ライター : 伊藤 千亜紀

フードアナリスト

ちゃんと説明できる?懐石料理とは

懐石料理とは、どんなお料理のことかご存知でしょうか? 実は、「懐石料理」は茶道から生まれています。茶の湯の席で、お茶をいただく前にもてなされる食事のことを指し、一汁三菜が基本。現在の和食マナーに密接していますね。ごはんとお吸い物は、食事の最初に提供されます。そして、懐石料理には三大原則があるのです。 1. 旬の食材を使う 2. 素材の持ち味を活かす 3. 心配りを持って、おもてなしをする 茶道の創始者・千利休の侘びの思想が、この原則にも反映しています。

「懐石」の由来

懐石調理は、文字通り「懐(ふところ)に石を抱く」ことから来ています。修行中の禅僧が、飢えや寒さをしのぐために、懐に抱いた温石のこと。「少量ながら空腹を満たし、身体を温める質素な食べ物」を意味するようになりました。そして千利休が、狭い茶室でも簡単に食べることができる、懐石料理を完成させた歴史があります。 後に、料亭や料理屋などでこの形式が取り入れられ、茶懐石と区別して「懐石料理」と呼ばれるようになりました。茶事を目的とする、本来の懐石を「茶懐石」と呼びます。

懐石料理の食べ方

懐石料理には、おもてなしを受ける側にも作法が決められていますよ。代表的なお料理と恥ずかしくない食べ方を覚えておきましょうね。 ・焼き魚 頭のついている魚は、頭の後ろ、背中の方からひとつまみずつ食べましょう。表側を食べ終わっても、ひっくり返してはいけませんよ。そのまま骨を取って、下の身もいただきましょう。 ・刺し身 わさびを醤油に溶いてはいけません。刺し身の片側につけて、醤油は反対側につけて食べましょう。 ・煮物 里芋やにんじんなど、滑りやすいものは要注意です。片方のお箸を刺して、もう一方のお箸で挟んで食べます。 ・串物 串は抜き、お箸で適当な大きさに切って食べましょう。串を持って食べたりしてはいけませんよ。

会席料理との違いは?

同じ読み方でも「会席料理」との違いはご存知ですか? 懐石料理は、お茶をたしなむための食事でした。逆に、会席料理は本膳料理を簡略化したもので、大人数での酒宴料理という位置づけになります。懐石料理と同じく、一汁三菜が基本です。違うことは、ごはんと汁物は食事の最後に提供されます。現在では、本膳料理という形式は廃れてしまいました。ですので、特に形式が決まっているわけではないようです。

本膳料理とは

では、本膳料理とはいったいどのような料理でしょうか。こちらは、室町時代に確立された日本料理の形式。現在では、冠婚葬祭などに用いられる程度になってしまいました。 料理の構成は、一汁三菜、二汁七菜、三汁九菜とたくさん種類があります。その中でも、本膳料理は二汁五菜が一般的です。

日本の伝統料理を大切に

懐石料理とはどんな料理か、おさらいできましたか。今まで、なにげなく見過ごしてきた日本料理。しかし、最近では、和食は世界で注目されるようになりましたね。日本の伝統料理の成り立ちや歴史などを知っておくことも大切です。そうすることにより、和食の楽しみが広がることでしょう。
▼知っておきたい日本の雑学
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