連載

命を救う植物「セージ」を使う夏のレシピ。しあわせ感じるスープとフリッター

季節に合わせたハーブとスパイスの使い方を提案する連載の第7回。今回は、薬用サルビアと呼ばれる万能ハーブ「セージ」を使って、ビールやワインとたのしみたいレシピを紹介します。効能にすぐれたセージをおいしく摂れる、夏にぴったりのレシピです。

2016年7月25日 更新

不老長寿のハーブ「セージ」

薬用サルビアと呼ばれるハーブ、セージ。

「サルビア」という名前は、ラテン語の「サルファーレ」(=治す、救う)が語源。英語の「セイブ」(=救う)にも通じているのだそうです。そして「セージ」という名前は、「賢明な」という意味を持ちます。

地中海沿岸が原産地であるセージは、古代ギリシャや古代ローマ時代から、薬用や儀式の際に使用されてきました。

一世紀には地中海からイギリス、イギリスからアメリカへと渡ったセージ。アメリカの先住民族インディアンたちも、生薬としてセージを使ってきたと言われています。

ヨーロッパでは「セージを植えれば老いることなし」ということわざがあるように、不老長寿のハーブとして、命を救う植物として、広く知られています。

セージの効能

中世ドイツの修道女であり作曲家でもあった聖女ヒルデガルトは、セージを万能薬とみなしていました。今からおよそ400年前に南仏で感染症が流行したときにも、感染症から身を護った魔法のような薬には「セージ」の働きがあったのだそうです。

殺菌、消化の促進、更年期障害の改善にも効果のみられるセージ。血液の循環をよくしたり、神経系の働きを助ける効果もあります。

嘔吐や習慣性の下痢をおさえる、胃腸の働きを助ける、過労や神経衰弱の人、利尿、鎮痛、疲労回復作用、糖尿病の治療薬としても認められているそうです。

外用薬としては、すばらしい殺菌力を持つセージ。乾燥させた葉には優れた消臭効果もあり、古くから肉の保存にも利用されてきました。そのため「セージ」が「ソーセージ」の語源になったとも、伝えられています。

セージ香るミートボールのトマトスープ

サイモンとガーファンクルの楽曲に「スカボローフェア」という曲があります。

曲中に何度もでてくる「パセリ、セージ、ローズマリー&タイム」という、呪文のような言葉。イギリスの古い民謡がもととなっているらしいこの曲のこのフレーズは、魔除けのおまじないなんだよと、つい先日友人に教えてもらいました。

それからというもの、私もたまに唱えてみるのです。パセリ、セージ、ローズマリー&タイム……。私は西洋人でも魔女でもありませんが、ハーブが魔術に使われてきたということを、ハーブで料理する時間を重ねていくたびに、体感として得ています。

例えば、鍋に野菜やお肉や魚をいれて、最後にふわりとハーブを添えるその瞬間は「おいしくなーれ」と、心が自然に唱えています。まるでおまじないみたいだなと、いつも私はそんな風に思ったりするのです。私の「おいしくなーれ」の魔法に、ハーブは欠かせません。

スカボローフェアを、幼い頃よく耳にしました。母は日曜日がやって来るたびサイモンとガーファンクルのレコードに針を落とし、大きなボリュームでそれを流しながら掃除をするのが常でした。

亡き父と、母と、二人の弟たちに私。それぞれが同じ家のどこかで、それぞれの時間を過ごす日曜日。そんなどこにでもあるような日曜日の傍らにあった音楽に、大人となった今また違うかたちで出逢うことができたしあわせ。

スカボローフェアを聞きながら、家にあった夏の野菜といっしょに炊いたミートボール入りのスープ。味の要は、やっぱり「おいしくなーれ」のおまじないだと、私は思うのです。

「セージ香るミートボールのトマトスープ」のレシピ

材料
・トマト
・ズッキーニ
・挽肉(今回は豚を使いましたが、お好みで)
・ニンニク
・セージ
・塩
・しょうゆ
・オリーブ油
・ワイン(赤、白、ロゼ、どれでもあるものを)
作り方
1. ニンニクを包丁の背や空き瓶などで潰して芯を取り除き、オリーブ油をさした鍋に入れ、弱火で香りがたつまで炒る。

2. 細かくカットしたトマトを鍋に加えて炒め、たっぷりと水をさし煮込んでいく。

3. ボウルに、挽肉、すりおろしたニンニク、細かく刻んだセージをいれ、塩をふり、手で混ぜ捏ねしていく。

4. 手のひらで挽肉をミートボール状にして、鍋に落としていく。落とし終えたら、食べやすくカットしたズッキーニを鍋に加えて、セージを鍋の上に添え、ワインをまわしかけ、蓋をし中弱火で煮込む。

5. すべての具材に火が通ったら、塩としょうゆで味を調えて、器に装い完成。
料理することは、膨大なる記憶の蓄積から生まれるものなのだと、最近よくそんな風に思ったりします。私から生まれる料理は、まぎれもなく私の経験から生まれてくるもの。

家族や友人たちと囲んできた幾つもの食卓が私の今に繫がっているのだと、料理をするたび、記憶をたどるたび、私は気づくのです。

手を使うこと、おいしくなーれと心をこめること、料理の先にある記憶をたどること。私が料理するうえで大切にしていることは、そんなところなのかもしれません。
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WRITER

ピリカタント 西野優

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