ライター : Raico

製菓衛生師 / スイーツ&フードアナリスト / フードライター

クリスマスの伝統菓子「パネトーネ」

イタリアでは昔からクリスマス4週間前の待降節の期間に、「パネトーネ」というお菓子を焼く習慣があります。「パネットーネ」とも呼ばれ、友人や親戚に配るために、それぞれの家庭でイタリアのマンマが手作りするもの。ひとくちにパネトーネといっても、使うドライフルーツは家庭によってさまざまです。

近年ではクリスマス前になると、日本でもパン屋やお菓子屋などで見かけるようになりました。また本場イタリアから輸入される商品もあり、パネトーネを身近に感じる方も多いのではないでしょうか。

パネトーネ(パネットーネ)とは

パネトーネは、ミラノ発祥のイタリアの伝統菓子です。バターや卵をたっぷりと使った生地に、パネトーネ種という天然酵母を加え、「発酵させて生地を休ませる」という工程を繰り返して作られます。時間と手間がかかるため、最近ではイタリアでもパン屋やお菓子屋で買うのが一般的になってきており、パン屋で売られているものはブリオッシュの生地を使うことが多いようです。

パネトーネ種で発酵させる生地に、レーズンやオレンジピール、レモン、プラムなどのドライフルーツをラム酒に漬けたものを練り込んで、ドーム型に焼き上げればできあがり。

食感はやわらかいパン菓子のようで、ラム酒の香りがふわっと広がります。日持ちがし、ドライフルーツは日を追うごとに味が変化するため、味わいの違いを楽しむのもパネトーネならではの醍醐味です。

パネトーネの食べ方

イエス様の降誕を待ち望む期間である”待降節”からクリスマスまでのシーズンは、食事やおやつにいろいろなパネトーネを食べる習慣があります。食べ方は、ケーキのように放射線状にカットしていただくのが一般的です。

ちなみに、パネトーネと同じくクリスマスに食べられるお菓子には、ドイツの「シュトーレン」があります。シュトーレンは、酵母の入った生地にドライフルーツを加えて焼き上げるもの。シュトーレンの独特の形は諸説あり、ゆりかごで眠るイエス様を象徴するという説があります。シュトーレンはクリスマスの4週間前に作り、毎日少しずつ食べるのが基本です。食べ方は、まず真ん中に包丁を入れ、左右の内側を少しずつスライスしながらいただきます。

パネトーネもシュトーレンも「ドライフルーツを使う」という共通点があります。熟成が進むことで少しずつ味が変化するので、毎日食べても飽きないのが魅力です。どちらも材料に味の工夫がされています。

パネトーネ種って?

「パネトーネ種」とは、イタリアの北部・コモ地方で100年以上も受け継がれる天然酵母のことです。初乳を飲んだあとの子牛の腸内物質から取り出された菌と、小麦を合わせて作られる自然種で、とても貴重な酵母。パネトーネ種は1gにつき、なんと1億個以上の乳酸菌が生息しており、乳酸菌のはたらきで独特の風味が生まれて口当たりがよくなります。

ほかの酵母に比べると長時間熟成・発酵させる必要があるため、パネトーネ種を使うと水分含有量が少ない生地に。微生物が活動しにくいためカビは発生しにくく、保存添加物を加えなくても長期保存できるのが特徴です。

基本のパネトーネを作ってみよう

Photo by macaroni

本場イタリアのパネトーネは「パネトーネ種」を使いますが、家庭でも作りやすいように粉末状の「パネトーネマザー」で作るレシピです。普通のドライイーストを使うよりも風味がよく、ドライフルーツの香りが豊潤に。生地はのびがよく、しっとりやわらかく仕上がりますよ。

作り方はいろいろ!パネトーネ(パネットーネ)のレシピ5選

1. 手ごねで作る。ドライイーストのパネトーネ

レーズンとオレンジピールを使う、パネトーネのレシピです。ドライフルーツとラム酒は、電子レンジで加熱。簡単に即席ラム酒漬けができますよ!すべての工程は、手ごねでOK。少々手間はかかりますが、ふんわりとした食感のパネトーネができあがります。

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