連載

クレソンと発酵調味料で、からだよろこぶ梅雨入りレシピ。

季節に合わせたハーブとスパイスの使い方を提案する連載の第4回。今回は、ピリっとした辛味が特徴のハーブ「クレソン」を取り上げます。薬効性と栄養価が高く、お肉との相性もよいハーブ。梅雨の季節にからだがよろこぶレシピとともに紹介します。

オランダから海を旅してやって来た「クレソン」

春になると清らかな水辺に姿を現し、夏がくる頃に花を咲かせるハーブ「クレソン」。

和名で「オランダガラシ」と呼ばれるクレソンは、アブラナ科の多年草。

その名のとおり、明治時代にオランダから海を渡って日本にやって来たと言われている薬草です。

原産は、ヨーロッパから中央アジアにかけて。

渡来した当時は在留外国人のために栽培されていたそうですが、キリスト教の宣教師たちが日本全国を布教する際に持ち歩いていたことから、各地へと広まりました。

すぐれた栄養価と薬効性をもつクレソン

フランス語で「健康草 / サンテ・デュ・コール」とも呼ばれるクレソンは、浄化作用、利尿作用、食欲増進、解熱作用など、すぐれた薬効性を持ち合わせています。

消化を促進する作用や肉の脂肪分解作用もあり、お肉の付け合わせに適しているハーブでもあります。

昔の人々は、薬効性と栄養価の高いクレソンをたいへん尊重してきたのだそうです。

今回は、そんな素晴らしいハーブ「クレソン」と日本の発酵調味料を使って、からだを内側から整えるレシピをふたつ紹介します。

菊の花びら舞うクレソンの酸っぱいサラダ

ここ最近、ありがたいことに故郷に帰る機会をいただいています。

私の故郷は、北海道の十勝という地方。果てしなく広がる平野、一列に並んだ防風林、うつくしい山脈の連なり。そんな風景が、日常のなかにある大地です。

故郷を離れて15年もの時間が流れ、生まれ育った土地へ帰るようになり気づいたことは、そこかしこに清らかな小川が流れているということ。

クレソンの群生も、よく見かけるのです。

幼い頃は当たり前に感じていた景色も、大人になり東京に暮らす今、とても特別な景色に変わりました。今年の夏は、クレソンの花咲くのを見てみたいものです。

「菊の花びら舞うクレソンの酸っぱいサラダ」のレシピ

材料
・クレソン
・あげ
・しらす
・食用菊
・ごま油
・酢
・塩
・粉山椒(なければ、こしょうでも○)
作り方
1. たっぷり水を張ったボウルの中でクレソンを泳がせ、気持ち良さそうにパリっとしてきたら、ざるにあげ、水きりする。

2. あげはトースターやフライパンなどで両面をこんがり焼いて、食べやすい大きさに刻んでおく。

3. ボウルの中で、クレソン、あげ、しらすを和えて、塩、酢、ごま油を加えて調味する。

4. 混ぜ合わさったそれらの全体に菊の花と粉山椒を散らし、さっと和えて、器に装い完成。
私の故郷のとある公園では、秋になると「菊まつり」という催しが開かれます。

子どもの頃、今は亡き祖父に手を引かれ、毎年そのまつりに出かけました。「つまらない」「早く帰りたい」という気持ちを、ふてぶてしい態度で示していたあの頃。

当時の祖父の年齢に半分ほど近づいた今なら、きっと肩を並べて同じ気持ちを共有できるだろうと思うのです。

そんな忘れていた小さな出来事を憶いだし、菊の花をはらりと添えてみました。

クレソンと味噌のポタージュスープ

下北沢で古本と料理の店をはじめる前のこと。

私は、出版社で半人前に満たない編集者として、修行の日々を送っていました。

「ごはんと暮らし」を軸に本をつくるその出版社には、広くて機能的で気持ちのよいキッチンがあり、料理に関わる催しごとも開いていました。

ある年のこと、ちょうど今のような梅雨の季節に、みんなで味噌づくりをしました。キッチンの傍らにござを敷いて輪になり、潰したり、こねたり、まるめたりの共同作業。

そんな梅雨時期の共同作業のあと、昔の人たちの暮らしを想いました。雨の多い梅雨の季節、屋内に集い保存食づくりや針仕事を楽しんでいる、女性たちの姿を。

あの日の味噌づくりを憶いだしながら、クレソンに味噌を合わせ作ったポタージュスープがおいしかったので、梅雨の思い出レシピとして、ここに紹介させていただきます。

「クレソンと味噌のポタージュスープ」のレシピ

材料
・クレソン
・味噌
・牛乳
・水
作り方
1. 鍋にクレソンを覆うくらいの水を張り、火にかけ沸騰させる。

2. 水洗いしたクレソンを細かく刻み、湯の沸騰した鍋に入れ、くたっとするまで煮る。

3. 煮たったクレソンを湯ごと、ハンドミキサーやフードプロセッサーなどで撹拌する。

4. 液状になったクレソンの汁に牛乳を注ぎ、火にかけ温まったら味噌を溶く。

5. 味を見て、塩味が足りなければ、塩などで調整して完成。

6. 仕上げにオリーブ油やこしょう(分量外)をまわしかけると、さらに美味しくいただけます。

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