ライター : Raico

製菓衛生師 / スイーツ&フードアナリスト / フードライター

パンケーキとは

Photo by ヤマモトマコ

パンケーキは、英語で“pancake”と書きます。「パン」はフライパンのように、底の平らな取っ手のついた鍋のことを指し、パンケーキはフライパンをはじめとする鍋全般で焼いたケーキのことをいいます。

歴史は古く、粉や水、燃料、鍋代わりの石器があれば手軽に作れるため、パンケーキの起源となるパンの原型は、古代エジプト時代にはすでに作られていました。パンケーキの発祥は古代ギリシアで、16世紀の文献に初めて登場します。

材料は、小麦粉、卵、牛乳、ベーキングパウダーがベースです。砂糖を加えてスイーツとしても、塩を加え甘さを抑えて食事としても食べられます。

ホットケーキとは

Photo by macaroni

ホットケーキは、明治17年(1884年)、ウィルレム・チャンブル氏が編集した本を、日本の文部省が翻訳し出版された『百科全書』という本に初めて登場します。“薄餅”(パンケーキの訳語)として紹介されたのが、ホットケーキ(Hot cake)のはじまりです。

この薄餅は、大正12年(1923年)に東京・日本橋のデパートの食堂にて、ハットケーキという名前で登場しました。

それが転じて、昭和6年(1931年)に「ホットケーキ」と呼ばれるようになります。由来はパンケーキですが、日本で初登場したのは甘いハットケーキだったので、ホットケーキ=スイーツとして徐々に定着しました。

パンケーキとホットケーキの違い

ご紹介したように、ホットケーキ=熱いケーキというのは、日本独自の呼び方で、ほかの国では残念ながら通じません(アメリカでは厚いパンケーキのことをホットケーキと呼び、一部通じるところもあります)。そのため、世界的には「パンケーキ」が共通する言葉です。

ではパンケーキとホットケーキは、何が違うのでしょうか。最近では、「食事用の甘くないものがパンケーキ、スイーツとして食べる甘いものがホットケーキ」と言われることもありますが、厳密にいうと違います。

ひと言でいうなら、ホットケーキはパンケーキの一種。どちらも元をたどれば、同じものです。パンケーキは「パン(底の平らな鍋)で焼いたケーキの総称」なので、大きな意味でいえば、クレープ生地もパンケーキに該当します。

日本では、「ホットケーキミックス」が人気があり有名です。砂糖が含まれ、できあがりは甘味があるため、ホットケーキは甘いものと思われがち。しかしアメリカでは、生地自体が日本のものほど甘くなく、朝食として甘味を抑えたホットケーキを食べることもあります。「甘いパンケーキ=ホットケーキ」と一概にはいえないのです。

どのように使い分けられているのか

パンケーキは新しいトレンドに

近年ハワイやニューヨークのパンケーキがトレンドとなって、東京から「パンケーキ」ブームが広がりました。現在では全国各地にパンケーキのお店があり、何時間待ちの行列ができるパンケーキ専門店はめずらしくありません。

そのようなお店の商品は、やはりホットケーキというより、海外でも通じるパンケーキに近いものです。ホットケーキよりも薄く焼かれ、生地自体の甘さは控えめ。メープルシロップやはちみつだけでなく、フルーツや生クリームなど、トッピングは豊富です。

ホットケーキは古きよき日本のスイーツとして

対してホットケーキは、喫茶店で出てくる、ちょっと分厚い二段重ねほどのスイーツとして、日本では知られています。トッピングは主にバターとはちみつのみで、生地自体に甘味が付いているものとして、使い分けられている傾向です。

薄焼きのパンケーキを何枚も重ねて、クリームやフルーツ、あるいはハムやレタスなどをトッピングし、食事として食べるのもおいしいし、昔ながらの存在感あふれる厚めのホットケーキを食べるのも魅力的。どちらも甲乙つけがたいですね。
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