

4.【急須】西村峰子「土瓶」

西村峰子さんの作品。「品の良いフォルムにひと目ぼれしました!」と蓮池陽子さん。

Photo by macaroni

「お客様の前で使うと、必ずと言っていいほど褒めていただける自慢の急須。丸みを帯びたやさしいラインが女性的で、眺めているだけでうっとりします。

私の場合、食後、息抜きする時、来客時など、お茶を淹れる機会が多いので、この急須には毎日ふれていますね」

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