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アジアの旅と映画に学ぶ、八角(スターアニス)の使い方と中華風レシピ

「スターアニス」とも呼ばれる、中国とベトナム原産のスパイス「八角」。中国では古くから漢方としても重宝されてきた、中華料理に欠かせない香辛料です。胃腸の働きが衰える夏から秋への変わり目に食べたい中華風のレシピを、3品お届けします。

2018年7月3日 更新

スターアニスとも呼ばれる「八角」とは

アニスやフェンネルに似た香りがあることから「スターアニス」「八角ういきょう」とも呼ばれる、愛らしい佇まいのスパイス「八角」。中国南部とベトナムが原産の、中華料理に欠かせない香辛料のひとつです。八角、アニス、フェンネルの近しい甘い芳香源は、「アネトール」という成分の香り。

八角はモクレン科の常緑低木の果実で、熟したものが不揃いな八角の星形になるのだそう。うつくしい形と香りで料理するものを魅了する八角は、うつくしい花と香りで道行く者を魅了するモクレンの仲間だったのです。

季節の変わり目にうれしい八角の効能

中国では、古くから漢方としても重宝されてきた歴史あるスパイス「八角」。咳をおさえる働きや、冷え性の改善、鎮静作用、消化促進作用、強壮作用、抗がん作用、虫除け、精神の安定……など、たくさんの効能を持ち合わせています。

胃腸の働きの衰える夏や、今のような季節の変わり目にも適したスパイスで、新陳代謝の活性を促す働きもあり、少量であればダイエットにも効果あるスパイスのようです。

八角は、抗インフルエンザ剤「タミフル」の原料として知られるほど、作用の強いスパイスでもあります。大量に摂取することや、とくに妊娠中の摂取には気をつけてください。

八角の使い方と保存方法

中国では鶏肉や豚肉を使った料理の調味料として加えられたり、中華料理に欠かせない5つのスパイスを合わせた混合香辛料「五香粉 (ごこうふん、ウーシャンフェン) 」の原料として、あらゆる料理に使われています。もうひとつの原産地であるベトナムでは、ポーと呼ばれる牛肉のスープなどに使われます。

八角の味と香りは、お肉だけではなく魚貝や野菜との相性もよく、お菓子の香りづけにも適したスパイスです。八角の香りは、石鹸、化粧品、歯磨き粉の製造にも使われています。

八角は粉末にして食材にまぶし使うよりも、八角の一片を調理の過程で鍋に加えて風味づけし、取り出してから料理を味わうことをおすすめします。

保存は高温高湿を避け、空気に触れないように密封した状態で保存します。

八角を使う料理① 台湾風クレープ

去年の11月のこと。友人である「HaoChi Books」のふたりと共に旅した二度目の台湾旅行は、とても楽しいものでした。
" おいしい " と " 台湾 " をキーワードにセレクトしたインディペンデントのマガジンや生活雑貨などを扱う、台湾好きの二人から成るユニット。それが「HaoChi Books」です。今年の1月にHaoChi Booksが主催したイベント『台湾散歩 - ぼくは臭豆腐と麺線が好き - 』で台湾の料理をお出しするため、二人の買い付けの旅に便乗し同行させてもらったのです。
台北、台中、台東、台北、と、HaoChi Booksの二人の友人と知人を巡りながら、見て、匂って、触って、食べて、味わう、鉄道の旅。市場、食堂、カフェ、夜市、料理店、原住民族パイワン族のお母さんのご飯……。台湾の文化や歴史を食べることを通して感じとる旅は、食べることに関わる者として、とてもよい経験、意義のある時間となりました。
旅に同行した友人「DIGINNER GALLERY」(東京・自由が丘にあるギャラリー)由美さんと、雨にも負けず、早朝から陽が暮れるまで食べ歩き、食べサイクリングした、台東の市場や路地裏で出逢った、たくさんの味と香り。
ところ狭しと緑の敷き詰められた目にも美しい野菜の市場から、生々しい精肉市場と魚市場、発酵臭のツンと漂う漬け物屋さんに、香辛料と生薬の並ぶ漢方屋さん。ひたすら肉をそぎ続けている食堂のお兄さんお姉さんと、大きな鍋をかきまわし続けるお母さん。外国を旅するたび視覚的に体感する、食べることと生きることの繋がり、日々たくさんの命をいただいて今私は生きているのだという実感を、全身で吸い込みながら、町中を駆けまわりました。

