ライター : 工藤万季

一般社団法人ビューティヘルスコンシャスライフ協会代表理事

アーユルヴェーダの食事の原則

前回の記事では「アーユルヴェーダとは?」について、簡単に紹介しました。アーユルヴェーダは、健康でいるためのメソッドのこと。もちろん食事法にもアーユルヴェーダのさまざまな知恵と工夫があります。 アーユルヴェーダ式食事が目指すのは次の3点です。
1. アグニ(消化力)を高める 2. アーマ(未消化物)を抑える 3. マラ(老廃物)の生成を高める
アグニ(消化力)を高めることによって、アーマ(未消化物)が体内に蓄積されないようになります。そして、いらないものはマラ(老廃物)となり、汗、尿、便として体外に排出されます。 このように身体はとてもシンプルな働きをしています。この循環を促進することが理想であり、健康と美を手に入れる近道となります。 逆に、アグニが低下しアーマが生成されると、病気の原因となり健康から遠ざかってしまうのです。

大切なのはアグニを高めること

アグニとは私たちの体や心の中で変化し、吸収してくれるエネルギーのこと。消化の火とも呼ばれます。 「消化」と聞くと、胃腸や小腸・大腸などがイメージされますが、アーユルヴェーダにおける「消化」とは体内に取り込まれた食べ物(栄養)をエネルギーに変換し吸収することを意味します。 アグニは体内のあらゆる場所に存在するものと考えられています。食べ物の消化吸収や感情の受け入れ、細胞の変換、体温調整などにかかわり、寿命に大きく影響するとも言われています。 アグニは消化力とも呼ばれますが、消化力とは栄養を吸収し、同化する力。そして、体内の毒素形成を最低限に抑える力。毒素を排出する力です。
健康にとって大切なのは、自分のアグニを高めてあげること。
消化力を弱めてしまうと、栄養分を吸収できず、消化不良を起こしたり余分なものを吸収したりしてしまいます。 またアーマ(未消化物)が増え、病気の原因ともなります。アーマは食べ物の未消化だけでなく、未解決の感情といった心の未消化の蓄積も含まれます。

消化の3段階

1. 口に入れたとき
口に入れたとき舌で味を感じ、唾液によって第1段階の消化が始まります。ふだん味の濃い食事や添加物が多い食品などを食べている人は本来の味を感じにくくなっています。まずはよく噛んで、たっぷりの唾液で消化をスタートさせましょう。
2. 消化中
口から胃へ食べたものが移動していきます。そして胃で消化され、小腸の終わり・大腸の始まりのところで栄養が吸収されます。小腸大腸で栄養吸収ができるよう、胃でしっかり消化できるものを食べてあげることが大切です。
3. 消化後
大腸で吸収されたものは次に血しょうとなります。そして血液→筋肉→脂肪→骨→骨髄→生殖器へと消化されていきます。これら7つの組織をアーユルヴェーダでは「ダートゥ」といいます。 ダートゥは食べ物の消化によって作られています。正しい食事をし、しっかり消化されれば、十分な血しょうができます。血しょうが十分にあれば、血液も十分に作られます。そして最後には十分な生殖組織ができるわけです。 自分の体質に合わない食事をしたり、消化力が弱かったりすると食べ物の消化が不十分となり、結果としてダートゥが乱れてしまいます。

これが本格アーユルヴェーダごはん

わたしが食べている本格アーユルヴェーダごはんをご紹介します。 上の写真はハワイ留学中に食べていたものです。キヌア入り玄米やかぼちゃ、アボカドなど。味付けはどれも塩とスパイスのとてもシンプルなもので、たくさんの食材は使わず3、4種類の食材を使って調理します。
朝食は新鮮なフルーツもおすすめ。フルーツはフルーツだけで食べるのがアーユルヴェーダ方式です。他のものと一緒に食べてしまうと消化を悪くし、アグニを弱めてしまいます。
こちらはジンジャーアペタイザー。食前20〜30分に食べるとアグニを強めてくれます。 すりおろしたジンジャーに、少しのレモンと自然塩を加えるだけの簡単レシピです。

アーユルヴェーダ的・理想の食事

アーユルヴェーダにおける理想の食事にはいくつかのポイントがあります。

タイミング

アーユルヴェーダでは朝、昼、夜と1日3回規則正しく食事することが勧められています。 寝る3〜4時間前には食事を済ませましょう。 食べる時はきちんと座り、食事に意識を集中します。TVを見たり、携帯をいじったりといった「〜ながら」の食事は控えます。 そして、リラックスし感謝の気持ちを持って食べましょう。怒りや悲しみ、興奮状態で食べるとアグニが弱まってしまいます。
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