ライター : tanukimaru

監修者 : 竹内 弘久

杏林大学医学部付属病院 外科医

脱水症状が現れたら飲み物選びが重要

毎年真夏日になると、必ずニュースで流れるのが「脱水症状」の話題。長時間、屋外で汗をかいたり、または風邪を引いて食欲がないときにも要注意の脱水症状ですが、万が一危ないかもと感じたら、何よりも重要なのは素早い水分補給です。 しかし、このとき選ぶ飲み物にもポイントがあります。なるべく早く体に吸収されるものを選ぶ必要があり、そんなときに効果的なのが「OS-1(オーエスワン)」と言われています。よく病院や薬局で見かけるこの飲み物、一体どんなものなのでしょうか?

そもそも「脱水症状」とは

人の体は7割が水分と、聞いたことがあるかもしれません。そのため脱水症状という字面から、「脱水症状=水分が失われること」だと思う人が多いでしょう。これは間違いではありませんが、微妙に本来のニュアンスとは異なっています。脱水症状とは、「体から水分と電解質が失われること」によって、体の機能にさまざまな不調をきたすことを指します。 水分が失われると、全身をめぐり、体に必要な栄養素を届けてくれている血液の量が減り、これによって臓器がうまく働けなくなってしまいます。さらに電解質が不足すると、体液の濃度を一定に保つ浸透圧機能がうまく働かなくなり、筋肉や神経に悪影響を及ぼします。その結果として「脱水症状」として知られている、目眩や吐き気、頭痛などが現れてくるのです。 つまり脱水症状は、「水分」と「電解質」の両方が不足した状態。ただ水をがぶ飲みすれば(=水分だけを摂取すれば)防げるというわけではないのです。そこで、OS-1のような、水分と電解質が同時にスムーズに補給できる飲料が必要なんですね。

経口補水液「OS-1」とは

OS-1とは、経口補水液。読んで字のごとく、口から足りない水分を補うための飲み物です。個別評価型病者用食品というものに指定されており、これは特定の疾病について効果が医学・栄養学的に根拠があると、消費者庁に認められた商品であることを指しています。 その特徴は、含まれている電解質と糖質のバランスが、ほかの飲み物と比べて体内に浸透しやすいように整えられていること。そのため、軽度〜中等度の脱水症状が現れている人の水分補給に適しているのです。

スポーツドリンクとは何が違う?

水分補給というと、スポーツドリンクが真っ先に思い浮かぶという方も少なくないでしょう。では、OS-1とスポーツドリンクはどう違うのでしょうか? スポーツドリンクは、汗をかいたときに失われがちな電解質やミネラルを含んでおり、体液に近い浸透圧にすることで、スムーズに水分補給をおこえるようにしています。一見、OS-1と同じように感じますね。 しかし大体のスポーツドリンクは、OS-1に比べて電解質の濃度が低く、糖質の濃度は高くなっています。一般的な、予防としての水分補給にはスポーツドリンクで十分ですが、すでに脱水症状を起こしてしまっているような場合には、OS-1のほうが適しているのです。

OS-1による「経口補水療法」とは

脱水症状のときに高い効果を発揮してくれるOS-1ですが、この商品は「経口補水液」で、「経口補水療法」の考え方にもとづいて開発されたものなのだそう。そもそも経口補水療法とは、一体何を指すのでしょうか。

生まれたのは開発途上国

もともと、脱水症状に関する治療は点滴が一般的でした。病気でうまく水分がとれていないとき、病院で点滴を受けた経験のある方は多いと思います。しかし、これは医療の現場が整備されている、日本のような先進国だからこそ可能なんです。 開発途上国では、衛生面での不備による感染症、特にコレラが蔓延し、深刻な被害が出ていました。しかし、現地には点滴に不可欠である清潔な針はもちろん、子どもの細い血管に正確に点滴用の針を刺せるような人材も不足しています。 そこで、下痢や嘔吐により失われた水分を補う方法として、経口(口から)の水分補給方法が必要になったのです。
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