ここで紹介する台湾風クレープは、イベント『台湾散歩 - ぼくは臭豆腐と麺線が好き - 』での映画上映会に合わせて作ったレシピです。移動映画館「Kino Iglu」さんセレクトの映画『台北カフェ・ストーリー』(2010年)からイメージしたものと、雨の降る台東の朝に出かけた幾つもの食堂とカフェを憶いだし、自分の見た旅の風景まで綴じこめて作ってみた、私流の台湾風クレープ。
材料と工程が多く面倒に感じられるかもしれませんが、調理はいたってシンプルです。難しく考えずに、勢いで作ってみてください。クレープがまんまるに焼きあがると、とっても幸せな気持ちになれること間違いなしです。

「台湾風クレープ」のレシピ

材料
【具材】
・豚ひき肉
・干し椎茸
・ニンニク
・しょうが
・ピーナッツ
・八角
・五香粉
・塩
・こしょう
・砂糖(私は、きび砂糖を使用しています)
・酒(お家に紹興酒があれば、紹興酒を。さらにおいしく仕上がります)
・みりん
・しょう油
・水
・油

【クレープ】
・薄力粉(作りやすい量:50g)
・強力粉(作りやすい量:50g)
・五香粉
・水(作りやすい量:約160ml)
・油

【付けあわせ】
・香菜
・あさつきや細ねぎなど
作り方
1. まず、クレープの具を炊きます。少し深さのある鍋に油をさして、みじん切りにしたニンニクとしょうがを、香りがたつまで弱火にかけます。

2. 鍋にひき肉を加えて中火にし、塩、こしょう、五香粉をふり、炒めます。パラパラとしてきたら、酒、みりん、水で戻した干し椎茸(食べやすい大きさにカットして)と戻し汁、砂糖、しょう油、八角を加えて、水分がなくなるまで煮詰めていきます。

3. 途中何度か味をみて、足りない味を調えながら煮詰めていきます。ぐつぐつするようなら、火は弱火に。汁がなくなったら火を止め、八角を取り出し、すり鉢などで砕いたピーナッツ(すり鉢がなければビニール袋などに入れ、瓶などで叩いて砕く)を加えて、さっと混ぜあわせます。
4. 次に、クレープを作ります。ボウルなどの容器に薄力粉と強力粉を同量いれて、香りづけ程度に五香粉を加え、水を注いで混ぜあわせ、クレープの種をつくります。水の割合が多く「さらっ」としている状態だと、焼く工程が難しくなるので、種が「ボタっ」とするくらいの水分量をおすすめします。

5. 焦げつきにくいフライパンなどの鍋にまんべんなく油を敷いて(キッチンペーパーなどで鍋を拭くようにまんべんなく油を敷くと、焼きやすいです)ごく弱火で鍋を熱し、クレープの種をお玉などで掬って、まあるく流し入れていきます。

6. 種をまあるく流し入れたら、蓋をして、しばらく待ちます。蓋をあけ、クレープの生地の表面まで火の通っている様子を感じられたら(表面にぷつぷつと気泡がたってきます)、表裏をひっくり返して、今度は蓋をせずに裏面を焼きつけて、お皿に移し、クレープの完成です。
7. 具をお皿に装って、付け合わせの香菜や野菜を食べやすくカットし添えて、クレープでそれらを巻きつけ、おいしく召しあがってください。

八角を使う料理② 台湾風の茶葉煮卵

台湾を旅するとそこかしこで目にする、茶色い面持ちのゆでたまご。日本のコンビニに「おでん」がいつも並んでいるように、台湾のコンビニにいつも並んでいるそれは「茶葉蛋(チャーイェータン)」という名のゆでたまごなのだそうです。空間いっぱいに漂う八角の香りは、台湾に居るということを改めて感じさせてくれます。

八角と茶葉と調味料で煮て、漬けこんで作られるそれは、出来あがるまで時間はかかるものの、 手間という手間はほとんどかかりません。

今回は、ウーロン茶の茶葉と八角に桂皮(=シナモン)も加えて作ってみました。このレシピも、イベント『台湾散歩 - ぼくは臭豆腐と麺線が好き - 』でお出ししたもの。遊びに来てくれた台湾人の留学生の男の子が、「台湾の味がする」とよろこんで食べてくれたことを、嬉しくこころに記憶しています。

本を読みながら、映画を観ながら、合間合間の時間で仕込んで完成することの出来る、簡単なのにちょっとしたごちそう感のあるレシピです。

調理中は八角と桂皮の香りに包まれ、異国情緒たっぷりの台所となります。台所で束の間の台湾旅行、ぜひ試してお楽しみください。
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WRITER

ピリカタント 西野優

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